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プーチン大統領が2人?恒例イベントで“本物”困惑 国民と対話…選挙も意識か

2023年12月15日 19:10

ロシアのプーチン大統領が14日、国民らの質問に答えました。偽プーチン氏が本人に質問する場面もありました。

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大統領選に出馬を表明した直後というタイミングで、国民らの質問に答える“恒例イベント”に登場したプーチン大統領。ウクライナ侵攻を始めた去年は開催を見送っていました。
 
イベント中、画面に映し出されたのは2人のプーチン大統領? 「たくさんの影武者がいるというのは本当ですか?」と質問していたのは、AI(=人工知能)で生成された“偽のプーチン大統領”です。本物のプーチン大統領はやや困惑した様子も見られました。
 
プーチン大統領
「私に似ていて、私の声で話す人物は1人しかいない。それは私だけだ。これは私にとって初めての影武者だ」

そして、ウクライナ侵攻については――

司会者
「最も重要な質問です。いつ平和が訪れますか?」
 
プーチン大統領
「平和は私たちの目標を達成した時に訪れる。(目標とは)ウクライナの非ナチ化・非武装化・中立化だ」
 
軍事作戦の継続に改めて強い意欲を示しました。
 
ゼレンスキー大統領が今年6月に宣言したウクライナ軍の反転攻勢については、“大きな犠牲を出しながら成果は出ていない”と強調しました。
 
プーチン大統領
「西側諸国が約束した支援の全て、それ以上をウクライナは手に入れた。しかし、いわゆる反転攻勢以降、我々は747両の(ウクライナ軍の)戦車を破壊した」
 
その一方、ロシア軍は犠牲をいとわぬ猛攻で、すでに死傷者が31万人を超えたとも伝えられています。(ロイター通信)プーチン大統領は、追加の動員については志願が相次いでおり、追加動員は不要だと話しました。
 
プーチン大統領
「武器を手に祖国の利益を守ろうとするロシアの男性たちの流れは、途絶えることを知らない」
 
また、大統領選挙を意識したのか、国民に寄り添う姿勢も見せ「卵が高すぎる」と不満を話す女性に対して謝罪しました。
 
プーチン大統領
「需要は増えたが生産量は増えなかった。輸入も適切に開始されなかった。この件についてはおわびする。政府の仕事に問題があった」
 
来年3月にせまったロシアの大統領選挙。有力な対抗馬が不在で、プーチン大統領の当選は確実とみられています。
 
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こうした中、不可解な動きも。反プーチンの急先鋒(せんぽう)で服役中のナワリヌイ氏は、先週から所在が不明になっています。プーチン大統領の「落選運動」を始めた支持者グループの電子看板も、わずか1日で見られなくなっていました。
 
ウクライナ侵攻に反対する野党からは「人々が野党候補を支持できる状況ではない」との声も出ています。
 
リベラル系野党「ヤブロコ」創設者 ヤブリンスキー氏
「(野党候補への署名を)みんな恐れている」
 
署名には個人情報の提出も求められるため、反体制派として政府ににらまれる恐れも。大統領選へ向け、“戦時下の強い指導者”を演出したプーチン大統領。ウクライナの戦況や中東情勢も追い風に、圧勝に向けた環境が整いつつあります。