4年半ぶり会談で金正恩氏…ウクライナ侵攻は「正義の偉業」と強い支持を表明 プーチン氏…夕食会で “ことわざ” 披露し“蜜月”をアピール? 両者の思惑は?
13日、約4年半ぶりに、ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記の会談が行われました。日本時間の夕方に行われた夕食会では、プーチン大統領が“ことわざ”を用いて両国の関係を語る場面もありました。
ロシア プーチン大統領
「“服は新しい方がいいが、友は古い方がいい”ということわざが北朝鮮にはあります。同じように、ロシアでも“古い友は新しい友よりいい”と言われています。いまの両国の関係にあてはまります」
北朝鮮 金正恩総書記
「プーチン大統領と、安定的で未来志向的な両国関係を百年の計画で構築し、その力で強い国の建設を進め、真の国際正義を実現していきます」
この4時間ほど前(日本時間 午後1時すぎ)、ロシア・ボストーチヌイ宇宙基地で2人の首脳は再会し、がっちり握手を交わしました。
プーチン大統領
「こんにちは。旅はどうでしたか?」
金正恩総書記
「お忙しいなか招待いただき、また温かく迎えていただき、ありがとうございます」
2019年、初対面の時は、金総書記がプーチン大統領の方へ歩み寄る形でしたが、今回はプーチン大統領が、金総書記が降りてくる車の前で待ちうけていました。2人は約40秒間、握手をしながら言葉を交わしました。
プーチン大統領
「行きましょう。ここが私たちの新しい宇宙基地です」
その後、プーチン大統領は「宇宙基地」へと案内しました。
金総書記は宇宙基地の中で説明を聞くと、モニターを指したり、ロケットの発射台をのぞき込んだり、ロシアの宇宙技術に興味津々な様子でした。
金正恩総書記
「ここから発射できる、一番大きいロケットの発射推進力は、どれくらいですか」
「最近の発射ですか?」
ロシア側
「はい、最近です」
また、外にとめてあったロシア製の車が気になり、プーチン大統領と乗り込む場面もありました。
そして、日本時間午後2時半ごろ、首脳会談が始まりました。
プーチン大統領
「我々は経済協力や人道的な問題について話し合わなければなりません。地域情勢についても、多くの議題があります」
金正恩総書記
「プーチン大統領がとられるすべての措置に、全面的かつ無条件の支持を表明します。これからも反帝国主義との戦いで、ロシアと共にあると断言します」
国際社会で孤立する国同士の会談――。
金総書記は、ロシアのウクライナ侵攻について、「正義の偉業」だと強い支持を表明しました。
金総書記
「ロシアは覇権主義勢力に対抗し、 主権と安全を守るための“正義の偉業”を繰り広げている」
蜜月関係に見える両国の“思惑”は、どこにあるのでしょうか。
専門家によりますと、ロシアは「ウクライナ侵攻における武器や弾薬の提供」を、北朝鮮は「宇宙開発に関する技術支援」を得たいという狙いがあるといいます。
アジアの安全保障が専門 明海大学 小谷哲男 教授
「特に軍事面において、ロシアはウクライナで、かなり砲弾が不足している。この砲弾を、北朝鮮から供与してもらいたい」
一方、北朝鮮は今年2度にわたり、軍事偵察衛星の打ち上げに失敗しています。
小谷哲男 教授
「首脳会談の場所として、ロシアのスペースセンターが選ばれたのも、今後、両国間で“宇宙開発・宇宙技術に関する協力”が議論される…そういうことを表していると考えられる」
会談前、ロシアメディアの「北朝鮮の衛星技術を支援するのか」という質問に対して、プーチン大統領は「そのために金正恩総書記とここに来た」と答えました。
プーチン大統領は13日夜、記者の質問に対し、今回の会談について「地域の状況や二国間関係について、非常に生産的で率直な意見交換ができた」と話しました。
金総書記は、14日以降、軍事工場やウラジオストクを視察して、北朝鮮に戻るということです。
(9月13日放送『news zero』より)