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2020年11月2日 17:35

大統領選“人権問題”争点…黒人が抱く不安

アメリカ大統領選挙は、いよいよ日本時間の3日夜から投票が始まります。最大の争点の1つ、人種差別への抗議の声は選挙にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

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中西部ミネソタ州ミネアポリス。

記者「この先が事件現場なんですが、車の立ち入りができなくなっています」

現場には、事件で犠牲となった黒人男性のジョージ・フロイドさんの壁画が描かれています。

フロイドさんは今年5月、警察官に手錠をかけられ無抵抗だったにもかかわらず、白人警察官に首を膝で押さえつけられました。

ジョージ・フロイドさん「息も何もできない、本当に冷酷だ」

必死の訴えも聞き入れられず8分46秒もの間、首を押さえつけられ死亡したのです。

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現場には、今も祈りをささげる人の姿が。

「ジョージはまだここにいるかのように、変革を求めるエネルギーをくれる」

フロイドさんの事件以降、黒人差別の是正や警察改革を求める声は全米に広がり、大統領選の大きな争点となっています。

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朝早く現場にやってきた1人の黒人女性。地域の人たちの輪の中に入っていきました。

ここには絶えず住人がいて、現場を見守っています。ジャネル・オースティンさんも、この地域で生まれ育ちました。

オースティンさん「この地域に住む人が参加して、今起きていることや供え物の保管状況、警備状況などを報告し合う」

オースティンさんは毎朝のようにごみを拾い、ささげられたお供え物を管理する活動のリーダーとして、この場所を守り続けています。

オースティンさん「この場所は黒人の痛みと悲しみの場所。正義の場所であり、希望の場所」

追悼場所のすぐそばの路上には、黒人差別の歴史が刻まれていました。

オースティンさん「ここにある名前はすべて(警察の暴力で)殺された人の名前です。ここミネアポリスだけでなく、アメリカ中で殺された人の名前です」

ジョージ・フロイドさんに続いて記された、たくさんの黒人の犠牲者たちの名前。今も多くの黒人が、犠牲になったのは自分だったかもしれないという不安を抱えています。

オースティンさん「166、167、168の名前がありました。そしてそれ以上の人が殺されています。私たちが国として新しい行動を起こさない限り、この数は増えていくでしょう」

オースティンさんは「アメリカを再び偉大にしよう」というトランプ大統領のスローガンについて、黒人にとってはアメリカが偉大だったことはないと話します。

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今年9月。

共和党・トランプ大統領「あなたたちにはよい遺伝子がある」

ここミネソタ州での集会でも、多くの白人支持者を前に人種間の分断をあおるような発言を繰り返していました。その影響は、この祈りの場所でも…。

追悼場所の象徴となっているフロイドさんが描かれた壁画。これまでに複数回、落書きされています。白人至上主義者とみられる男がスプレーを吹き付けたことも…。

分断がいっそう深まる中、黒人差別への抗議活動がかつてないほどに投票に大きな影響を与えるとの指摘もあります。

オースティンさん「私は希望を失うわけにはいきません。希望がなくなれば何のために追悼場所を守り、黒人の命のために戦い、選挙で投票するのでしょうか。11月3日はとても大切です」

根深く残る黒人差別。怒りの声は、アメリカを変える第一歩になるのでしょうか。