中国「国慶節」の大型連休 “処理水問題”で日本への旅行は? 期待は“日本通”の個人旅行客
中国では29日から「国慶節」の大型連休が始まります。コロナ前には多くの中国人観光客が日本に訪れていましたが、今年は、処理水放出の問題で、日本でも中国国内でも“異変”が起きていました。
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28日、中国・北京の空港は多くの人でにぎわっていました。中国の建国記念日にあたる“国慶節”の大型連休が29日から始まるのを前に、日本行きのチェックインカウンターにも行列ができていました。
日本へ向かう中国人
「焼き肉とラーメンが食べたい」
「東京と伊豆にも行くかもしれません。ディズニーにも行ってみたい」
去年までは、ゼロコロナ政策による移動制限で海外旅行はお預けだった中国。そのため、今年の旅行を楽しみにしていたという人もいました。
国慶節といえば、以前は日本にも多くの中国人観光客が訪れていました。
新型コロナ前の2019年、9月に訪日した中国人は約82万人。そこから急激に人数が落ち込んでいましたが、今年は多くの中国人観光客の訪日が期待されています。
新型コロナ前、中国人観光客でにぎわっていた東京・秋葉原の免税店。28日、系列店に行ってみると、異変が起きていました。店内には、多くの外国人がいましたが、中国人の姿は見当たらないのです。
アッキーインターナショナル 阿部英行代表
「他の国はコロナ以前と比べても、それをはるかに超えるくらい戻っている。中国の方だけ戻りが遅い」
中国からの団体旅行が解禁された今も、中国人観光客の姿は少ないままだといいます。背景にあるとみられているのが、福島第一原発の処理水の放出です。中国の旅行会社によると、日本への団体ツアーは中止が相次いでいるといいます。免税店は、国慶節でも“中国からの団体客は見込めない”ということです。
アッキーインターナショナル 阿部英行代表
「確実に(中国からの)個人客は増えています」
一方で期待されるのは、中国からの個人旅行客です。
アッキーインターナショナル 阿部英行代表
「女性がお使いになる美顔器、20万円ぐらいするけど、(中国の個人客に)非常に売れています」
中国からの個人旅行客には、60~70万円する時計など小さくて高額な商品が売れているといいます。
日本航空の北京の支店でも、中国から日本への個人旅行客は減っていないといいます。
日本航空 北京・天津支店 倉田勝功支店長
「(個人客は)もともと日本通のお客様で、日本をよく知っているお客様は、今回の処理水のことに対して人それぞれ思いはあると思うが、一気にキャンセルするとか影響は出ていないと思う」
日本への理解が深い分、処理水への抵抗が少ないのではないかと話します。
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ただ、中国国内では、処理水の影響が色濃く出ているところもあります。北京にある「渋谷横丁」と呼ばれる日本料理店が多く入っていたビルでは、25日に「渋谷横丁」の看板が外され、日本風の赤いちょうちんも中国風のものに変えられていました。
関係者によると、ビルの中では、処理水が放出されることになってから、天ぷらの店など5店舗が閉店。日本式の焼き肉店だった店が、韓国式に変わっていました。
その後もビルの中で営業を続ける沖縄料理店は…
沖縄料理店 篠原修店長
「コロナ(の制限)が終わった後に処理水の問題。この問題でいろんな客から心配の声を聞いたりというのは大きい」
処理水放出により進む“日本離れ”。2回目の放出が10月5日から始まることが28日に明らかになりましたが、影響は広がるのでしょうか。