【時系列でわかる⑪】“ガザ地区での攻撃縮小”を協議 米側、イスラエル首相らと会談(4日~15日まで)
10月7日、中東パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」が、イスラエルに向けてロケット弾などによる激しい攻撃を開始。イスラエル側も反撃し、武力衝突が激化しています。
アメリカのサリバン大統領補佐官は14日、イスラエルを訪問しネタニヤフ首相らと会談しました。アメリカ政府高官によりますと、会談で標的をハマスの幹部に絞った「強度を弱めた軍事作戦」への移行について協議をしたということです。
複数のアメリカメディアは、バイデン政権は数週間以内に規模を縮小した攻撃に移行するよう求めていると報じています。バイデン大統領は14日、「イスラエルにはどう民間人を保護するかに集中してもらいたい」「ハマスへの攻撃をやめるのではなく、より慎重に進めてほしい」と述べました。
武力衝突をめぐる動きを、時系列でまとめます。
(記事中の日付は原則、現地時間です)
イスラエル軍は、地上作戦をガザ地区全域に拡大すると発表しました。住民を退避させた先の南部への攻撃を強めていて、多くの犠牲者がでています。
イスラエル軍 ハガリ報道官
「ハマスとの戦争において、新たな段階に突入した」「我々は(ガザ)北部でハマスを追ってきたが、現在は南部でも追いかけている」
イスラエル軍の報道官はこう述べ、南部に作戦の軸足を移したことを明らかにしました。また、イスラエル軍の司令官は4日、地元メディアの取材に対し「ガザ地区北部での目標はほぼ達成された」と語っています。
南部では空爆も強化されていて、主要都市ハンユニスでは多くの民間人が犠牲になっています。
イスラエル軍は、また住民にさらに南のエジプトに近いラファに退避するよう呼びかけていましたが、そのラファでも攻撃で少なくとも35人が死亡したということです。ハマス側は「ガザ地区に安全な場所は北部にも南部にもない」と批判しています。
ロイター通信によりますと、ガザ地区の保健当局は、今月1日の戦闘再開以降、およそ900人が死亡したと発表しています。
イスラエル軍は4日も、ハマスの地下トンネルの入り口を発見し、破壊したとする映像を公開しました。
こうしたハマスのトンネルについて、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは4日、イスラエル軍が海水を流し込んで使えなくさせる計画を検討していると報じました。
イスラエル軍が先月中旬ごろ、ガザ地区北部に巨大なポンプシステムを構築したとしています。
■12月5日 イスラエル軍、ガザ地区南部に地上侵攻
イスラエル軍は5日、パレスチナ自治区ガザ地区南部の主要都市ハンユニスに地上侵攻したことを明らかにしました。
ロイター通信は5日、住民の証言として、ガザ地区南部の主要都市ハンユニスに、イスラエル軍の戦車が初めて侵入したと報じました。これについてイスラエル軍も、「我々は現在、ハンユニスの中心部にいる」と発表し、部隊が侵攻したことを明らかにしました。
こうした中、パレスチナ赤新月社は、ガザ地区南部で、救急車がイスラエル軍の攻撃を受けたとする映像を公開しました。
戦車からの砲撃音が響く中、負傷者らを搬送中の救急車が慌てて退避しますが、その後方では激しい砲撃が続き、市民らが走って避難する様子が映されています。この攻撃で救急隊員1人がケガをし、救急車も破損したということです。
イスラエル軍の攻撃が激しさを増す中、戦闘休止の交渉を仲介したカタールのタミム首長は5日、「女性や子供を含む無実の民間人が、組織的かつ意図的に殺され続けている」と述べました。
さらに「国際社会がこのような凶悪な犯罪を2か月近くも放置しているのは、恥ずべきことだ」と指摘した上で、国連安全保障理事会の常任理事国に対し、イスラエルを交渉に復帰させるよう求めました。
イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘は、7日で2か月。イスラエル軍は、ガザ地区南部の主要都市に地上侵攻し、激しい戦闘が行われています。
