侵攻2年 トランプ復活なら“停戦仲介”か……外交関係者「プーチン氏は待っている」「春までが勝負」世論と支援に変化
ウクライナ侵攻からまもなく2年。厳しい状況に置かれるウクライナの国民の気持ちと、各国からの支援に変化が起きています。専門家によるとウクライナとロシアが折り合う余地がない中、トランプ氏が大統領に再選されれば停戦を仲介する可能性もあります。
「(ウクライナ侵攻が始まって)まもなく2年です。2月に東部の重要拠点のアウディーイウカが掌握されるなど、BBCによると約5分の1の領土がロシアに占領されている状況になっています。かなり厳しいですよね」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「そうですね。ゼレンスキー大統領は『極めて困難な状況だ』と、危機感をあらわにしています。ただ、厳しい状況にあるのは領土だけではありません。2年となるこのタイミングで、気持ちと支援についても変化が起きています」
有働キャスター
「気持ちというのはウクライナ国民の気持ちですか?」
小栗委員長
「そうです。キーウ国際社会学研究所によると、ウクライナの世論調査で『平和のためなら領土を諦めても良い』と答えた国民が、一昨年の12月は8%でしたが、去年12月は19%と2倍以上になりました」
「『どんな状況でも諦めるべきではない』と答えた人は、(同時期の比較で85%から74%に減り)初めて8割を割り込む結果となりました」
有働キャスター
「侵攻から半年のタイミングでウクライナを取材した時には『とにかくロシアを追い出さなければならない』と団結する姿が印象的でした。2年経って一人一人の気持ちに変化が出ているというのは、無理もないことですよね」
小栗委員長
「そして、支援にも変化が出ています。特に大事なのが、最大の軍事支援国のアメリカです。ウクライナやイスラエルなどへの支援を盛り込んだ、日本円で14兆円を超える緊急予算案を成立させようとしていますが、与野党が対立しているため見通しが立っていません」
有働キャスター
「アメリカの予算が非常に大きいのは分かりますが、とにかく一刻も早く市民が犠牲になる日は終わってほしいと思いますよね」
小栗委員長
「この侵攻はいつ終わるのか。防衛省・防衛研究所で研究幹事を務める兵頭慎治さんは『見通しが立たない。両者が折り合う余地は残念ながらない』と指摘します。一方で、唯一可能性があるとすれば、トランプ氏の返り咲きだといいます」
「兵頭さんは『トランプ氏が大統領に再選されれば、プーチン大統領と何らかの取り引きをして停戦を自ら仲介するのでは』とみています。プーチン大統領側も、これに応じるような動きがあるということです」
「支援をやめたいトランプ氏と態勢を整えたいプーチン大統領。この利害が一致しているからですが、ウクライナ側は『プーチンが応じるのは見せかけの停戦だ。本当の終戦にはつながらない』と懐疑的に見ているということです」
「外交関係者の中には『プーチン大統領はトランプ政権になるのを待っている。そうなる前に、どれだけ各国がウクライナを支援して反転攻勢できるか。実質、春までが勝負だ』と話す人もいます」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「東部の重要な拠点も掌握されて、ウクライナとしても苦しい状況に見えますね。ウクライナ国民のことを考えると2年も経っても先が見えない状況で胸が痛いですし、悲しい気持ちになります。僕たちができることは、サポートや発信を続けることかなと思います」
有働キャスター
「取材でご一緒したウクライナ人の友人であるジガルコ・ヴィタリーさん(37)から22日、メッセージを預かりました」
ジガルコ・ヴィタリーさん
「世界に伝えたい。皆さんも疲れたと思いますが、どうかウクライナへの支援をお願いします。ウクライナが負けたら影響は世界中に広がってしまいます。『力を持っている国はなんでもできてしまう』という恐ろしい変化です」
「そんな未来にしないよう、力を合わせて価値観を守りましょう。ウクライナ人は絶対に日本人への感謝を忘れません」
有働キャスター
「23日は、現地ウクライナとモスクワを中継でつないでお伝えします」
(2月22日『news zero』より)