「地獄だ。毎日生き延びようと必死でした」がれき散乱の故郷マリウポリから脱出……父が安否不明「生きていますように」祈る日々
ロシア軍の攻撃で約5000人が死亡し、陥落間近とも言われるウクライナ南東部のマリウポリ。脱出した男性に1日、取材しました。故郷は激しく破壊され、通った学校はがれきが散乱していました。マリウポリに残った父とは連絡が取れず、祈る日々といいます。
■親ロシア派「自分たちが治める」宣言
ウクライナ南東部のマリウポリ。3月31日、ロシア側の兵士が「ファイヤー」の掛け声に合わせ、ロケットランチャーを撃っていました。
砲撃に住民が巻き込まれています。3月29日に撮影された映像では、耳をつんざくような音が聞こえ、画面が激しく揺れています。
「大丈夫か!」
「つかまって!」
「早くこっちに来て!」
「下へ行って!」
「大丈夫か!」
「気を付けて!」
緊迫した声が飛び交い、逃げ惑うような様子が伝わってきました。
砲撃の音が止んで外にレンズを向けると、建物が破壊されて道には多くの物が散乱。車などからは白い煙が上がっていました。
マリウポリではこれまでに約5000人が死亡し、陥落間近とも言われます。
ウクライナ東部を実効支配する親ロシア派は「マリウポリに行政機関を設置」し、自分たちが町を治める方針だと、一方的に宣言しました。
■脱出の男性「生き延びるのに必死」
日本時間1日午後6時すぎ、マリウポリから脱出したヴィタリー・ニキティンさん(28)に話を聞きました。
岩本乃蒼アナウンサー
「最後に見たマリウポリの様子は?」
ヴィタリーさん
「地獄だと思いました。毎日生き延びようと必死でした」
マリウポリを離れる前に撮影したという動画では、ヴィタリーさんは「ここはもともと中央市場でした」「午前2時から飛行機による攻撃を受けました」と語っていました。
生まれ故郷は、激しい攻撃にさらされていました。
通っていた学校を訪れたヴィタリーさん。動画の中で「見てください。彼らがやったことを見てください」と言い、さらに奥に進むと「ひどいよ…」と漏らしました。
■父と連絡取れず…SNSで情報提供求める
今はウクライナ西部のリビウに避難していますが、心配なのが、マリウポリに残った父親と連絡が取れていないことです。
「父についての情報を最後に聞いたのは3月26日。『お父さんは行きているかもしれない』と聞きました」と言うヴィタリーさん。自身のSNSで情報提供を呼びかけています。
岩本アナウンサー
「連絡が取れなくなってから、どのような気持ちで過ごしていますか?」
ヴィタリーさん
「自分にいつも問いかけています。『なぜ父はあの町にとどまってしまったのか』と。毎日『父がまだ生きていますように』と祈っています」
(4月1日『news zero』より)