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「戦勝記念日」プーチン大統領“侵攻の正当性”主張も…具体的な成果は言及せず 苦しい状況を反映か

2022年5月9日 21:38

ロシアが「戦勝記念日」を迎えた9日、世界が注目する中、プーチン大統領が演説を行いました。ウクライナへの軍事侵攻をめぐり、「領土を切り離そうとする動きに先手を打った」と述べ、改めて正当化しました。

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戦勝記念日を迎えたロシアでは、兵士が約1万1000人参加し、大規模な行進が行われました。

ロシア プーチン大統領
「ロシア軍に栄光あれ、ロシアに万歳! 勝利に万歳!」

今後、ロシアはどこに向かうのか。そして、ウクライナの未来は――

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多くの軍人らで埋め尽くされた、モスクワ中心部の赤の広場。戦勝記念日の軍事パレードは、日本時間午後4時から始まりました。

第二次世界大戦で、旧ソ連がナチスドイツに勝利したことを祝う、ロシアにとって重要な一日。パレード開始から約15分、壇上に立ったプーチン大統領は、「今現在、ドンバスのために、祖国ロシアの安全のために戦っています」と、ウクライナの侵攻について、ロシアの安全を守るためや、自分たちの領土を守るためと、従来通りの主張を繰り返しました。

さらに、軍事作戦を次のように正当化しました。

ロシア プーチン大統領
「(ウクライナ側は)クリミアを含んだ、私たちの歴史的な領土に侵入し、キーウの政権は核兵器保有の可能性にまで言及しています。NATOは隣接する地域への軍備拡大を進めていて、我が国にとって受け入れがたい脅威が作り出されました」

また、NATO(=北大西洋条約機構)から最新兵器がウクライナに提供されていて、軍事作戦は、この脅威に対応する唯一の選択だったと発言しました。ただ、これまでの作戦の具体的な成果や、今後の方針などには言及しませんでした。

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これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は、日本時間午後3時ごろ動画を公開しました。

ウクライナ ゼレンスキー大統領
「我々は子供たちの自由のために戦っているので、勝ちます。キーウの大通りでは勝利のパレードが行われ、ウクライナの勝利を見ることになるでしょう」

ウクライナでは、8日は第二次世界大戦の戦没者を追悼する日でした。

キーウの住民
「プーチン(大統領)とロシアにとって、一番大事なのは勝利かもしれないけど、私たちにとって一番大事なのは命。私は命のために祈ります」

2月24日にロシアの侵攻が始まってから、街が様変わりしたウクライナ首都・キーウ。今も一日に何度も空襲警報が鳴り響き、侵攻前は週末にぎわっていたという繁華街も、人の姿はまばらです。今も、街から脱出する人が後を絶たないと言います。

キーウの住民
「私のマンションは70世帯いましたが、いまは7世帯。みんないなくなりました」

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そして、ウクライナ東部や南部では、今も激しい攻撃が続いています。ウクライナ東部・ルハンシク州とされる映像では、崩壊した建物の様子が映し出されていました。

ルハンシク州の知事によると、爆弾による攻撃を受けたのは、約90人が避難していた学校です。2人が死亡し、多くの人ががれきの下敷きになっていて、ゼレンスキー大統領は約60人が死亡したと話していました。

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ウクライナ南東部マリウポリにあるアゾフスタリ製鉄所では、女性や子供などの民間人の最後の避難が8日、完了したということです。

マリウポリの制圧を宣言しているロシア。8日公開された映像では、ロシアの副首相が視察するなど、実効支配を強めています。

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プーチン大統領は戦勝記念日に、ウクライナへの侵攻を正当化しましたが、ロシア国民は――

ロシア国民
「我々の大統領は、国内も海外の状況もよくわかっていると思います」

一方、「みんな『総動員が発令されるのではないか』と不安だったけど、それもなかった。この先どうなっていくのか、見ていきましょう」という国民の声も聞かれました。

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ウクライナ・キーウでは――

ウクライナ国民
「彼の野望と望みによって、これだけの被害が出ているから、どんなことを言っても正当化はできない」

再びキーウで空襲警報が鳴るなど、緊張感が高まっていました。

プーチン大統領の演説について、国際安全保障に詳しい専門家も、新しい要素は何もなかったと話しました。

国際安全保障に詳しい慶応義塾大学 鶴岡路人准教授
「新しいものが何もないというのは、おそらく、ロシアの今の苦しい状況を反映しているのではないかと思います。成果あがっていないということで、成果についてはふれられなかった」

プーチン大統領は攻撃の手を緩める兆しはなく、戦闘は長期化する恐れが出ています。