外国人アーティストに厳しい日本が変わる?――“興行ビザ”緩和、大物の「全国ツアー」に期待 厳格化の裏には“不法就労”
日本政府は1日から、外国人アーティストが来日する際の興行ビザの要件を、大幅に緩和しました。これにより、大物アーティストの全国ツアーや、注目の新人アーティストの招へいに期待が高まっています。これまでは、なぜ要件が厳しかったのでしょうか?
有働由美子キャスター
「『1億2000万の日本市場 韓流に完全開放』。1日、韓国の大手メディアに躍った見出しです。この日から日本政府は、外国人アーティストが来日する際の興行ビザの要件を大幅に緩和しました」
「これにより、K-POPに限らず世界の大物アーティストの全国ツアーが実現するかもしれない、注目の新人アーティストに会えるかもしれない、という話です」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「これは前向きな話です。『大物アーティストの全国ツアー』については、アーティストの方の滞在日数の話です。これまではアーティストの方が日本に来た場合は15日以内ですよ、ということを要件の1つにしていました」
「これを緩和して30日までいいことにしましょう、というものです。すると『全国ツアーをやって回ろう』というモチベーションも生まれてくるかもしれません」
有働キャスター
「地方でもやっていただけるかもしれません」
小野委員
「『注目の新人にも会えるかも』というのは、アーティストの方の活動期間の話です。興行ビザで日本に来ていただく方は2年以上の活動経験が原則としてないとダメですよ、ということでしたが、これも緩和されます」
「日本で実績ある団体が招くなら経験を問わない、となります。新人グループでも『注目だから今のうちに日本に呼ぼう』というとこもできます。会場も要件が厳しかったのですが、立見席でもいいことに、飲食物の有償の提供もOKになります」
「すると、いわばライブハウスのような所もOKになります。新人さんたちがライブをやるにはうってつけの場所ということになります」
有働キャスター
「エンタメファンにはうれしいことばかりですが、むしろなぜ厳しい条件だったのでしょうか?」
「過去にはアジア各国から興行ビザで日本にやってきたのに、実態としてはホステスとして不法就労する実態がありました。そこで日本は興行ビザの厳格化をして、その結果、審査に1~3か月かかるということにもなっているようです」
有働キャスター
「そうなると『ちょっと日本面倒だから』と思うアーティストもいるかもしれないですね」
小野委員
「そこで、『これではまずい』と要件緩和に関わってきた関係者がいます。その人は『世界的なアーティストも昔は日本を起点にスケジュールを組んだが、今は中国・タイ・韓国などの日程を決めて空いていたら日本に寄る、という感じになっている』と明かします」
「『要件を緩和して今度は期待できる』と言うのは、実際に海外アーティストを招いてイベントを主催する洋楽プロモーター団体・IPAJの北口正人副代表です」
「北口さんは『素晴らしいアーティストの音楽を聴く機会が増えると期待します。秋以降、フェスなども増えていくと思う』と話しています」
有働キャスター
「興行ビザの対象は演劇、演奏、スポーツなど広く含まれるそうですが、落合さんはどう思われますか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「僕は(大阪)万博(のプロデューサー)もやっているので、海外のアーティストが30日いてくれたら、いろいろやりやすいですね。指揮者や演奏家など(が来日し)、いろいろな芸術を見る機会が増えるのはいいことです」
「興行以外にも、外国の人が日本に来やすくなることはいいことです。どのジャンルでもいいので、風通しが良くなるし、経済が回りやすくなるとは思います」
有働キャスター
「確かにその辺には期待しますよね。これでエンタメが活性化するならもちろんファンも盛り上がると思いますし、大物のチケットも取りやすくなるといいなと、個人的には思います」
(8月1日『news zero』より)