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【解説】歴史的大接戦で投票へ 両候補、激戦州で最後の訴え 最新の情勢は?

2024年11月5日 19:54
【解説】歴史的大接戦で投票へ 両候補、激戦州で最後の訴え 最新の情勢は?

アメリカの大統領選挙は、日本時間の5日夜、投票が始まります。ハリス副大統領とトランプ前大統領は「最後の訴え」を行いました。日本テレビの山崎大輔ワシントン支局長が解説します。

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山崎大輔 NNNワシントン支局長
「最新の全米の支持率では、トランプ氏48.6、ハリス氏48.7と、その差はわずか0.1ポイントです。先ほどまで行われていたトランプ氏の最後の訴えは、午前2時過ぎまで続きました。両候補の最後の演説です」

民主党候補 ハリス副大統領(米・ペンシルベニア州 日本時間5日午後)
「私は意見が異なる人々にも、耳を傾けることを誓います。そして常に、党や自分自身よりも国を優先し、全てのアメリカ人のための大統領となることを誓います」

共和党候補 トランプ前大統領(米・ミシガン州 日本時間5日午後)
「カマラ・ハリス副大統領は、知っての通り非常にIQの低い人物だ。IQの低い人物は必要ない。(バイデン政権の)4年間もそうだった。この国は破滅に向かっている。私は国を立て直すつもりだ。私はすぐにインフレを終わらせる」

鈴江奈々キャスター
「最後の訴えを聞いていると、ハリス氏は5日もトランプ氏への批判を抑えていましたね」

山崎支局長
「そうなんです。もともとハリス氏は最終盤、中間層を重視する政策が浸透しないということで、トランプ氏が返り咲いた場合の危険性を訴える戦略をとっていました。トランプ氏が復権すれば独裁者になると警告し、トランプ氏を大統領にしないために投票に行ってほしいと呼びかけていました」

「ただ最終盤にきてトランプ氏の批判を封印し、団結を呼びかける方針に転換しました。アメリカメディアはトランプ批判に偏り過ぎたことで勢いを失ったとして、軌道修正を図ったと指摘しています」

「一方、トランプ氏は物価高と不法移民の問題に焦点を当てて、有権者の現状への不満を巧みにすくい上げ、従来のハリス氏の支持層だった黒人やラテン系にまで支持を広げてきました」

「この戦略がはまり、着実に支持を伸ばす一方で、ハリス氏への個人攻撃や暴力的な発言はエスカレートし、無党派層や女性の支持離れを自ら招いたことで、ハリス氏を支持率で引き離すことができませんでした。結局、『トランプの最大の敵はトランプだった』という指摘も出ています」

鈴江キャスター
「最新の情勢は、どうなっていますか?」

山崎支局長
「そもそもアメリカの大統領選の仕組みは、州ごとに勝者を決めます。州ごとに割り当てられた選挙人を、多く獲得した候補が大統領となります」

「538人の選挙人のうち過半数が270人で、現状の獲得見込みはハリス氏226人。トランプ氏219人でどちらが勝ってもおかしくない、7つの激戦州の選挙人93人が勝敗を分けるカギとなります」

「その激戦州の支持率ですが、最も差が開いているアリゾナ州でも2.8ポイント差。ペンシルベニア州は0.4ポイント差で、歴史的な大接戦となっています」

斎藤佑樹キャスター
「最後まで大接戦が続く中、ふたりはどういう戦略だったのでしょうか?」

山崎支局長
「選挙戦のラスト3日間、両候補がどの州を訪れたかをみると、両候補の狙いが透けて見えます」

山崎支局長
「まずハリス氏ですが、4日の最終日はペンシルベニア州だけに費やしました。激戦州で最多の選挙人19人を抱える最重要州のペンシルベニアには、40万人以上のプエルトリコ系住民がいます」

「トランプ氏の集会でコメディアンが『プエルトリコはゴミの島』と発言したことを受け、ハリス氏は、この日、プエルトリコレストランを訪問したり、最後の集会にはプエルトリコ出身の有名歌手リッキー・マーティンさんを動員するなど、徹底的に取り込みを図りました」

「一方のトランプ氏の動きを見ると、当然、ペンシルベニア州もテコ入れを図っていますが、特に力を入れているのが、3日連続で訪問したノースカロライナ州です」

「7つの激戦州のうち、トランプ氏が4年前の大統領選でバイデン氏に勝ったのは、このノースカロライナ州だけで、トランプ氏にとっては絶対に落とせない州なんです」

「3日間連続で訪れたことについてアメリカメディアは『トランプ陣営が、ここの勝利に不安を抱いている』ことのあらわれだと指摘しています」

鈴江キャスター
「7つの激戦州以外は、勝負は決まっていると考えていいのでしょうか?」

山崎支局長
「通常ならそうなのですが、最終盤に来て、激戦州ではないアイオワ州の世論調査が、両陣営に衝撃を与えました」

「アイオワ州では過去2回、トランプ氏が勝利していて今回も優勢とみられていたのですが、地元紙の世論調査でハリス氏がトランプ氏を3ポイント上回ったんです」

「地元紙は無党派層からの女性の支持が要因だと分析していて、民主党関係者からは他の州でも、同じ傾向が出るのではないかと期待感も出ています。最終盤に入り、トランプ氏に勢いがありハリス氏が失速したとみられていましたが、この世論調査をきっかけに、ハリス氏が最後に少し盛り返してきたという見方も出ています」

「アメリカに初の女性大統領が誕生するのか。それとも、トランプ氏が再び返り咲くのか。投票は日本時間の5日夜、始まります」

(11月5日午後5時ごろ放送『news every.』より)

最終更新日:2024年11月5日 19:54