侵攻直後から「ボディーカメラ」で……ウクライナの女性衛生兵、“緊迫映像”撮影 データ提供後、ロシア側の捕虜に
ウクライナ・マリウポリで衛生兵をしていた女性が、緊迫した医療現場の映像をボディーカメラで収めていました。この衛生兵はデータを記者に渡した後、ロシアの捕虜になったといいます。一方、ロシア側は治療中のウクライナ兵とされる映像を配信しました。事実上陥落したマリウポリの行方は。
■侵攻直後から…治療の現場を撮影
ウクライナ・マリウポリで衛生兵をしていた女性が、緊迫した医療現場の映像をボディーカメラで収めていました。この衛生兵はデータを記者に渡した後、ロシアの捕虜になったといいます。一方、ロシア側は治療中のウクライナ兵とされる映像を配信しました。
19日に公開されたウクライナ南東部・マリウポリの映像には、負傷したウクライナ兵を次々とヘリで運び、緊迫した状況の中で懸命に治療が行われる様子が映されていました。この映像を撮影したのは、マリウポリで衛生兵をしていた女性。ボディーカメラで、軍事侵攻開始直後から撮り続けていたといいます。
侵攻3日目の2月26日には、「どこが痛い?」という声とともに、ぐったりとした幼い少年と妹の姿も映っていました。医師らが少年に心臓マッサージを行いましたが、救うことができませんでした。すすり泣きや、「彼は亡くなってしまった」と落胆する声が記録されていました。
撮影した女性は、記者に映像データを密かに渡した後、ロシア側に拘束されて捕虜になったということです。
■製鉄所から「1908人」投降か
ロシア軍に包囲され、事実上陥落したマリウポリからウクライナ兵たちが退去しています。ロシアのショイグ国防相は、「最後の砦」とされたアゾフスタリ製鉄所から、これまでに合わせて1908人のウクライナ兵が投降したと明らかにしました。
ロシア国営テレビが配信した映像では、ウクライナ・ドネツク州で19日、廊下でロシア軍の兵士が銃を構える中、病室でウクライナ兵が治療を受けているとされる様子が映っています。ウクライナ兵は「足が残ってよかった。痛みは我慢できます」と話しました。
■「事実上陥落」…マリウポリの今後
アゾフ連隊の副司令官は19日、SNSで「今日は開戦から85日目。司令官と私はアゾフスタリ製鉄所にいる」と話す映像を公開しました。
ただロイター通信は、アゾフ連隊の司令部が兵士の命を守るため、マリウポリの防衛をやめるよう命令を出したと伝えています。
(5月20日『news zero』より)