北の“ゴミ風船”分析結果、韓国側が発表 「寄生虫」など6種の中身とは? “金正日氏たたえる文書”も…理由は
北朝鮮が飛ばした“ゴミ風船”の分析結果を、韓国側が発表しました。ゴミの中には、「寄生虫」や「模造品」、さらには「古い日用品」など、北朝鮮の経済状況を示すものもありました。
ミッキーマウスの靴下のようなもの、くまのプーさんや、ディズニーのキャラクターが描かれた下着のようなもの、少し汚れたハローキティの布のようなもの…。
これらは全て、韓国統一省が明らかにした、北朝鮮が韓国へ飛ばした、“ゴミ風船”の中身の一部です。
北朝鮮は、これまで合わせて4900個余りの“ゴミ風船”を飛ばしたと明らかにしています。
(韓国・仁川 今月)
「待って、あれ(ゴミ風船)??」
韓国各地で大量のゴミが散乱し、防護服やガスマスクをつけた兵士が対応にあたっていましたが…韓国側は24日、そのゴミの分析結果を発表しました。
ゴミは全部で6種類あり、1つめは、“作られたゴミ”。
大量の紙くずは、ゴミ風船用にわざわざ用意したとみられていて、私たちが街で見つけた時も、はさみで切ったような跡が確認できました。
また、空のペットボトルも、ゴミとして作られたとみられていて、商品の情報が漏れないよう、ラベルやふたが外されていると分析しています。
2つ目は、古い日用品。
子供用の衣類や靴下などが確認され、北朝鮮の劣悪な経済状況を示していると指摘しています。
3つ目は、ディズニーキャラクターなどを無断で盗用したとみられる模造品。
そして4つ目の支援物品とは…ネクタイやデニムジャケットなど、過去に北朝鮮が支援として受け取った、韓国産の物品のこと。
それらを傷つけることで、韓国への“反感・敵対感”を表している、と分析しています。
5つ目は、寄生虫。
ゴミ風船から確認されたという、少量の汚物。その中から、人のふんに由来した可能性のある寄生虫を発見したといいます。
ただ、土地を汚染したり、感染症などを引き起こしたりするおそれなどはないということです。
そして6つ目は、“金正日氏をたたえる文書”です。
金正恩氏の父、金正日氏。かつての最高指導者の教えを記した文書の表紙が、“ゴミ風船”に入っていたといいます。
2枚に分かれた表紙をつなぎ合わせると…「偉大なる金正日大元帥様教示」となります。
ただ、北朝鮮では、最高指導者の文書を毀損する行為は、最大で“死刑”となる可能性もある重罪だといいます。
ではなぜ、2つに分かれた状態で、あろうことか“ゴミ風船”の中に入っていたのでしょうか。
韓国メディアは、韓国統一省関係者の話として、こう伝えています。
(韓国メディアによる)
「汚物散布に(北朝鮮の)一般住民達も動員されていたが、北朝鮮住民たちの汚物散布に対する(北朝鮮の指導部への)反感および不満が反映されたものとみられる」
終わりの見えない、風船の飛ばしあい──。
韓国の脱北者団体は、4日前にも、北朝鮮の体制を批判する大量のビラなどを再び飛ばしています。
これに対し、金総書記の妹・与正氏は…
(金与正氏の談話)
「『するな』と言ったことを、またやったので、やらなくてもいい仕事が生じることは当然だ」
韓国国防省は、24日から、北朝鮮側からの風が吹くことが予想されていることから、北朝鮮軍の状況を注視しているということです。