習主席×ブリンケン長官 米外交トップの「面会希望」は渡りに船?……習主席のホンネとは 米側は“ギリギリ”で一歩進展
アメリカの外交トップのブリンケン国務長官が訪中し、習近平国家主席と面会しました。両国の間で緊張関係が続く中、前向きな動きが出てきたといえます。アメリカが習主席に会いたかった理由、習主席が面会に応じた背景、日本の受け止めを考えます。
有働由美子キャスター
「中国・北京で19日午後、習近平国家主席が顔を微妙に緩め、アメリカの外交トップのブリンケン国務長官と握手をしました。今、米中関係が緊張している中で約35分間面会が行われました」
「習主席は『国と国の交流はお互いに尊敬と誠意を持って行われるべき』と述べました。ブリンケン長官は『米中両国が責任を持って関係を管理する義務がある』との、バイデン大統領の考えを伝えたということです」
「ブリンケン長官に習主席が会うのか会わないのか注目されていましたが、結果面会しました。これは進展したと見てよいのでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「はい。ブリンケン長官は、北京を発つ前ギリギリで習主席に会えました。『会えたのは大きい、よかった』というところでしょう。アメリカはなぜ今、習主席に会いたかったのか。習主席はなぜ会うと決めたのか。日本はどう見ているのか。3つのテーマで考えます」
小野委員
「まずアメリカは『今が大事』と考えていました。中国の偵察気球をアメリカが撃ち落としたり、台湾問題で緊張が高まったりしています。アメリカ軍と中国軍との間で意思疎通もできていないため、予期せぬ衝突が起きかねません」
「だから今こそ、アメリカはコミュニケーションを求めています」
「そして大事なのは習主席との首脳会談です。今年秋にG20などの国際会議があります。その場で首脳同士は否が応でも顔を合わせます。そこで首脳会談ができないということになると、緊張感が増してしまいます。秋に向けて準備を始めるなら、今がギリギリです」
有働キャスター
「一方の習主席は、なぜ会うと決めたのでしょうか?」
小野委員
「習主席はすましているようですが、中国総局の富田記者の見方では『コロナ後の経済回復が進まず、アメリカなどから投資を呼び込みたい』『アメリカと関係改善をすれば、仲間の日本、ヨーロッパ、韓国も中国に理解を示すのでは』といった本音があります」
「一方で『国内向けにはアメリカにすり寄っている姿は見せられない』『ブリンケン長官が来て面会を希望し、首脳会談を提案してくれるのは“渡りに船”』とも考えていると、富田記者は見ています」
有働キャスター
「“渡りに船”と思って(2人が握手している)写真を見ると、習主席の方が喜んでいるように見えます」
小野委員
「ニコニコでしたよ」
小野委員
「日本の外務省幹部も注目しています。『日本も大臣が訪中したし、中国とは対話が重要』『ただ今の体制は習主席に会わないと中国の考えていることは分からない。そのため習主席に会わないといけない』と言います。日本も首脳会談を狙っていくということでしょう」
有働キャスター
「アメリカと中国は緊張の時間が長かったので、対話が再開して一歩前向きな動きが出てきたことは歓迎です。これは即、日本にも影響してきますので、早くも次の動きが気になります」
(6月19日『news zero』より)