イスラエル軍は、南部の主要都市ハンユニスの中心部に入り、ハマスと激しい戦闘が行われています。
ネタニヤフ首相は7日、地上部隊がハマスのガザ地区の指導者シンワル氏の自宅を包囲したとしたうえで、「逃げたとしても捕まえるのは時間の問題だ」と述べました。
ロイター通信は、人口密集地への空爆などイスラエル軍は、この2か月間で最も激しい攻撃を行っていると伝えています。またパレスチナ側によりますとエジプトに近いラファでも空爆で9人が死亡したということです。
病院には、空爆で負傷した住民らが次々と運び込まれていてハマス側は、これまでに1万6000人以上が死亡し、そのうち7000人が子どもだと主張しています。
国連のグテーレス事務総長は、この地域の平和と安定にとって取り返しがつかない状況になりつつあると警告しています。
イスラエルとイスラム組織「ハマス」の衝突が続くパレスチナ自治区ガザ地区の人道状況をめぐり、国連のグテーレス事務総長は6日、安全保障理事会に対して人道的停戦を宣言するよう正式に要請しました。
国連憲章では、国際平和と安全の維持を脅かす事案について、事務総長が安保理に注意喚起できると定められています。
ガザ地区の人道状況が深刻化していることを受け、グテーレス事務総長は6日、就任以来、初めてこの規定を活用し、安保理に対し決議で「人道的大惨事」の回避と人道的停戦を宣言するよう要請しました。
事務総長は安保理の議長宛ての書簡で「ガザに安全な場所はない」と訴えた上で、「近いうちに社会秩序が完全に崩壊し、限られた人道支援さえも不可能になる」と警告しました。
一連の衝突をめぐり、安保理は先月、戦闘の「一時休止」を求める決議を採択しましたが、停戦を求める決議案はアメリカの反対などにより否決されています。
安保理決議には法的拘束力があるため、違反すると制裁が科される可能性があります。
イスラエル軍は、ガザ地区でイスラム組織ハマスの拠点数十か所を攻撃し、多数のハマス戦闘員が投降したと明らかにしました。
ガザ地区で撮影されたとされる映像には、服を脱がされ下着姿になった男性が路上に座り、イスラエル軍に連行されていく様子が映っています。
イスラエル軍の報道官は、多数のハマスの戦闘員が投降したとした上で、戦闘員と疑われる数百人を拘束して尋問していると明らかにしました。
一方、アラブ系メディアは、イスラエル軍は一般住民も拘束していて、中にはジャーナリストも含まれていると報じています。
イスラエル軍の空爆などで犠牲になる民間人は増え続けています。ガザ保健当局はこの24時間で350人以上が死亡し、死者が1万7000人以上に上っているとしています。
ロイター通信は、より多くの支援物資を運び込むため、ガザの境界にあるケレム・シャローム検問所を開くことにイスラエルが同意したと報じています。
人道状況が悪化の一途をたどる中、アメリカのブリンケン国務長官はイスラエル側に苦言を呈しています。
ブリンケン国務長官「私がイスラエルで話した民間人の保護、それと今、私たちが見ている現実とは隔たりがある」
また、バイデン大統領もネタニヤフ首相と電話会談し、民間人保護に取り組むよう働きかけたということです。
国連の安全保障理事会は8日、大規模な衝突が続くパレスチナ自治区ガザ地区での人道目的の即時停戦を求める決議案を採決しましたが、アメリカが拒否権を行使し、否決されました。
ガザ地区での人道目的の即時停戦を求める決議案について、8日の緊急会合では、15か国のうち日本を含む13か国が賛成し、イギリスが棄権しましたが、常任理事国のアメリカが拒否権を行使したため、否決されました。
アメリカは拒否権行使の理由について、決議案にイスラム組織ハマスへの非難やイスラエルの自衛権が盛り込まれていないことなどを挙げました。
アメリカ ウッド国連次席大使
「議案の作成者たちが、なぜハマスを非難する文言を盛り込むことを避けたのか、理解できない」
パレスチナ マンスール国連大使
「安保理にとって最悪な日だ。停戦せよ!停戦せよ!命を守れ!」
決議案はUAE(=アラブ首長国連邦)が提出し、およそ100か国が共同提案国となりましたが、アメリカが拒否権を行使したことで、国際的な批判が高まるものとみられます。
