千代田区のビルも拠点に?――中国「秘密警察署」の実態 「家族がどうなってもいいのか」脅しも…専門家「反政府勢力を監視」
アメリカ・ニューヨークで中国の秘密警察署を運営したとして、中国系とみられる男ら2人が逮捕されました。中国政府に批判的な人を黙らせるため、脅して帰国させる活動を展開していたとみられます。世界中で活動し、東京にも拠点があると指摘されています。
■おどろおどろしい「秘密警察署」とは
有働由美子キャスター
「帽子にマスク姿の中国系とみられる男の映像があります。この男ら2人が、(アメリカの)ニューヨークで中国の秘密警察署を運営していたとして、アメリカの司法当局に逮捕されました」
「『秘密警察署』と言われると言葉の響きがおどろおどろしくて怖いですが、何をする所なのでしょうか?」
■逮捕の2人、中国本国の警察の指示か
小野高弘・日本テレビ解説委員
「アメリカの司法当局によると、秘密警察署は中国の警察の出先機関で、秘密の存在だといいます。アメリカ国内で中国の警察が許可なく活動していることになるため、アメリカは怒りました。『ここはアメリカだ』『主権の侵害だ』と摘発しました」
秘密警察署がやっていたのは、中国政府に批判的な中国の出身者を見つけて、脅して中国に帰国させることだといいます。『家族がどうなってもいいのか』といったような脅しもあったようで、この人たちを騙せるのが目的だったとみられます」
「逮捕された2人は、こうした活動を中国本国の警察の指示で行っていたとされています」
■日本政府「認められない」…申し入れ
有働キャスター
「どうやって秘密で動いていたのでしょうか?」
小野委員
「驚いたことに、イギリスメディア『THE Sun』は、スコットランドの街中にある中華レストランの写真を紹介しています。ここが秘密警察署の隠れ蓑だったと伝えています」
「スペインの人権団体『セーフガード・ディフェンダーズ』の報告書によると、秘密警察署は日本を含む世界53もの国にあります。表向きはニューヨークではラーメン店、エクアドルではホテル、カナダではコンビニですが、裏では秘密警察活動の拠点だといいます」
「日本では東京・千代田区のビルが拠点だと指摘されています。日本政府は『日本国内でも行われているのであれば、断じて認められない』と中国に申し入れをしました」
■中国外務省は「ねつ造だ」と反発
有働キャスター
「当の中国は何と言っているのでしょうか?」
小野委員
「18日、中国外務省は『秘密警察署は存在しない』と否定。『アメリカが中国を誹謗中傷する政治操作であり、ねつ造だ』と反発しています。ただ専門家は、中国政府には狙いがあると分析しています」
「東京大学の阿古智子教授は『中国政府は、政府への批判が海外からインターネットを通じて中国に流されるのを警戒している。そのため海外にいる反政府勢力を脅威だとみて、監視して圧力をかけている』と話しています」
■落合さん「大人の対応をするしか」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「日本にあると聞いても、『まああるでしょうね』というのが正直な感想です」
「中国側が正面から存在を認めることはないでしょうから、日本としては地政学的な条件を鑑みて、大人の対応をするしかないのではないでしょうか。お互いの関係性が緊張している時にはおそらく、見て見ぬふりをする…」
有働キャスター
「とは言え、政府に不満を持つ人を監視してもいいというのが中国のやり方、ルールなのかもしれませんが、それは自由を重んじる国では通用しません。日本政府もルールに則って、毅然と対応はしてほしいと思います」
(4月18日『news zero』より)