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言論の自由“崩壊”「リンゴ日報」発行停止

2021年6月24日 17:53
言論の自由“崩壊”「リンゴ日報」発行停止

中国に批判的な論調で知られる香港の新聞「リンゴ日報」が、発行停止に追い込まれ、24日朝の新聞が最後となりました。反政府デモなどを取り締まる、国家安全維持法の施行からまもなく1年、香港の言論の自由が事実上“崩壊”した形です。

    ◇◇◇

23日深夜、香港の大手新聞リンゴ日報の報道フロアでは、最後の編集作業が終わると拍手が起こりました。

「私たちはみんな『リンゴ人』だ!」

リンゴ日報編集幹部
「みんな良くやりました。仲間と外の支持者に感謝を伝えたい」
「(Q目が赤いが?)このような時に感情を抑えるのは難しい」

リンゴ日報は、24日朝の発行を最後に26年の歴史に幕を下ろしました。最後の新聞は、過去最多のおよそ100万部が発行され、一面の見だしには、「香港人と雨の中悲しい別れ」と書かれていました。

街中の売店には、リンゴ日報を支援する意思を示そうと、多くの市民が並び、新聞を買い求めました。

市民は―
「リンゴ日報は香港人の最後の一線だ。(中国に批判的な)最後の新聞さえなくなった。香港に未来があるのかどうかさえわからない」

リンゴ日報は、これまで、中国共産党に批判的な記事を数多く掲載してきました。状況が一変したのは、およそ1年前に施行された香港国家安全維持法です。当局は、「国家の安全に危害を加えた」として創業者の黎智英氏や幹部を次々と逮捕しました。

グループ企業の資産も凍結され、発行停止に追い込まれたのです。数日前にリンゴ日報を辞めた記者は─。

リンゴ日報元記者
「取材を妨害され、原稿を書くことで、刑務所に入れられる可能性がある。また、いつ捜査されるのか、次は誰を逮捕するのか、現場の記者まで逮捕するのか、まったくわからなかった。」
「(報道の自由は)もう死んだ」

リンゴ日報でなければ、もう書きたいことは書けないと話しました。

    ◇◇◇

一方、中国外務省の報道官は、日本時間24日午後4時すぎ-。

中国外務省報道官
「報道の自由は免罪符ではない。法に背くことは必ず追及し、厳格に法を執行する」

来月1日に迫る中国共産党創立100周年を前に、香港当局は、リンゴ日報への圧力を急速に強めました。一国二制度によって保障されてきた、香港の「言論の自由」は事実上、崩壊しました。