ロイター通信によりますと、ハマスは「非倫理的で非人道的だ」と非難しています。
イスラエル軍は8日、パレスチナ自治区ガザ地区で、イスラム組織ハマスに拘束されている人質の救出作戦に失敗したことを明らかにしました。
イスラエル軍はガザ地区南部の主要都市ハンユニスでの攻勢を強めていますが、8日、人質救出作戦に失敗し、イスラエル兵2人が大ケガをしたと発表しました。
ただ、この作戦で「多数のテロリストを殺害した」と主張しました。
さらに、この48時間で200人以上を拘束し、ハマスの司令官を含む数十人をイスラエルでの尋問のため、情報機関などに引き渡したということです。
■12月9日 ガザ地区で新たに133人死亡と発表
ロイター通信などは、9日の保健当局の発表として、ガザ地区南部の複数の病院でそれまでの24時間のうちに133人が死亡したと伝えました。
■12月9日 イスラエル軍参謀総長“ハマスに体制崩壊の兆し”
イスラム組織ハマスの掃討作戦を続けるイスラエル軍の参謀総長は9日、ハマスに体制崩壊の兆しがみえると述べました。
イスラエル軍がガザ全土で作戦を続ける中、前線を訪れた参謀総長は9日、「テロリストの降伏は体制崩壊の兆候だ」と述べた上で、さらに攻勢をかけるべきだと鼓舞しました。
こうした中、イスラエル軍は、南部ハンユニスなどを空爆するとともに、住民に対し中心部から退避するよう求めました。ハンユニスの病院には、空爆による負傷者などが次々と運び込まれていて、ガザ保健当局は、これまでに1万7700人以上がなくなったと主張しています。
ユニセフ報道官「私はウクライナで避難を強いられる人々に世界が心を寄せるのをみた。なぜ、ここの人々については世界は目をつぶるのか、理解できない」
イスラエル・メディアは、ネタニヤフ首相がアメリカのバイデン大統領と週末に電話会談した際、南部ハンユニスでの軍事作戦が3、4週間続くとの見通しを伝えたと報じています。
アメリカは10日、戦車の砲弾などおよそ1億650万ドル相当の武器をイスラエルに売却すると発表しています。
WHO(=世界保健機関)のテドロス事務局長は10日、国連安全保障理事会でイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘への即時停戦を求める決議案が否決されたことについて、「非常に残念だ」と述べ、強い遺憾の意を示しました。
WHOのテドロス事務局長は10日、イスラエルとハマスの戦闘によって、ガザ地区にあった病院36か所のうち一部でも機能している施設は14か所だけになったと明らかにし、戦闘が人々の健康に「壊滅的な影響を及ぼした」と訴えました。
戦闘が始まった10月7日以降、医療機関への攻撃がガザ地区とヨルダン川西岸で449件、イスラエルでは60件、確認されていて、医療従事者は活動が不可能になり、「直接、銃撃の列に立たされている」と非難しました。
さらに、ガザ地区では人々が非常に狭いエリアへの移動を余儀なくされたため、シャワーは700人ごとに1台、トイレは150人ごとに1基しかない状況に陥っているとして、こうした状況では病気が蔓延する条件がそろってしまっていると指摘しました。
またテドロス事務局長は、国連の安全保障理事会で8日に戦闘の即時停戦を求める決議案が否決されたことについて、「非常に残念に思う」と述べ、「停戦こそが、ガザ地区の人々の健康を守る唯一の方法だ」と強く訴えました。
イスラエル軍は10日、パレスチナ自治区のガザ市にあるイスラム組織ハマスの司令センターとする建物で手榴弾などの軍事装備品を発見したとして、映像を公開しました。
イスラエル軍は10日、ガザ市シュジャイヤにあるハマスの司令センターとする建物で、手榴弾や対戦車ミサイル発射装置などの軍事装備品を発見したとして映像を公開しました。また、「地上作戦の開始以来、初めて、砲兵がガザ地区内で活動している」と主張しました。
一方、ロイター通信によりますと、ガザ地区保健当局の報道官は10日、「この24時間でガザ地区で297人が死亡し、550人以上が負傷した」と明らかにしました。武力衝突以降の死者は、およそ1万8000人にのぼるということです。
