ポーランドの式典に出席…ロシア大使の顔面に赤ペンキ 「反戦」訴えるデモ隊が抗議
9日に行われた戦勝記念日の演説で、軍事侵攻を改めて正当化したロシアのプーチン大統領に批判が相次いでいます。また、ウクライナ・マリウポリで今月11日に、ロシア軍がウクライナの部隊が残る製鉄所に対し、化学兵器を使用するとの情報があることが分かりました。
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ロシアの「戦勝記念日」当日、ポーランドでデモ隊に囲まれたのは、ロシアの大使です。大使は、ポーランドで行われた、第二次世界大戦終結を記念した式典に出席していましたが、突然、顔面に赤いペンキをかけられました。「反戦」を訴えるデモ隊が抗議を行ったのです。
ロシアプーチン大統領
「ロシアは敵対行為に対して先手を打ったのだ。やむを得ず、今やらなければならない、唯一の正しい決定だった」
9日の「戦勝記念日」で、ウクライナへの軍事侵攻を正当化したプーチン大統領。ロシアが制圧を宣言した、ウクライナ南東部のマリウポリでは、記念日を祝うセレモニーなどが“ロシア主導”で行われる中、戦闘員が残るアゾフスタリ製鉄所に、攻撃が行われました。
さらに、マリウポリ市議会の副議長は、「(私の情報によると)ロシア軍が、アゾフスタリへの大規模な化学攻撃を準備している」とSNSで発信し、11日にロシア軍が化学兵器を使った攻撃を計画しているとした上で、市民に外出しないよう注意を呼びかけていました。
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ウクライナ南部のオデーサでは、複数の建物にミサイルが撃ち込まれました。
実はオデーサには9日、EU(=ヨーロッパ連合)のミシェル大統領が訪問していました。攻撃は、ウクライナのシュミハリ首相との会談中だったため、2人は急きょシェルターに避難し、会談を続けたということです。
このタイミングでの攻撃にゼレンスキー大統領は、「これがロシアのヨーロッパに対する本当の態度です」とSNSで語りました。
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そして、9日のプーチン大統領の演説に対しては、欧米諸国から批判の声があがりました。
アメリカ サキ報道官
「歴史を修正しようとしている。不当な戦争を正当化するためだと言わざるを得ない」
イギリス ウォレス国防相
「プーチン大統領らに、ウクライナでの戦勝記念日はやってこない。あるのは敗北と不名誉だけ」
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長期化するおそれがあるロシアとウクライナの戦闘。取材班が向かったのは、ロシアが撤退してから約1か月がたった街、多くの民間人の遺体が見つかったウクライナ・キーウ近郊のブチャです。町ではようやく市場が再開し、避難していた住民も徐々に戻り始め、生活の立て直しにむけて歩み始めていました。
ブチャ市民
「みんな恐怖を感じながら戻っています。多くの人が痛みを感じています」
ブチャでの虐殺は人々の心に深い傷を残しました。ロシア軍に占領された住宅街へ向かうと、今もその爪痕が残されていました。
「ロシア兵によって荒らされた家は、ようやく片付けが終わったと」というルドミラさんに話を聞きました。
ルドミラさん
「あそこの壊された家、彼らは家から追い出され殺されたんです」
ルドミラさんは、一家6人でブチャから避難していましたが、残った近隣住民は、惨殺されたというのです。
ルドミラさん
「わたしはこのすべてを絶対に忘れることはできません」
「再建」が進められる中でも、ロシア軍による「破壊」は続いています。