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【解説】政府 対ロシア追加制裁を発表 「制裁に対し、報復する」と主張のロシアではセレブが「シャネル」切断で“抗議”

2022年4月8日 21:23
【解説】政府 対ロシア追加制裁を発表 「制裁に対し、報復する」と主張のロシアではセレブが「シャネル」切断で“抗議”

ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊の町で、新たに多数の民間人の遺体が見つかりました。ロシアへの批判が高まる中、日本を含め各国が相次いで追加制裁を表明しています。「ボロジャンカで犠牲者」、「プーチン氏 初めて言及」、「ロシアで“シャネル切断”」、「日本の追加制裁」の4つのポイントについて、詳しく解説します。

■キーウ近郊で多くの一般市民が犠牲に 被害の全容つかみきれず

まず、ウクライナの首都キーウ近郊・ボロジャンカの被害の様子をお伝えします。

ウクライナ検察当局は7日、「アパート2棟が爆破され、がれきの下から26人の遺体が発見された」と発表しました。このように、ロシア軍が撤退した街では、多くの一般市民たちが犠牲になっている実情が次々と明らかになっていますが、まだまだ被害の全容はつかみきれていません。

これまでに、キーウ近郊・ブチャで、民間人の遺体が路上などに無残な形で多数残されている映像が、世界に衝撃を与えました。ただ、ウクライナのゼレンスキー大統領は「ボロジャンカの犠牲者は、ブチャよりはるかに多い」と述べています。

■プーチン大統領「ロシア軍は民間人を殺害していない」

こうした一連の民間人殺害について、ロシアのプーチン大統領が初めて言及しました。

ハンガリー首相との電話会談の中で、プーチン大統領は「ロシア軍は民間人を殺害していない」と強調した上で、「ウクライナによる下品な挑発行為」と非難しました。つまり、プーチン大統領は「悪いのはロシアではなく、ウクライナだ」と主張しているわけです。

そもそも、ロシア側は軍事侵攻と認めておらず、「市民らを救うための特別作戦」と「自分たちは正しいことをしている」というスタンスを崩さず、ウクライナ側を「悪者」としています。

■ロシア人女優ら、シャネルのバッグをはさみで切断「屈辱的」と抗議

今、ロシアの女優やモデルの女性たちがSNSに投稿したシャネルのバッグに対し驚くべき行動を取る動画が話題になっています。

女優・エルモシキナさんは、シャネルのバッグを大きなはさみで切断しています。さらに、モデル・ボーニャさんも同じようにバッグを切断しました。実は、彼女たちはシャネルに抗議するために、このような過激な行動に出たということです。

ロシアメディアは、「ドバイのシャネルの店では、ロシア人が商品を買う際、ロシア国内で使わないことを約束する署名をしなければならない」と伝えました。ロシアの女優やモデルの女性たちは、シャネルによる一連の対応が「屈辱的だ」と訴えています。

■「石炭の段階的輸入禁止」日本もエネルギー面で追加制裁へ

一方、国際社会がロシアに圧力をかける動きは、日に日に大きくなっています。G7(先進7カ国)は7日、追加制裁として、「ロシア産石炭の輸入禁止」を進めることを盛り込んだ声明を発表しました。エネルギー面で、ロシアへの依存を減らすことを目的としたものです。

また、日本も「石炭の段階的な輸入禁止」など追加制裁を検討していることが、複数の政府関係者への取材でわかりました。8日午後6時から、岸田首相が会見を開き、追加制裁について説明する予定です。

日本は、これまでもロシアへの制裁を発表しています。

まず、ロシアへの経済制裁として、「世界の銀行による決済システム『SWIFT』からロシアの特定銀行排除」、「ロシア中央銀行など3銀行の資産凍結」、「高級自動車などぜいたく品の輸出禁止」などを欧米諸国とともに打ち出しています。

そして、ロシアからの「石炭の段階的輸入禁止」というエネルギー面での制裁が新たに加わることになります。さらに、日本にいるロシア外交官を国外に追放することも8日発表されました。

ドイツやフランスなどもロシア外交官を追放し、既にヨーロッパ全体で300人近い外交官が追放されています。日本もヨーロッパ諸国と足並みをそろえたわけですが、日本としては、シリアなどに続いて3例目ということで、異例の措置です。経済制裁とは別の意味で、ロシアにきっぱりとメッセージを伝える意味合いがあります。

■「『天然ガス禁輸』まで踏み込めなければ、制裁として、効果は期待できない」

では、今回の制裁の目玉とも言える「石炭の輸入禁止」は、どの程度効果があるのでしょうか。国際安全保障が専門の慶應義塾大学・鶴岡路人准教授は、次のように述べました。

「ロシアがEUなどに輸出する石炭というのは、天然ガスに比べると、圧倒的に少ないので、やはり本丸である『天然ガス禁輸』にまで踏み込めなければ、制裁として、あまり大きな効果は期待できない。ただ、制裁というのは、できるところから段階的に積み上げていくもので、今回もそうした段階の1つのステップとしての意味がある」

■「日本は反ロシアヒステリーを強めている」ロシア側“日本に報復”検討?

ロシア外務省のザハロワ報道官は6日、「日本は反ロシアヒステリーを強めている」とした上で、「さらなる対抗措置をとる」と述べました。つまり、「制裁に対し、報復する」と主張しているわけですが、具体的な内容にまでは言及していません。

では、ロシア側は、日本に対してどのような報復が考えられるのでしょうか。鶴岡准教授は、次のように指摘しました。

「日本からの特定品目の輸入停止や制限、あるいは、逆にロシアから「レアメタル」「レアアース」などの輸出制限が考えられる。そもそも、制裁というのは互いにかけ合うもので、対抗措置を取られるのも覚悟の上で、制裁を科すというのが各国のスタンスです。そのため、日本にもそうした覚悟が求められますし、その都度おじけづいてはいけない」

     ◇

各国は段階的に制裁を追加し、ロシア包囲網を強めていますが、プーチン大統領による軍事侵攻を止めるまでには至っていません。制裁はロシア国民だけでなく、日本や欧米にとっても、痛みを伴うものです。1日も早く、侵攻も制裁もなくなる日が来ることを祈るばかりです。

(2022年4月8日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)
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