イスラエルのネタニヤフ首相は10日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、イスラム組織ハマスとの衝突を巡ってロシアが国連安全保障理事会で即時停戦決議案に賛成したことについて、不満を表明しました。
イスラエル首相府によりますと、ネタニヤフ首相は10日、ロシアのプーチン大統領と電話で会談しました。この中でネタニヤフ首相は、国連安保理でロシアが即時停戦を求める決議案に賛成したことについて、「不快感を表明した」ということです。また、ネタニヤフ首相は、ロシアがイランとの関係を強化していることについても「危険な協力だ」と強く批判したとしています。
一方、ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は、「テロリズムを非難する」とした上で、「テロの脅威への対抗によって、民間人に深刻な結果をもたらしてはならない」とも述べて、イスラエル軍の攻撃によって、ガザ地区の民間人に死者が出ていることを批判しました。
両首脳は「連絡継続」で合意したということですが、これまで盟友関係にあったロシアとイスラエルの関係が悪化しています。
イスラエル側がイスラム組織ハマスの戦闘員が投降する様子だとして公開した映像をめぐり、ネタニヤフ首相は10日、「ハマスの終わりの始まりだ」と主張しました。
SNSに流出した映像では、数十人の男性が下着姿で路上に並ばされ、そのうちの一人が銃を差し出しています。
映像についてイスラエル側は、ハマスの戦闘員が投降する様子だとしていて、ネタニヤフ首相も10日、「ここ数日で、何十人もの戦闘員が投降した。ハマスの終わりの始まりだ」と主張しました。
一方、ハマスは「一般市民を拘束したうえでのやらせだ」と主張し、「我々の英雄たちは戦場に立ち続ける」と強調しました。
映像の真偽をめぐり、中東メディアのアルジャジーラが「演出されたものだ」と分析しているほか、BBCも「正確な状況については疑問が残る」としています。
イスラエル軍は11日、パレスチナ自治区ガザ地区にあるモスクでイスラム組織「ハマス」が訓練で使用していたとする施設の映像を公開しました。
イスラエル軍は11日、ガザ地区・ジャバリアにあるモスク内部でハマスが訓練で使用していた施設を発見したとして、映像を公開しました。モスクには武器のほか、爆発物を研究するための部屋があったなどと説明しています。
ロイター通信によりますと、イスラエルのガラント国防相は11日、「ガザ北部とガザ市での作戦は限界に近づいている」と述べ、ハマス戦闘員らに対し、「降伏するか殺されるか」選択するよう呼びかけました。
さらに、「イスラエルはガザ地区に永久にとどまる考えはない」とした上で、「イスラエルに敵対的でない限り、ガザ地区を誰が支配するか、あらゆる選択肢を議論する用意がある」と述べました。
こうした中、ガザ地区とイスラエルの境界付近では11日も照明弾が降り注ぐなど、夜間も戦闘が続く様子が見られました。ガザ保健当局はこれまでに1万8205人が死亡、4万9645人がケガをしたと主張しています。
■12月11日 「ハマス」の戦闘員ら500人以上を拘束 イスラエル軍が発表
イスラエル軍は11日、過去1か月でイスラム組織「ハマス」の戦闘員ら500人以上を拘束したと発表しました。
イスラエル軍によるハマス戦闘員の拘束をめぐっては、下着姿の男性らの映像が拡散されて批判の声もあがっています。こうしたなか、イスラエル軍は新たに拘束された男性らを服を着た状態で連行する写真を公開しました。
イスラエル軍は11日、過去1か月でハマスの戦闘員ら500人以上を拘束し、その半数以上をイスラエルに連行し取り調べていると明らかにしました。
また、ガザ地区とイスラエルとの境界にあるケレム・シャローム検問所でも、搬入物資の安全検査を実施すると発表しました。検査量がふえるため、ラファ検問所を通じてガザ地区に搬入できる物資の量は2倍になると主張しています。
