非常事態宣言下のバンコク 料理宅配が人気
新型コロナウイルスの感染拡大で、3月末から非常事態宣言が出されているタイ。首都バンコクでは人の姿は少なくなったものの、市民生活は落ち着いているといいます。バンコク支局の森鮎子特派員の報告です。
■屋台街は閑散
バンコク市内の屋台街は閑散としています。普段ならびっしりと屋台が並び、歩くのも難しいほど。昼食を食べに来る地元の人たちで非常に賑やかな場所ですが、いまはほとんど人の気配がありません。
屋根付きの巨大なスペース。普段はびっしりとテーブルが並び、多くの人がわいわいと食事を楽しむこの場所も、いまはすべての屋台が閉まっていて、訪れる人は一人もいない状況です。
付近で働く女性は「客はまったくいなくなったけど、働かないといけない」と不安そうな表情を見せました。
通り沿いのレストランは、店内での営業が禁止されているため、カウンターを店先に出して持ち帰りに対応しています。屋台ご飯と言えばタイを象徴する食べ物ですが、こうした飲食店の営業にも影響が出ています。
■デリバリーサービスの需要が急増
一方で、レストランの料理の宅配需要が高まっています。ショッピングモールの中では、間隔をあけて多くの人がずらりと並んで座っています。
モール内の飲食店の料理を配達する配達員の場所になっているのです。すべてのレストランは店内で飲食することができないので、ほとんどがデリバリーサービスを行っています。その配達員の待機場所は「社会的距離」を保って、料理ができるまでの間を待っています。
スピーカーからアナウンスが聞こえます。「609番、835番、78番の方」。
料理の準備ができると番号で配達員が呼ばれ、配達員が料理を取りに行きます。こうして料理がオーダーした各家庭などに運ばれるということで、タイでは、こうしたデリバリーサービスを利用する人が急速に増えています。