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韓国 看護師らストライキ予告…合意成立は

2021年9月2日 22:31

第4波で医療現場がひっ迫しつつある韓国では、看護師らが処遇の改善を求め、ストライキを予告していました。予告した日は「9月2日」です。医療の混乱は避けられたのでしょうか。海外でのコロナをめぐる最新の動きです。

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■フィリピン 医療従事者が抗議…手当支払われないことに怒り

感染者が200万人を超えたフィリピンでは1日、首都マニラで抗議デモが行われました(フィリピン 感染者200万3955人 死者3万3533人 米ジョンズ・ホプキンス大 2日午後5時時点)。

参加者らが身につけているのは防護服です。抗議の声を上げているのは、医療従事者です。

デモに参加する医療従事者
「多くの人が亡くなったり病気になったり、辞職や早期退職を選んだりしているにもかかわらず、われわれは手当をもらうために保健省の前にまだひざまずいている」

医療従事者の感染や死亡するケースが増える中、政府から手当が支払われていないことに対し怒りの声を上げています。

■フランス “ブースター接種”スタート 対象は重症化リスク高い人

猛威を振るう新型コロナウイルスの切り札となるワクチン接種を、12歳以上のおよそ75パーセントが完了したフランスでは、ワクチンの3回目接種、いわゆるブースター接種がスタートしました。対象となるのは、65歳以上の高齢者など重症化リスクの高い人です。

“ブースター接種”を受けた人
「医療従事者に迷惑をかけないよう、感染拡大を繰り返さないよう、義務としてみんなワクチンを受けることが必要だと思います」 

フランスの新規感染者は減少傾向にありますが、依然、1日当たり1万7000人ほどが感染しています。これまでに680万人以上が感染しています(フランス 感染者686万8060人 死者12万6335人 米ジョンズ・ホプキンス大 2日午後5時時点)。

■ブラジル リオで高齢者にブースター接種実施

こうした動きは、2000万人以上の感染が確認されている南米・ブラジルでもあります(ブラジル 感染者2080万4215人 死者58万1150人 米ジョンズ・ホプキンス大 2日午後5時時点)。

1日、医療スタッフがやってきたのは、リオデジャネイロにある老人ホームです。この日、47人の高齢者が、ブースター接種を受けたといいます。

“ブースター接種”を受けた人(70)
「とても幸せです。1回目の接種を受けた時もうれしかった。今日は3回目の接種を受けた。ワクチンのおかげでやっと安心できる」

ロイター通信によりますと、市は長期滞在の老人ホームで暮らす全ての高齢者へのブースター接種を、今月10日までに行う予定だということです。

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広がるワクチン接種ですが、WHO(=世界保健機関)のテドロス事務局長は─。

WHO テドロス事務局長
「世界では残念なことにワクチン分配の不平等がみられます」

1回目の接種をまだ受けていない人が世界に多くいるにもかかわらず、先進国がブースター接種を行っていることを批判しました。少なくとも今月末までは、ブースター接種を行わないよう呼びかけています。

■ケニア 「ワクチンへの躊躇」遠隔地にある多くの村で残る

23万人以上が感染したアフリカのケニアでは、開放的な屋外でワクチン接種が進められていました(ケニア 感染者23万6881人 死者4739人 米ジョンズ・ホプキンス大 2日午後5時時点)。

その一方で、マサイ族の男性は─。

「私はワクチンを受け取っていませんし、ほしいとも思っていません」

遠隔地にある多くの村で「ワクチンへの躊躇(ちゅうちょ)」が根強く残っているというのです。AP通信によりますと、アフリカでは多くの国がこうした問題に直面していて、アフリカ全体で接種が完了した人は、およそ13億人のうちわずか2パーセントにも満たないといいます。

感染拡大を防ぐためにも、ワクチンへの理解をどう広めるかが課題となっています。

■韓国 “ストライキ決行の日”…合意成立し回避

長引く第4波で医療現場がひっ迫しつつある韓国では、先月中旬、看護師らが処遇改善などの要求のため、今月2日にストライキを行うと予告していました(韓国 感染者25万5401人 死者2303人 韓国・保健当局 2日時点)。

政府と度重なる交渉を行うも合意には至らず、医療の混乱が懸念されていましたが、ストライキ決行の日を迎えた2日未明、ついに、両者の間で合意が成立し、ストライキは回避されました。

保健医療労組委員長
「公共医療の拡充と医療従事者を拡充する、第一歩を踏み出すと思う」

保健福祉相
「保健当局も関連法案の改正、予算確保などと関連し、関係部署、国会などと誠実に論議していきます」

現地メディアによると、政府は今後、感染症に対応する医療従事者への支援金を制度化し、来年から国の資金で支援することにしたということです。また、処遇改善のため、公立病院を拡充し、看護師1人当たりの患者数も法制化して、2023年から施行するということです。