中国、ミサイルで「圧力」も……台湾侵攻の“手の内”可視化 「アメリカは情報戦でうまくやった」「米中が駆け引き」分析も
ペロシ米下院議長が台湾を訪れた後、中国が台湾周辺で軍事演習を始めました。今後は「極超音速ミサイル」発射の可能性もあります。一方で、台湾侵攻の手の内が明らかになる可能性や、米中が直接衝突を避けるため駆け引きしているとの見方も示されています。
■極超音速ミサイル「DF17」とは?
有働由美子キャスター
「中国の演習区域は、台湾を取り囲むように6か所設置され、日本の与那国島が南北を挟まれる形となっています。そして、5発の弾道ミサイルが日本のEEZ(排他的経済水域)内に落下したほか、最も近い所では与那国島から約80キロに落下したと推定されています」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「岸防衛大臣は『非常に威圧的な訓練だ』と非難しています」
「ただ、この先さらに発射される可能性があると注目されているのが、極超音速ミサイルの『DF17』です。グライダーのように滑空する弾頭部を搭載し、高度やコースを変則的に変えられるため、迎撃が難しいミサイルです」
■圧力で…「中国国内の批判」かわす?
小栗委員
「これを実際に演習で使うとなると初めてのことです。中国の安全保障に詳しい笹川平和財団上席研究員の小原凡司さんは『中国政府は今までにない圧力を台湾にかけているということを見せて、国内の批判をかわしたいのだろう』と話しています」
有働キャスター
「国内向けですか?」
小栗委員
「そうです。このDF17 は、2019年の軍事パレードで既にお披露目はされているので、小原さんは『これを撃たれたからといって、日米共にびっくりすることではない』と言います」
「むしろ、『中国が軍事侵攻する時にどういうことをしてくるのかが、今回の軍事演習で可視化される。アメリカは結果的に、情報戦でうまくやったのではないか』と小原さんは分析しています」
■懲罰どこまで…中国「手探り状態」?
有働キャスター
「今回の演習で、結果として中国の手の内が明らかになるということですね」
小栗委員
「小原さんは『実は中国とアメリカは阿吽の呼吸で、直接の衝突はしないと駆け引きしている節もある』とみています」
「今回の軍事演習が、(アメリカの)ペロシ下院議長が台湾を去った後の4~7日と設定されていることなどから、『中国政府としても、秋の共産党大会を前に、どこまで台湾に懲罰を加えれば国民が納得するのか、手探り状態なのではないか』と指摘します」
■エスカレートなら…日本への影響は?
有働キャスター
「大国同士が軍事力で腹の探り合いをするという、恐ろしい話です」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「有事にはまだならないとは思いますが、ビジネスとしては日本と台湾は交流がかなりあるので心配です。今回の軍事演習が、今後どういう影響を及ぼしていくか気になりました」
小栗委員
「エスカレートして台湾海峡やバシー海峡という海運のメインルートが封鎖されるといった事態になると、日本にとっても物流や人の流れが遮断され、大きな影響が出ます。小原さんは『台湾への懲罰がどこで収まるかを注意深く見守る必要がある』と話しています」
有働キャスター
「近くに住んでいる私たちとしては、もうこれ以上エスカレートしないことを願うしかありません」
(8月4日『news zero』より)