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IAEA 福島第1原発周辺の海水を調査へ

2020年10月31日 5:34

IAEA(=国際原子力機関)は、福島第1原発周辺の海水調査を来月行うことを明らかにしました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年は海外の専門家は調査に加わらないとしています。

IAEAによる海水調査は、2014年からすでに9回行われていて、今回は来月4日から2週間にわたって実施されます。調査では、水質に加えて海底にある土壌や魚への影響も調べる予定です。

これまではIAEAが委託した国際的な専門家が調査を実施してきましたが、新型ウイルスの影響で今年は日本の専門家に調査を委託することになりました。日本政府とは独立した立場で調査を行った上で、結果を直接IAEAに報告するということです。

福島第1原発では、放射性物質を含む汚染水を特殊な装置で処理し、「処理水」は原発施設の敷地内にあるおよそ1500基のタンクに貯蔵されています。

しかし、地下水や雨水などはそのまま海に流れていることから、日本政府は、原発付近に汚染が広がっていないことを国内外に示す目的で、IAEAの調査を定期的に受け入れていました。

日本政府は、敷地内に溜まり続ける処理水を海に流す方針ですが、韓国政府は処理水の扱いについて、日本側の説明やデータが足りないとして放流について懸念を表明、IAEAに対してより強い介入を求めています。また、中国も今月17日にこの問題に触れ、「周辺国と十分に協議して、慎重に進めてほしい」と事前協議を求めました。

今回のIAEAの調査は日本政府の要請に基づいて行われるもので、日本としては国際機関に安全の「お墨付き」をもらうと同時に、改めて、国内外に処理作業の安全性をアピールする狙いもありそうです。