一方、アメリカのワシントン・ポストは11日、イスラエル軍が今年10月、イスラム教のシーア派組織「ヒズボラ」の拠点があるレバノン南部に対して、アメリカが供与した「白リン弾」を使用し、民間人9人がけがをしたと報じました。白リン弾は激しいヤケドといった被害をもたらすことから民間人などを標的に使うのは非人道的とされていて、アメリカも懸念を示しています。
イスラム組織ハマスの掃討作戦を続けるイスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザ地区北部で、ハマスの拠点があるとして新たに病院に突入したとみられます。
AFP通信などによりますと、地上侵攻を進めるイスラエル軍は12日、ガザ地区北部でカマルアドワン病院を襲撃したということです。
ガザ地区の保健当局は、「イスラエル軍は、病院を何日間も包囲して爆撃した後、内部に突入した」としています。イスラエル軍はこれまでも、ガザ地区全土で病院にハマスの拠点があるとして攻撃を繰り返していました。
こうした中、ガザ地区とイスラエルとの境界にあるケレム・シャローム検問所では、ガザに運び込む支援物資の安全検査が始まりました。
これで検査場所は2か所となり、支援物資の量が増えることが期待されますが、検査した物資はこれまで通り、ラファ検問所から運び込まれるため、人道状況の改善につながるかは不透明です。
国連総会は、日本時間13日午前6時半ごろ、大規模な衝突が続くパレスチナ自治区ガザ地区での「人道目的の即時停戦」を求める総会決議を153か国の賛成により採択しました。
イスラエルとイスラム組織「ハマス」の衝突をめぐり、国連総会が緊急特別会合を開くのは、今回が2回目です。
会合は、今月8日の安全保障理事会で、ガザ地区での「人道目的の即時停戦」を求める決議案にアメリカが拒否権を行使し否決されたことを受け、エジプトなどが開催を要請したものです。
緊急特別会合の開催に合わせてニューヨークの国連本部前には数百人のパレスチナ支持者らが集まり、道路を封鎖した上で「即時停戦を」、「ガザに自由を」などと訴えました。
会合では、8日に否決された安保理決議案と同じく「人道目的の即時停戦」を求める総会決議の採決が行われ、日本を含む153か国の賛成により採択されました。
反対は、アメリカやイスラエルなど10か国、棄権は23か国でした。
総会決議は、安保理決議とは異なり法的拘束力はありませんが、国際社会の総意としての意味を持ち、停戦に向けた機運を高める狙いがあります。
パレスチナ自治区ガザ地区にあるイスラム組織「ハマス」の地下トンネルについて、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは12日、イスラエル軍が海水の注入を始めたと報じました。
ウォール・ストリート・ジャーナルは12日、アメリカ政府高官の話として、イスラエル軍がガザ地区にあるハマスの地下トンネルに海水の注入を始めたと報じました。いつ始めたのかは明確になっていませんが、注入は数週間続くとみられています。
イスラエル側は、これらの地下トンネルでハマスが人質や戦闘員、武器などを隠しているとしていて、あるバイデン政権の高官は、この作戦がトンネルの一部を破壊するのに効果的だろうとの認識を示しているということです。
ただ、海水の注入はガザ地区の水の供給に悪影響を及ぼすとの懸念も出ています。
こうした中、ガザ地区とイスラエルとの境界にあるケレム・シャローム検問所では、ガザに運び込む支援物資の安全検査が始まりました。
これで検査場所は2か所となり、支援物資の量が増えることが期待されますが、検査した物資はこれまで通り、ラファ検問所から運び込まれるため、人道状況の改善につながるかは不透明です。
■12月13日 イスラエルのネタニヤフ首相「戦闘継続」を強調 停戦求める声も強硬路線崩さず
パレスチナ自治区ガザ地区で多くの民間人が犠牲となり、停戦を求める声も高まる中、イスラエルのネタニヤフ首相は13日、国際的な圧力に直面しても戦闘を続けると強調しました。
ロイター通信によりますと、イスラエルのネタニヤフ首相は13日、軍へのメッセージで「大きな痛みや国際的な圧力に直面しても、最後まで勝利のために戦う」と強調しました。
