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習主席が「和平」仲介?――訪露でプーチン氏と会談 目的は「対米戦略」「平和外交イメージ」「復興事業」か…停戦の行方は

2023年3月21日 10:34
習主席が「和平」仲介?――訪露でプーチン氏と会談 目的は「対米戦略」「平和外交イメージ」「復興事業」か…停戦の行方は
習主席のロシア訪問 狙いは?

中国の習近平国家主席が20日訪露し、プーチン大統領と会談しました。「平和の旅」と表現していますが、頭にあるのはアメリカです。専門家によると、平和外交のイメージ作りと、ウクライナの復興事業への関与という思惑もあります。停戦など変化が生まれる可能性は?

■習主席、対アメリカで2つの狙い

有働由美子キャスター
「習近平国家主席は今回のロシア訪問を『平和の旅』だとしています。この人が動き出したことで、ウクライナの状況に変化が生まれる可能性はあるのでしょうか?」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「確かに習主席が動くのは、他の首脳が動くのとはわけが違います。プーチン大統領への影響力がありますから。ただ、習主席の頭にあるのはアメリカです」

「今回の旅の狙いは、1つは『アメリカをけん制したい』というもの。プーチン大統領とがっちりと絆を結び、アメリカと対抗することです」

「2つ目は『アメリカからの非難を和らげたい』ということです。“中国はロシア寄りではないか、ロシアの味方ではないか”と、非難され続けていました。その挙句に中国がアメリカやヨーロッパから経済制裁されるようなことは避けたいわけです」

「そのため『平和の旅』と言って、ロシアだけの味方ではないとアピールしています」

■サウジとイランを仲介…中国の思惑

小野委員
「今、中国には、“世界の中で自分たちがこういう地位でありたい”という思いがあります」

「これまでいがみ合っていた中東の大国、サウジアラビアとイランが関係を改善しました。間を取り持ったのは中国です。世界中が驚きました。“中東の仲介役”というと、これまでアメリカでしたが、今回はアメリカを出し抜いて中国が仲立ちしました」

有働キャスター
「同じように『ウクライナとロシアの仲介に立てるのも中国ですよ』と?」

小野委員
「中国政治に詳しい神田外語大学の興梠一郎教授は『習主席自身、今回、成果があるとは思っていないだろう。目的は、アメリカが話せない相手と話し、中国でないとできないという平和外交イメージを作り出すことだろう』とみています」

「それだけではありません。興梠教授は『習主席はウクライナとも良好な関係を保ち、後にウクライナの復興事業に関わることまで考えている』と言います」

有働キャスター
「結局、中国のイメージ作りと自分のビジネスということですか…」

小野委員
「ウクライナの停戦は残念ながら難しそうです。ロシア政治に詳しい慶応義塾大学の廣瀬陽子教授は『プーチン大統領は侵攻を続けるつもりだ』と指摘します」

「廣瀬教授は『プーチン大統領が中国に望むのは、あくまで侵攻を続けるための軍事的・経済的支援。習主席との会談で協力関係を高める文書を締結したいと考えているはず』と話します」

「さらに、『中国が“和平案だ”と言っても、ロシア軍の撤退に触れていなければ、ウクライナにとっては全く意味のない提案で、停戦に向けて進展する可能性はないと思う』と見通しを語ります」

有働キャスター
「結局は自分たちの思惑推しで終わってしまうのでしょうか…。21日はプーチン大統領と習主席の公式な首脳会談が行われます」


(3月20日『news zero』より)