亡命の反体制派「脅迫状を…」 世界各地に中国の“秘密警察”…レストランも拠点?
世界各地で、反体制派を監視しているともされる中国の“秘密警察”の存在に、各国の懸念が広がっています。表向きは関係なさそうな建物にあるとされていますが、イギリス北部・スコットランドでは、中華料理レストランが、その拠点とされています。その店内は…。
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18日、イギリス・ロンドンで、香港から亡命した人権活動家のサイモン・チェンさんが見せてくれたのは、去年7月にイギリスで行われた中国政府への抗議集会の映像でした。
チェンさんが撮影した動画の画面右に立つ男性の手元には、上着の内側に、白っぽいものが隠れていました。男性は、あたりを見渡すと、その場をあとにしました。
人権活動家 サイモン・チェンさん
「この人物がひそかに写真を撮り、誰に報告をしたのかはよく分かりません」
「おそらく"秘密警察"や、中国当局側に連絡したのだと思います」
チェンさんが口にしたのは、“秘密警察”の存在。チェンさんによると、動画の男性は、抗議集会の参加者の顔を撮影していたというのです。
反体制派として活動しているチェンさん。
チェンさん
「私は脅迫状を受け取りました」
「“中国の代理人がお前を見つけて、帰国させるだろう”というものでした」
“秘密警察”は、国外にいる中国の反体制派を帰国させるよう、圧力をかける役割も担っているとされています。
人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」の報告書によると、中国の秘密警察署は、日本を含め、少なくとも53か国・102か所にもあるというのです。
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アメリカ・ニューヨークでは17日、中国系とみられる男2人が、国内で許可無く秘密警察署を運営していたなどとして逮捕されたのです。中華街の一角にあるビルの1フロアに、秘密警察署は入っていたとされています。
表向きは関係なさそうな建物に拠点があるとされる、中国の“秘密警察”。
イギリス北部・スコットランドでも、中華料理のレストランがその拠点だということです。看板には、シーフードレストランと書かれていて、続々と人が訪れていました。
一見、普通の中華料理店のような店内ですが、至る所に防犯カメラがありました。確認できただけで10台以上…。すべての客の顔が撮影できるように設置されているようにも見えました。
スコットランド当局は、「現時点で犯罪行為は確認できていないが、引き続き捜査していく」としています。
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さらに、拠点とされている場所は日本にも…。東京・秋葉原のホテルなどが入っているビルを20日、記者が取材に訪れると、インターホンは鳴らないようになっていました。
しかし、入り口に書かれてあった番号に電話してみると、「もしもし」と、その電話がつながりました。
記者
ーーー(スペインの人権団体が)“秘密警察署”の拠点だと発表していますが。
電話口のスタッフ
「うわさは聞いたんですけど、具体的なことは全然わからないです」
「私はただの(ホテルの)スタッフです」
電話口のスタッフは、秘密警察については知らない、と答えました。
世界各地で活動していると指摘される“秘密警察”。中国外務省は、「事実無根であり、いわゆる“海外の警察署”は全く存在しない」と否定しています。