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処理水放出1か月…中国との溝深く? 国慶節で“人気の旅行先” 日本が消える“異例の事態”【#みんなのギモン】

2023年9月26日 19:08
処理水放出1か月…中国との溝深く? 国慶節で“人気の旅行先” 日本が消える“異例の事態”【#みんなのギモン】

福島第一原発の処理水の海洋放出開始から1か月が経過しました。放出に反発する中国との溝は、深まっているのでしょうか。

●キャンセル続き…影響各所に
●食べて応援 ポイント還元

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■IAEA年次総会で日中“非難”の応酬 当初の演説原稿では中国に触れるところはなく…

処理水の放出から1か月が経過するなか、25日、IAEA=国際原子力機関の年次総会では、中国と非難の応酬がありました。

総会の中で、中国の代表は「核汚染水」という言葉を使い日本を激しく非難するとともに、「日本の無責任な行為を厳しく監視する長期的かつ効果的な国際的監視メカニズムを確立しなければならない」と主張しました。

これに対し、高市科学技術担当大臣は演説で「日本としては引き続き科学的根拠に基づく行動や、正確な情報発信を中国に対して求めていきます」と話しました。

高市大臣はさらに「事実に基づかない発信や、突出した輸入規制をとっているのは中国のみ」だとけん制し、その後、再び中国が反論するなど非難の応酬となりました。

高市大臣は、当初の演説原稿では中国に触れるところはなかったのですが、中国の演説を聞いて急きょ、盛り込んだということです。処理水について「他の国から否定的な意見は出なかった」とした上で、「中国は孤立感を深めていると思う」とも話しました。

■日本から輸入した水産物“67%以上減少” 日本料理店“今は我慢するしか…”

処理水の放出後、さまざまな場所で余波が広がっています。

中国が発表した貿易統計では、先月1か月間で日本から輸入した水産物の総額は日本円で約30億円となっています。これは、去年の同じ月と比べて67.6%も減少しているのです。

大きく影響しているとみられるのは、先月24日から中国で始まった「日本産の水産物の全面禁輸」です。今でも中国国内の日本料理店では、苦しい現状があります。

NNNが取材した上海の日本料理店「寿司割烹中村屋」では以前、日本の魚を使っていましたが、輸入禁止になってからは中国産をメインで使っています。

寿司割烹中村屋 中村文博さん
「日本人がやっている日本料理の店で日本の魚を使えないのは、自分としては嫌ですよね」

――客足への影響は?

寿司割烹中村屋 中村文博さん
「50%以上減りましたね。予約したけどやっぱり海産物は食べない、キャンセルっていうのは意外と多いです」

店の人は、“今はとにかく我慢するしかない”と話していました。

■「国慶節」大型連休 “人気の行き先”常連の日本が…

処理水放出の影響は水産物だけではありません。

今月29日から来月6日までの8日間、中国では建国記念日にあたる「国慶節」の大型連休が始まります。その前日から帰省や旅行など国民の大移動が始まるとみられますが、その行き先にも処理水の影響が出てきています。

中国の旅行会社に取材すると「日本への団体ツアーは中止が相次いでいる」と話していました。また、現地では、中国メディアが「日本行きの旅行、キャンセル相次ぐ」と報道をしているそうです。

中国の大手旅行会社が発表したデータでは、今年の国慶節で人気の“海外旅行の行き先”として名前が挙がったのは、タイ・韓国・マレーシア・シンガポール・オーストラリア・イギリスなどとなり、毎年常連だった日本が入っていない異例の事態になっています。

旅行会社が一番人気になるとみているのが「タイ」で、それには理由があります。

タイ政府は、今回の国慶節に合わせて、中国人観光客の入国ビザを一時的に免除するという異例の政策をとっています。期間は25日からの5か月間です。

初日は、セター首相が空港で中国人観光客を出迎えるなど歓迎ムードに包まれたそうです。コロナ禍で落ち込んだ中国人観光客を呼び戻すことが狙いだということです。

■食べて支援 “復興の後押しに…”東京都の新たな取り組みは

日本国内では、水産業を応援しようという取り組みも広がっています。

東京都は来月後半から、水産物を食べて支援するキャンペーンを実施します。処理水の放出で風評被害が懸念される魚介類の消費を促して水産業を応援しようというものです。対象は、都内のすし店や鮮魚店で魚の食事・購入をする場合になります。

2次元コード決済で代金を支払うと、1回につき30%、最大1000円相当までポイントが還元されるという仕組みです。期間は来月後半から1か月半となっています。対象の店など詳細は後日、発表されるということです。

東京都はこの取り組みを通じて、被災地復興の後押しにつなげていきたいとしています。

■定期的な海域モニタリング続く

処理水の海洋放出開始から1か月が経過しました。

1回目の放出は今月11日で完了していますが、定期的な海域モニタリングは続けられています。環境省は毎週、海域モニタリングを行っていて、25日は5回目の結果を公表しました。

今月19日に処理水の放出口から約400メートルから50キロメートルの距離にある福島県沖の11地点で海水を採取し測定したところ、今回もトリチウム濃度は全ての地点で検出できる下限を下回っていたということです。

2回目の処理水の海洋放出は、早ければ今月末に始まる可能性もあります。

(2023年9月26日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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