イスラエル軍 地下トンネルに海水注入“水攻め”か…人質は
ガザ地区にあるイスラム組織「ハマス」の地下トンネルでイスラエル軍が海水の注入を始めたと報じられました。トンネルの中には今も人質が残されている可能性がありますが、なぜ「水攻め」をー
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ガザ地区とされる映像の中で、イスラエル軍の兵士が向かった先にあったのは、はしごのついた大きな穴。イスラム組織「ハマス」が利用する、地下トンネルの入り口とみられます。
イスラエル軍はこれまで、トンネルを爆破するなどして破壊してきましたが、アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは12日、今度は「海水の注入を始めた」と報じました。これについてイスラエル軍は、一切情報を発信していません。
ガザ地区全土、約500キロにわたり張り巡らされているとされる地下トンネルへの、“水攻め”。いつ始まったのかは明確になっていませんが、数週間続くとみられています。ただ、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、海水の注入は土壌汚染の可能性もあり、ガザ地区の水の供給に悪影響を及ぼす懸念があります。
また、イスラエル側はこれまで、人質が地下にとらわれていると主張してきましたが、人質を犠牲にした作戦なのでしょうか。
アメリカのバイデン大統領は―
アメリカ バイデン大統領(12日)
「『トンネル内に人質はいない』ということだが正しい情報かは分からない」
さらに、無差別な爆撃を続けるイスラエルに対しては「世界で支持を失いつつある」と苦言を呈していました。
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国連総会では、ガザ地区での「人道目的の即時停戦」などを求める総会決議を採択。賛成は日本を含む153か国で、反対はアメリカやイスラエルなど10か国でした。
それでも停戦のめどが立たない中、13日、ガザ地区南部の病院で医療支援を行ってきた「国境なき医師団」の中嶋優子さんが都内で会見を開きました。中嶋さんは8日に日本に帰国していました。
国境なき医師団 中嶋優子医師
「さすがに今日は死ぬかもしれないと思った夜が2回あって。本当に近くで激しく止まることなく空爆が続いていて」
現地では、停電するなか、スマートフォンのライトで照らしながら治療をするなど、懸命な医療支援を行ったといいます。しかし患者は増える一方で、病院は飽和状態に。満足な治療ができない状況だったということです。
国境なき医師団 中嶋優子医師
「ここまでの戦争の破壊力を思い知らされたことは今までない。あまりにも…自分たちのやっていることが、あまりに無力だと感じました」
多くの惨状を目撃した中嶋さん。涙を浮かべ「その場限りの命をつなぐっていうことは、限界があるので、停戦してもそこから復活するのはかなり難しいとは思うけど、かなり時間がかかると思うけど、それ(停戦)しかないと思います」と語りました。
(12月13日放送『news zero』より)