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【台湾地震】9人死亡…各地で大きな被害 震源近くの日本人「悲惨な状況」沖縄では交通混乱も

2024年4月4日 1:16

3日午前9時ごろに台湾で発生した地震から14時間ほどが経過しました。今回の地震は過去25年で最大規模だということです。現地では建物の損壊や倒壊が相次ぎ、日本時間午後11時現在も懸命な救出活動が続いています。

3日夜、news zeroは台北市近郊の新北市へ向かいました。震源から140キロ以上離れていますが、高架下に規制線が張られ…

佐藤梨那アナウンサー
「作業員が作業している様子が見えます。レールの右側では火花が散るような場面が見られ、まさに復旧作業が行われているものとみられます」

交通ボランティア
「物が落ちてくる恐れがあるので交通規制しています」

震源近くの花蓮県では、夜になっても傾いたビルの解体作業が進められるなど、被害の爪痕が各地で残っていました。

日本時間午前8時58分に台湾を襲った大地震。通勤客らが乗った列車は立っていられないほどに大きく揺れ、各地で甚大な被害をもたらしました。

震源に最も近い東部の花蓮県。大きな揺れとともに走りだす人たち。すると、ビルが1階部分を押しつぶしながら崩れました。建物の真下にいた人は間一髪逃げますが、先が見えなくなるほどの土煙が…

花蓮県では、地震で建物の一部がつぶれる被害が相次ぎました。

「ご飯を食べに行こうとしたら町が大変なことに…。消防車や警察もたくさん来ている、規制線も張られている。神様…」

斜めに傾いてしまったのはオフィスとアパートが入るビル。その中を救助隊が慎重に歩きます。

「誰かいますか?」

閉じ込められた人の救助活動が続けられ、地元メディアによるとこの建物から22人が救出されたということです。

救助された女性
「ドアが開かず閉じ込められました。物が全部崩れ落ちてきたんです」

救助活動は別の場所でも…

「まだ中に人がいますか?」

男性たちがかけよっていたのは、1階の飲食店部分がつぶれてしまった建物です。地震発生直後、多くの人が逃げ出しましたが、まだこの中に子どもが取り残されているといいます。

「電線に触らないで危ないから」

男性が2階をのぞき込み中へ入ると、子どもが無事救助されました。

ただ、日本時間3日午後10時発表時点で140人以上が閉じ込められているといい、懸命な救助活動が続けられています。

日本時間の3日午後10時現在9人が死亡、963人がケガをしたということです。

地震の瞬間、この花蓮県にいたという小林賢伍さんに話を聞きました。

――実際に揺れを感じたときどういった様子だった?

小林賢伍さん(35)
「友人の『避難して』という声で起きました。花瓶とかガラスの割れる音がいろんなところから聞こえたのですぐに友人とテーブルの下に避難して、揺れ1分くらい続いた後にすぐに貴重品だけ持って外に出た」

小林さんは、友人を訪ねて住んでいる台北市から花蓮県に遊びに来ていたところでした。

小林賢伍さん
「友人がパニック状態になっていて、とにかく放心状態でこれはまずいなと」

急いでマンションの外へ逃げた小林さん。ほかの住人たちが走って出てくる様子も見たといいます。

小林賢伍さん
「横に倒れている建物だったり、車ががれきの下にはさまっていたり、かなり悲惨な状況だなというのは第一印象としてありました」

インタビュー中にも…

小林賢伍さん
「今もちょっと余震が…」

――大丈夫ですか?

小林賢伍さん
「1時間に2回くらい(震度)3から4くらいのが来ている。朝から今まで」

――電気や水はどう?

小林賢伍さん
「断水は先ほど復旧した。余震が続いていること以外は問題ない」

ただ、台北市に帰る見通しは立っていないといいます。

   ◇

また各地で土砂崩れも発生。山肌には砂煙が舞い、その下では線路をふさぐ落石が…。道をふさぐように落ちた石をよけて走る車。別の場所では車が山道でUターンしていると、目の前で土砂崩れが起きたのか砂煙が舞う瞬間もとらえられていました。この車、別の映像でよくみると、石が当たったのか前方部分が大破していました。

トンネルの前で崩落してしまった道路もありました。

台湾の気象当局によると、地震の規模を示すマグニチュードは7.2。ただ日本の気象庁は、マグニチュード7.7としていて、これは能登地震(マグニチュード7.6)や熊本地震(マグニチュード7.3※本震)を上回る大きさになります。

この地震の影響は、台湾だけではなく日本国内にも…

沖縄県那覇市では人々が建物の上に避難していました。

記者
「沖縄県庁の最上階14階に来ています。大勢の県職員の方、観光の方、近所の方も含め大勢の方が避難をされています」

市内では、高い建物をめざし駆け足で移動する人も。津波避難施設に指定されている市役所では、多くの人が心配そうに、海の様子をうかがっていました。

台湾で発生した大地震により、沖縄県でも最大震度4の揺れを観測。沖縄本島地方や宮古島、八重山地方には一時、津波警報が出され、実際に与那国島などで最大30センチの津波を観測しました。

人がまったくいなくなっていたのは、石垣市のフェリー乗り場。観光客はもちろん、窓口にはシャッターが下ろされ、従業員の姿もありません。道路は、避難しようとする人の車で渋滞が発生していました。

避難した石垣市の住民
「ここ(避難所)まで40分かかった」
「(警報の)アラートで起こされたので本当にびっくりした」

大きな影響が出たのは空の便です。

記者
「津波警報の影響で航空機の欠航や遅れが相次ぎ、那覇空港は大変な混雑になっています」

全日空と日本航空では、沖縄の各空港を発着する便を中心にあわせて32便が欠航。約6600人に影響が出たということです。

利用客
「(便の)変更可能となっているので、変更するのにはどうすればいいのかなと思って。1時間くらい待っている」

東京・羽田空港では、沖縄行きの便が欠航となった観光客などが長蛇の列をなしていました。

取材した2人は、沖縄上空まで行ったものの引き返してきたといいます。

沖縄から引き返した観光客
「沖縄の上空らへんになったときに緊急地震速報が出されて『羽田空港に戻ることになりました』というアナウンスがあって戻ってきた」

飛行機内から撮影した沖縄の景色を見せてもらいました。

沖縄から引き返した観光客
「本当に楽しみにしていたから…ショック。ホテルのキャンセルとかもどうすればいいのか。もしかしたらもう(沖縄に)着けなくなっちゃうかもしれないので」

気象庁は、津波警報が出されていた地域では今後1日程度、海面変動が継続すると考えられるため、注意してほしいとしています。

また、1週間程度は同程度の地震に注意が必要で、日本国内での揺れが小さくても津波の恐れがあるため、津波警報や注意報を見聞きしたらすぐ避難するよう呼びかけています。

地震の被害は台北市でもありました。地震発生時、市内を走る列車の中は、両手で支えて立っていた人もバランスを崩して座り込んでしまうほど、車体は大きく揺れていました。

建設中のビルからは、資材が落下する様子もとらえられました。

3日夜、台北市近郊の新北市で進められていたのは、列車が走る高架下の修復作業です。

交通ボランティア
「けさの地震のせいです」

――レールがずれてしまった?

交通ボランティア
「そうだと思いますが、まだ下にいるから詳しくはわかりません。物が落ちてくる恐れがあるので、交通規制しています」

地震発生時、ここを走っていた列車は急停車し、乗客は歩いて避難をしたといいます。

――復旧のめどは立っている?

交通ボランティア
「明日(4日)の会議で話し合いをするみたいで、まだわからないです」

(4月3日放送『news zero』より)