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トランプ前大統領が“独走”…なぜ 「米大統領選」共和党の候補者選び 【#みんなのギモン】

2024年1月16日 22:11
トランプ前大統領が“独走”…なぜ 「米大統領選」共和党の候補者選び 【#みんなのギモン】

「米大統領選 トランプ氏独走?」

4年に1度のアメリカ大統領選挙にむけた野党・共和党の候補者選びが日本時間の16日に始まりました。

アメリカメディアはトランプ前大統領が勝利したと報じ、トランプ氏は勝利宣言をしました。

共和党 トランプ氏(77)
「バイデンはアメリカ史上最悪の大統領で国を破壊していると言わざるを得ない。(大統領選で)我々が国をとり戻し、アメリカを再び偉大にするのだ」

そこで16日のポイントはこちらです。

◇トランプ氏 人気健在のワケ
◇高齢者対決 再び?

■本選は11月…長い道のりを解説

まずは、次の大統領が決まるまでの道のりを改めて確認します。

今年の11月5日に大統領選挙の本選があります。このゴールまでにはとても長くて複雑な道のりがあります。

まず前半戦は、民主党、共和党それぞれの党の候補者を選んでいきます。その初選が今回でした。共和党はアイオワ州で党員集会(1月15日)。民主党は、バイデン氏が実質的に2月3日に行われるサウスカロライナ州の予備選から登場し、各州で予備選や党員集会が行われていきます。

民主党に関しては、現職のバイデン氏以外に有力な候補がいないので、候補は事実上、決まっているようなものです。

前半戦の山場が3月5日の「スーパーチューズデー」です。毎回この時期の火曜日に多くの州で候補者選びが一斉に行われます。こういうプロセスを踏んでいくうちに、勝つ見込みがない、資金が続かない候補者は撤退して順次絞り込まれていきます。

7月に共和党、8月に民主党が党大会を開いて候補者を決定し、その人が党の候補に指名されます。

その人たちが今度は全国の有権者を相手に遊説したり討論会を行うなどして支持を訴え、やっと11月5日に本選が行われて大統領が決定します。

■初選圧勝…要因は

共和党はトランプ氏の他にどんな候補がいたのか。主な候補を見るとヘイリー元国連大使、フロリダ州のデサンティス知事がいます。トランプ氏にとっては、初戦のアイオワ州の党員集会で事前の予測通り圧勝したので勢いに乗っていくのではないかとみられています。

現地にいるワシントン支局の山崎大輔支局長と中継がつながっています。山崎支局長にトランプ氏の圧勝の理由について聞いてみました。

山崎大輔ワシントン支局長
「トランプ氏ですが、圧倒的な知名度と岩盤支持層で、他の候補を全米での支持率で圧倒していました。これに加えて、初選で圧勝して一気に流れをつくるため、アイオワ州での選挙活動にも力を入れていました。地域に責任者を置いて、過去の大統領選のデータを活用して、今回は組織だった選挙活動を行ったことが圧勝した要因の1つと言えます」

――トランプ氏は様々な裁判を抱えていますが、これが選挙戦にどの程度影響しそうですか?

山崎大輔ワシントン支局長
「トランプ氏は4つの刑事事件で起訴されていて、裁判と選挙戦が並行して進む異例の展開になっています。しかし、『バイデン政権の政治的迫害だ』と裁判で被害者を演じることで共和党内の支持を集めていて、むしろトランプ氏は裁判をアピールの場に使っているといえます。NBCなどが党員集会の会場で行った調査では、『トランプ氏が裁判で有罪判決を受けても大統領にふさわしい』と回答した人が64%にのぼりました。共和党内では、裁判はほとんど影響がないといえますが、裁判で有罪判決が出れば、無党派層の支持は急落するという指摘もあります。バイデン大統領との本選で勝利するためには、この無党派層や共和党内の穏健派の支持が必要ですが、彼らの支持を得られるかは不透明な状況です」

■共和党ではなく「トランプ党」? バイデン政権に不満をもつ民主党支持者も

トランプ氏の独走状態がどのように生まれたか。いくつか説明はありましたが、前回大統領になったときとはどう違うのか。かなり様相が異なっています。

共和党内では、かつて存在感があった穏健派と呼ばれる人たちがめっきり減ってしまいました。むしろトランプ氏よりも過激な言動で支持を得る政治家が増えていて、もはや共和党じゃなくて「トランプ党」と言う人も出始めています。

一方、民主党支持者の中でもバイデン政権へ不満を持つ人は結構いて、その理由の1つが物価上昇です。これによって経済格差がさらに拡大していること。もう一つ、実はトランプ政権時代の間には、表面的には外交上のアメリカにとっての深刻な問題は意外と少なかったんです。一方、バイデン政権ではウクライナ侵攻やパレスチナ情勢など、アメリカが一方の後ろ盾となって肩入れしているのに解決の道筋が見えないことが相次いでいて、こういう内政、外交に不満を持つ人が、トランプ氏なら昔ながらの秩序をぶち壊して変えてくれるんじゃないかと期待している動きもあります。

■過去にバイデン大統領を「老いぼれ」と揶揄も…

もう1つのポイント「高齢者対決 再び?」を見ていきます。

このままいけば、バイデン大統領とトランプ前大統領の再対決になる可能性が高くなってきます。バイデン氏が再選すると、就任時は82歳で自らの最高齢記録を更新することになります。4年前、前回対決したときにトランプ氏はバイデン氏のことを「老いぼれ」などと言って揶揄(やゆ)していましたが、今は自分も当時のバイデン氏と同じ年になっています。

任期が終わるとき、バイデン氏は86歳、トランプ氏82歳になります。どちらもかなりの高齢になります。

それでもトランプ氏は大統領返り咲きを目指していますが、実は簡単なことではありません。

今のアメリカの大統領のバイデン氏は46代目ですが、これまでにいったん退いたのち、返り咲いた大統領はいたでしょうか。

実は1人います。19世紀に22代目の大統領を務めたグローバー・クリーブランド大統領です。この人は選挙で敗れて、その次の選挙の1892年に勝利して返り咲きました。連続していない2期を務めた唯一の例です。返り咲きの例はこれ以降ありません。

普通は4年、8年と時間がたつうちに新しい期待される人材が出てきて次の人に託すというものですが、今の状況を逆にみると、アメリカ政治の歴史上まれな、若い世代の人材難の選挙と言えるかもしれません。

   ◇

この先約10か月続くわけですが、長丁場の選挙戦、途中何があるかわかりませんので随時解説していきます。

(2024年1月16日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html