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オランダで史上最大のフェルメール展、真贋が問われ話題の”日本発”の作品も

2023年3月14日 11:17
オランダで史上最大のフェルメール展、真贋が問われ話題の”日本発”の作品も

オランダ・アムステルダム国立美術館で開催中のフェルメール展は、2月10日のオープン数日後に6月4日までの会期中の入場枠全てが完売した。「国立美術館友の会」に会費50ユーロでメンバーになれば入場可能という「裏技」のほうも、許容人数を超えたという理由で受付が停止されている。

世界に散らばる作品に出会うため、各国の美術館を回るファンもいる17世紀オランダの画家、フェルメール。37作品とされるフェルメール作品のうち28点もが同じ空間に会するこの展覧会は「事件」といってよい。

場内は撮影OK。広大な展示エリアに作品はわずか28点、贅沢な空間となっている。作品数が少ないだけに希少性が価値を高めているが、フェルメール作品が実は日本に一点あることはあまり知られてないかもしれない。

2014年のクリスティーズのオークションに出品された《聖プラクセディス》、11億円での落札者は日本人との説があったが詳細は明らかにされなかった。翌年、その作品が上野の国立西洋美術館に寄託されて展示された際、作品説明には「フェルメール(に帰属)」とあった。「帰属」は真作かどうかをめぐり議論がある場合に使われる言葉だ。

それが、今回のフェルメール展では、「フェルメール」作と明言されている。

この絵、よく見るとちょっと怖い。手前の聖人プラクセディスの後方に横たわっているのは斬首された殉教者。その血をぬぐい、手前の器に注いでいる。素人目でみても、フェルメールの有名な後期の作品とは雰囲気が違ってみえる。

「聖プラクセディス」は、イタリアの画家の作品を模写したもの。フェルメール研究の大家によって1986年には真作と位置付けられていたが、その後も疑義を呈する意見が学界から出されていた。

それが真作として今回展示されることになった経緯が、公式カタログに収録された論文「スコットランド国立美術館上級学芸員・サイフェルト氏著」にあった。論文によると、作品の真贋は画家の署名、絵具の使われ方、支持体(キャンバス、板など)、歴史的視点からの分析という4つの確度から考察が加えられた。

署名が後世に描き加えられたという意見は、絵具の分析により否定された。また、人物がまとった衣装の描かれ方について、フェルメールの他作品と比較しての分析でも真作とみなされた。使用された支持体やテクニックについても、17世紀オランダに特有のものだという。これらの理由により「フェルメール作」と結論付けられると説明している。

最後に、所有者が「Kufu Company Inc.」と初めて明記されたことに触れておきたい。「くふうカンパニー」代表執行役兼取締役は穐田誉輝氏だ。所有者が明らかになったことは、この作品に注目してきたアート・ファンにとって新発見となった。

日常の光景を題材に深く静かな永遠を描いたフェルメール。作品をめぐるエピソードにも事欠かない。日本にも一点あることをもっと多くの人が知っても良いのではないだろうか。