米テキサス銃乱射事件から1年、子どもを守る取り組みとは
アメリカ南部テキサス州の小学校で、児童・生徒あわせて21人が死亡した銃乱射事件から1年を迎えました。銃による悲劇を繰り返さないためのアメリカでの取り組みを取材しました。
◇◇◇
児童ら21人が死亡した銃乱射事件からおよそ1年。悲劇が起きた教室で血だらけの同級生の横から警察に通報をして、生還した少女の父親は、1年経った今も大きな影響が残っていると話します。
通報した少女の父 ルーベン・トーレスさん
「娘は事件の話をするたび泣き崩れ、みんなをしめ出してしまう。前よりましですが悪夢にうなされ、今も朝4時5時まで起きています」
アメリカでは4人以上が死傷する銃乱射事件は、今年だけですでに240件を超え300人以上が死亡しています。2020年以降は子どもの死因の1位が「銃」によるものです。ニューヨークでは地域から銃を減らすため司法当局の主催で銃を買い取るイベントが行われました。
「1日で70丁が回収されたということです」
近隣の住民が銃を持ち込むと、種類に応じて25ドルから500ドルの金券がもらえる仕組みです。回収の際、参加者の身元や銃の入手先をたずねられることはありません。
銃を持ち込んだ人
「違法な銃を持っている人は、ここへ持ち込むことを勧めます。お金をもらえ、面倒もなく、何も聞かれません」
この日は殺傷能力の高いライフルが4丁回収されました。
ニューヨーク州司法当局担当 ロベルト・レブロン氏
「2019年以降、銃4000丁以上を集めました。銃を路上から消すことは重要な優先事項です」
銃を所持している世帯が30%以上に及ぶアメリカでは、子どもが銃による事故に巻き込まれるのを防ごうと初めて発売された「スマートガン」が注目されています。見た目は普通の拳銃ですが、バッテリーで作動して、指紋や顔認証センサーで、1秒以内にロックを解除。
本人以外の子どもや銃を奪った犯罪者などが撃てない仕組みになっていて、1丁の値段は1499ドル、日本円でおよそ20万円。初回販売分はすでに完売したということです。
バイオファイア社 カイ・クレップファーCEO
「開発の目的は銃所有者に別の選択肢を提供することです。スマートガンなら子どもが見つけても命を落としたりしません」
事件から1年。バイデン大統領は「銃規制法を制定しない限り、銃の蔓延は終わらない今が行動する時だ」と訴えました。
銃による悲劇を繰り返さない取り組みがすすめられる一方、議会での法律制定に向けて具体的な前進は見えてきません。