国連で即時停戦を求める総会決議が採択され、アメリカのバイデン大統領からも「イスラエルは世界で支持を失いつつある」と苦言を呈されましたが、イスラエルは強硬姿勢を崩していません。
イスラエルによる激しい攻撃が続く中、イスラム組織ハマスも13日、ガザ地区南部などでの戦闘とする映像を公開し、イスラエル軍の車両を攻撃したと主張しています。
また、ハマス側はロケット弾による越境攻撃も行っていて、ロイター通信によりますと、イスラエル軍が迎撃したロケット弾の破片が、イスラエル南部のスーパーに落下しました。
こうした中、ガザ地区では13日、広い範囲で大雨が降り、中部の難民キャンプも浸水しました。冬を迎えて気温も低下していて、避難民は厳しい生活を強いられています。WHO(=世界保健機関)は感染症も拡大していると警鐘を鳴らしています。
イスラエルのガラント国防相は、イスラム組織「ハマス」を壊滅させるには数か月かかるとの見通しを示しました。
ガラント国防相は14日、イスラエルを訪問したアメリカのサリバン大統領補佐官と会談しました。
ロイター通信によりますと、ガラント国防相は「ハマスは10年以上かけて地中と地上のインフラを構築してきた」と指摘した上で、「数か月以上かかるだろうが、我々は必ず勝利し壊滅させる」と述べたということです。
ネタニヤフ政権は、国際的な圧力が高まる中でも、ハマスせん滅という目標達成のために戦闘を続ける強硬姿勢を崩していません。
■12月14日 “ガザ地区での攻撃縮小”を協議 米側、イスラエル首相らと会談
アメリカのサリバン大統領補佐官は14日、イスラエルでネタニヤフ首相らと会談し、パレスチナ自治区ガザ地区での攻撃を縮小することについて協議しました。
アメリカのサリバン大統領補佐官は14日、イスラエルを訪問しネタニヤフ首相らと会談しました。アメリカ政府高官によりますと、会談で標的をハマスの幹部に絞った「強度を弱めた軍事作戦」への移行について協議をしたということです。
複数のアメリカメディアは、バイデン政権は数週間以内に規模を縮小した攻撃に移行するよう求めていると報じています。バイデン大統領は14日、「イスラエルにはどう民間人を保護するかに集中してもらいたい」「ハマスへの攻撃をやめるのではなく、より慎重に進めてほしい」と述べました。
イスラエル軍は15日、パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘中に、イスラエル人の人質3人を誤って殺害したと発表しました。
イスラエル軍によりますと、ガザ地区での軍事作戦で拘束されていた人質3人を誤って脅威とみなして発砲し、3人は死亡したということです。
遺体はイスラエルに移送され、身元が確認されました。
イスラエル軍は、「遺族に心から哀悼の意を表します」とした上で原因について直ちに調査を開始したとしています。
イスラエル軍による人質誤射の発表を受け、テルアビブでは数百人が軍の施設周辺で抗議活動を行いました。ガザ地区で拘束されている人質は依然、100人以上いるとされていて、早期解放を求める声がさらに高まるとみられます。
■12月15日 米・イスラエル ガザ地区での攻撃“規模縮小”で合意
パレスチナ自治区・ガザ地区での戦闘をめぐり、アメリカ政府高官は攻撃の規模を縮小することでイスラエル側と合意したと明らかにしました。
ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は15日、イスラエルの軍事作戦の規模を縮小することについて、「一般的な合意が得られたと思う」と述べました。そのうえで「強度を弱めた作戦への移行は、明らかに重要な次のステップになるだろう」としています。
ただ、縮小する規模や具体的な時期などについては言及しませんでした。
ガザ地区での作戦をめぐっては、イスラエルを訪問していたアメリカのサリバン大統領補佐官が15日、作戦はハマスの指導者に的を絞った次の段階に移行するとしていました。
一方、イスラエル政府は15日、パレスチナ自治区ガザ地区との境界にある、ケレム・シャローム検問所から人道支援物資を搬入することを一時的に許可しました。
支援物資の搬入はこれまでエジプトとの境界にある、ラファ検問所に限定されていました。