英でワクチンが正式に承認 日本はいつから
イギリスでワクチンが正式に承認され、12月7日の週にも接種が始まる見通しとなりました。では、日本の私たちはいつ頃接種できるのでしょうか。ワクチン接種の上での注意点などをまとめました。
■世界中が待ち望むワクチン イギリスで正式に承認
開発レースの先頭を走っていた米のファイザーと独のビオンテックが共同開発中のワクチンが、イギリスで世界に先駆けて承認されました。いよいよ12月7日の週からイギリス国内で接種が始まります。
ファイザーなどは、11月30日にイギリスの規制当局に申請し、2日後の12月2日には緊急使用の承認がされたと発表しました。かなりのスピード承認ですが、ジョンソン首相は「史上最大の接種計画」だと強調しています。さらにアメリカでも早ければ、現時時間の12月10日にも承認される見通しで、その後24時間以内に接種できるようになる可能性があります。
■日本ではいつ承認される?
日本では、まだ承認の申請がされていません。ただし、日本政府はファイザーが申請して承認されれば、2021年6月末までに6千万人分の供給を受けることで合意しています。
12月2日の国会では、新型コロナウイルスのワクチン接種を無料にする改正予防接種法が、全会一致で可決・成立しました。ワクチン接種は国民の努力義務として、費用は全額国が負担します。万が一、健康被害が出て製薬会社が損害賠償を求められた場合も国が肩代わりすることになりました。
■『日本は日本』 独自の承認プロセスが必要
ただ、日本で承認されたとしても、全員が全員すぐに接種できるわけではありません。まず、『日本は日本』という独自の承認プロセスが必要になります。
いつ頃接種できるかについて、加藤官房長官は12月3日に、 「ファイザー社のワクチンについては、欧米と日本では治験が開始された時期も違っており、日本に対して具体的な承認が出たところではないので、現時点で具体的な接種の開始時期については、予断を持ってコメントするのは控える」 と述べました。厚労省では、申請があれば、早ければ2021年の2~3月頃には、承認の可能性もあると見ています。
また、誰でも接種できるわけではなく、優先順位があります。まずは医療従事者、それ以外の一般の人の優先順位は、高齢者、持病がある人という優先順位が決まっています。
■ワクチンの予防効果95%の意味
ワクチンの有効性についてもきちんと理解する必要があります。ファイザーは臨床試験の結果、ワクチンの予防効果は95%と発表していますが、100人が接種したら、95人はコロナに感染しないということではありません。
臨床試験では、まず対象者を2つのグループに分けて、グループAの1000人には本物のワクチンを投与。グループBの1000人にはプラセボと呼ばれる偽薬を投与します。その後、新型コロナを発症した人を調べると、偽薬を投与された人のうち100人が発症したのに対し、本物のワクチンを投与された人では5人しか発症しなかったとします。すると、その差である95人はワクチンのお陰で発症が防げた、と解釈できます。これが、有効性95%ということを示します。
■発症予防であり、感染予防ではない
ただし、ここで注意してほしいのは、このワクチンは、あくまで発症を抑えるもので、感染を防ぐ効果までは証明できていないことです。つまりワクチンを接種しても発症はしてないだけで、ウイルスは持っている可能性があるわけだから、他の人に感染させるおそれはあります。とはいえ、大多数の人がワクチンを接種できるような状況になれば、発症する人が大幅に抑えられるので、医療崩壊は防げるということなります。
■副反応や持続性が不明
しかし、ワクチンの接種で、絶対安心というわけではありません。現時点では、副反応や持続性が不明です。臨床試験では有効性や副反応を調べているのは数万人規模ですが、実際に数百万、数千万人が接種した場合、深刻な副反応が出ないとも限りません。また、ワクチンの効果がどれくらい持続するかについても、ファイザーは「可能性としては数か月のみならず数年の効果がある」と推定していますが、今後2年間は調査を続けるとしていて、実際のところはまだわかっていません。
世界初のワクチンには、まだまだわからないこともたくさんあります。その現状を常に意識して、過剰にワクチンに頼るのではなく、基本の感染対策は今まで通り、徹底することも忘れないようにしましょう。
(2020年12月3日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)