“経験豊富で知的な政治家” プーチン氏がトランプ氏を称賛 狙いは…責任をバイデン政権に?
ロシアのプーチン大統領は会見でトランプ氏について「経験豊富で知的な政治家」と褒め称えました。これまでにトランプ氏を何度も称賛してきたプーチン大統領、その狙いとは。
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ウクライナ・オデーサ近郊で、大量のガレキを前にぼう然とする住人。今月28日、ロシア軍の大規模な攻撃の標的となったのは、ウクライナの電力インフラ施設です。
送電網が大きな被害を受け、電力会社は“緊急停電”を実施。少なくとも100万人が停電に見舞われ、市民は発電機の使用を余儀なくされていました。
「最近は頻繁に停電するようになりました。長期に及ばないことを期待しています」
ゼレンスキー大統領は、90発以上のミサイルやクラスター爆弾などが使われたと主張しています。
エスカレートするロシアの攻撃。
今月19日、ウクライナ軍がアメリカ製の「ATACMS」ミサイルでロシア領内を初めて攻撃して以降、ロシアも新型の中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を使用するなど、激しい攻撃の応酬が続いています。
こうしたなか、訪問先のカザフスタンで会見したプーチン大統領は、いまの状況をエスカレートさせているのは、アメリカのバイデン大統領としたうえで、“次の大統領”に言及しました。
プーチン大統領(今月28日)
「(次期大統領のトランプ氏は)知的で経験が豊富だ。大統領に返り咲くという試練を乗り越えたからこそ、この問題を解決できると思う」
トランプ次期大統領を、「経験豊富で知的な政治家」と褒め称えたのです。
実はこれまでも「命を狙われたときの彼の行動に感銘を受けた」「ウクライナ危機を終結させたいという思いは注目に値する」などと、トランプ氏を称賛してきたプーチン大統領。なぜそこまで称賛するのでしょうか?
ロシア情勢に詳しい拓殖大学の名越健郎客員教授によると、ロシア側はすべての責任をバイデン政権に押しつけて、トランプ政権に代わり次第、状況を仕切り直したい思惑があると分析。経済的にも苦しいロシアが“トランプ停戦”に応じて時間稼ぎをし、体制を整えたうえで、また侵攻に打って出るのではとの見方をしています。
いわば“駆け引き”の真っただ中。果たしてプーチン大統領の“本音”は?
同じ日の会見では…
プーチン大統領(今月28日)
「ロシア軍や国防省はウクライナの標的を探っている。それはキーウの政府中枢の可能性がある」
ウクライナの政府中枢を標的にする可能性があると威嚇しました。
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トランプ氏が大統領に就任するまで、あと1か月あまり。プーチン大統領の動向に世界の目が向けられています。