ウクライナ “地下”で行われる授業…子供への影響は 侵攻拡大へ備えも「私たちが存在するために…」
ロシアによる軍事侵攻から24日で2年。今も軍事侵攻が続くウクライナの首都キーウから、現地の「今」を森鮎子記者に伝えてもらいます。
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私がいるのはキーウ中心部にある独立広場です。冷たい風が強く吹き非常に寒いですが、金曜日の夕方ということもあり、多くの人が行き交っています。
1年前にこの場所で撮影した映像に映るウクライナ国旗は、ひとつひとつがロシア軍との戦闘で死亡した軍人を悼み、たてられていたものです。その旗は、この1年でここまでに増えました。多くの命が失われ続けている現実が伝わってきます。
──戦争の長期化で子供たちにも深刻な影響が出ていると思いますが、今どういった状況でしょうか?
私たちは今週、ロシアとの国境に近い激戦地の東部ハルキウで、子供の教育への影響を取材してきました。
ミサイル攻撃が学校にも相次いだため、今、一部の子供たちは地下鉄の駅の構内で授業を受けています。地下通路には小さな机とイスが並ぶ教室がつくられ、午前と午後で生徒を入れ替えて授業が行われています。
この街は今も、1時間おきに空襲警報が鳴り響くような状況でしたが、シェルターを兼ねる地下学校なら、おびえることなく学ぶことができます。ただ、休み時間は狭い教室の片隅で身をぎゅうぎゅうに寄せ合って遊ぶという状況で、子供たちは、元の学校でのびのびと過ごせる日を待ち望んでいます。
──私たちからすると2年、渦中の人は終わりのないトンネルだと思います。私なら地下で勉強するなんて意欲もうせてしまいそうに感じるんですけれども、ウクライナのみなさんは、どういう思いなのでしょうか?
兵役につくことをためらうなどの理由で国外に出る人がいるというのも事実です。一方で、世論調査では「必要な限り戦争に耐える覚悟がある」と答えた人は7割を超えています。実際、取材の中で多くの人が「国を守るため戦い続けなければならない」と答えました。
戦地でケガをした際の応急手当てを学ぶ訓練を取材しましたが、参加者の平均年齢は19歳と若者が多く、女性の参加者も増えているということで、年齢・性別問わず、強い危機感をもって侵攻の拡大に備えています。
軍への入隊を志望する参加者(17)「多くの人が英雄として命を落としました。私たちの土地だけでなく、存在するため・国家のために、今、戦いをやめるわけにはいきません」
平和な日常を取り戻したいという人々の願いはかなわぬまま、終わりのみえないロシアとの戦闘は、あす24日で2年を迎えます。