感染拡大でも“ウィズコロナ”シンガポール
1日の新規感染者数が3000人を超える日が続くなど、シンガポールで感染が急拡大しています。政府はロックダウンはせずに規制強化を一部にとどめる“ウィズコロナ”戦略を打ち出しています。海外でのコロナをめぐる最新の動きです。
■シンガポール
12万人以上が感染した東南アジアのシンガポール。(感染者 12万6966人 死者 162人 シンガポール保健省10日)
“ウィズコロナ”戦略を進めています。
シンガポール リー・シェンロン首相
「コロナとともに生きる戦略を進めなければならない。警戒すべきだが、恐怖でマヒしてはならない」
シンガポールでは国民の8割以上がワクチン接種を完了したものの、10月に入ってから、1日の新規感染者数が連日3000人以上となるなど、感染は急拡大。
政府は9月下旬から、飲食店の利用をワクチン接種が完了した人に限定した上で、1組2人までにするなど、再び規制を強化しました。
しかし、リー首相は、感染者のおよそ98%は軽症か無症状だとして、ロックダウンなどの厳しい措置はとらず、海外からの入国制限も緩和する方針です。
シンガポールに住む日本人女性は、政府の対応について…
シンガポール在住 西原梢さん
「状況に応じて(規制を)変化させているのは信頼できる」
また、政府は全世帯に抗原検査のキットを無料で配布しています。
シンガポール在住 西原梢さん
「自分の身近で感染者が出たという話を聞いたので、検査キットを使って陰性だったので取りあえず一安心でしたね」
■タイ
これまでに170万人以上が感染したタイ。(感染者 171万884人 死者 1万7691人 米ジョンズ・ホプキンス大 11日午後5時時点)
国民の3分の1近くがワクチン接種を完了し、感染者数の減少傾向が続く中、11月の学校再開に向け、4日に始まったのは、高校生へのワクチン接種です。(ワクチン接種完了 32.1% 10月8日時点 オックスフォード大)
会場には大勢の生徒が列を作り、ディスタンスを確保してイスに座り、順番を待ちました。
接種する高校生(16)
「学校に戻って友達と会ったり、実際の教室で授業を受けたりしたいので、この状況を元に戻してほしい。オンライン授業はもううんざりです」
接種する高校生(15)
「ワクチンのことはあまり分からないので、とても緊張します」
ロイター通信によりますと、首都バンコクでは高校生の9割近くが接種の登録を終えたといいます。
市当局は10月末までに接種を希望する高校生が2回接種できる量のワクチンを配布したいということです。
■イタリア
一方、ワクチンの義務化などに対し、抗議の声が上がっています。
470万人以上が感染したイタリア。(感染者 470万316人 死者 13万1301人 米ジョンズ・ホプキンス大 11日午後5時時点)
ローマで9日、大規模な抗議デモが行われました。
AP通信によりますと、イタリアではワクチン接種か検査の陰性をしめす“グリーンパス”を10月15日から職場でも義務付けます。従わない場合、罰金として従業員に最大20万円、事業主に最大13万円が科されます。
抗議デモの参加者
「グリーンパス反対、グリーンパス反対」
グリーンパス導入に反対する抗議デモは、警察との衝突に発展。警察は催涙ガスや放水などで対応しました。
地元メディアによりますと、デモには少なくとも1万人が参加したということです。
イタリアでは国民のおよそ7割がワクチン接種を完了。(ワクチン接種完了 68.99% オックスフォード大)
すでに美術館や飲食店の店内利用、また、飛行機の国内線、長距離列車などの交通機関でもグリーンパスが義務付けられています。
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世界では2億3000万人以上が感染し、480万人以上が死亡。(感染者 2億3789万892人 死者 485万2328人 米ジョンズ・ホプキンス大 11日午後5時点時)
ワクチン接種を完了した割合は、ポルトガルがおよそ86%、日本はおよそ64%、アメリカはおよそ56%。世界全体では35%となっています。