“逮捕覚悟”の映画発表、キウィ・チョウ監督「香港は今、誰もが口をつぐんだままで、とても大きな恐怖が支配している」 香港「国家安全維持法」施行3年
香港で、反政府的な行為を取り締まる「国家安全維持法」が施行されて、30日で3年になります。市民などの逮捕が相次ぐ中、香港で制作を続ける映画監督が、現状について語りました。
渡辺容代記者(NNN香港、27日)「街中を走るトラムにも、『一国二制度が新たな段階に入った』と中国による統治をたたえる言葉が書かれています」
香港では2019年に起きた民主化デモをきっかけに、翌年、「国家安全維持法」が施行されました。反政府的な行為を取り締まるもので、市民やジャーナリストの逮捕が相次いでいます。ことし3月には、女子大学生が日本に留学していた時にSNS上に書き込んだ内容が違法だとして逮捕されるなど、中国による言論統制の拡大が現実のものになってきています。
民主化デモを追ったドキュメンタリー映画を制作したキウィ・チョウ監督は、香港の今を、こう表現します。
キウィ・チョウ監督「香港は今、誰もが口をつぐんだままで、とても大きな恐怖が支配している」
チョウ監督は自身の映画で、口にすることさえ逮捕の理由になり得る、デモのスローガン「時代革命」をタイトルにして発表。作品は2021年のカンヌ国際映画祭で緊急上映されました。
監督は、逮捕を覚悟しながらも、今も香港に残り制作を続けています。
キウィ・チョウ監督「ウソだらけなのに誰も真相を言えない。それは歴史をゆがめている。香港が経験したことは(中国の覇権について)世界に警鐘を鳴らすでしょう」
中国により“沈黙”を強いられた香港の実情は、ますます国際社会から見えづらくなっています。