トランプ氏、国務長官に「アンチ中国」「出禁」ルビオ氏──思惑は? 対北朝鮮では対話を模索…“核保有国”と認めて交渉も?
アメリカのトランプ次期大統領は、日本の外務大臣にあたる国務長官に対中強硬派の上院議員を起用することを決めました。中国から入国禁止の制裁を受けている人物ですが、どんな思惑があるのでしょうか? 対北朝鮮のスタンスや日本への影響も考えます。
「トランプ政権の人事がまた新たに判明し、国務長官にマルコ・ルビオ上院議員が起用されることがわかりました。この人事にはどういった意図があるのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「国務長官は日本でいう外務大臣にあたります。アメリカの外交を担う重要なポジションですが、この人事にはトランプ氏の大きな思惑があるようです。ルビオ氏は、アメリカ議会の中でも中国に対して最も強硬派、つまりアンチ中国と言われている人物です」
「アメリカ政治のスペシャリスト、明海大学の小谷哲男教授に聞きました。小谷教授はルビオ氏の起用について『よく生き残った』と話していました」
佐藤アナウンサー
「『よく生き残った』とはどういうことでしょうか?」
小栗委員長
「次期政権の人事では、トランプ氏の長男であるトランプJr.氏が力を持っていて、ルビオ氏の起用にかなり強く反対していました。政権のメンバーには忠誠心を求めていて、過去にトランプ氏と大統領選で争った人は排除しているためです」
「ルビオ氏は2016年にトランプ氏と共和党の候補者争いをしたため、トランプJr.氏は反対していました。しかし、トランプ氏の意向で起用されたといいます」
佐藤アナウンサー
「身内の反対を押し切ったのはなぜなのでしょうか?」
小栗委員長
「背景には、中国の存在があります。ルビオ氏は中国を『これまでに直面した中で最大かつ最先端の敵』と表現。中国側も敵視して、ルビオ氏個人に入国禁止の制裁を科しています。いわゆる出禁にするなど、本当に悪い関係です」
「そのルビオ氏が外務大臣にあたる国務長官になると、制裁が続く限り中国に入れず、米中外相会談もやりにくくなります。これはつまり、トランプ氏としての『中国から歩み寄らない限り話し合うつもりはない』というメッセージです」
「それでも話し合いたいのであれば、まずはルビオ氏の制裁を解除しろと迫る。アメリカが主導権を持って中国と向き合うという、強い意志の表れだということです」
小栗委員長
「ルビオ氏は過去に、中国が領有権を主張する尖閣諸島について『日本の領土だ』とも明言しています」
佐藤アナウンサー
「日本の外交政策にも影響があるかもしれませんね」
小栗委員長
「小谷教授によると中国とは反対に、トランプ氏は北朝鮮とは対話を模索しているといいます。トランプ氏は一次政権の時の2019年、現職のアメリカ大統領として初めて北朝鮮に行き、金正恩総書記と直接会談しました」
「この時は非核化のための対話でしたが、今度は開発が進む北朝鮮の核を放置した方がさらなる脅威を生むとして、北朝鮮を『核保有国』として認めた上で交渉を持ち掛けるのではないかとみられています」
「日本としては、対北朝鮮の最大のテーマは拉致問題の解決です。そのトップ会談の際にどう拉致問題をトランプ氏に斬り込んでもらうのか、石破首相の手腕も問われます」
野口啓代(スポーツクライミング五輪銅・『news zero』木曜パートナー)
「トランプ氏、とても強気な姿勢ですよね。今回の大統領選の結果は、これまで以上に自分の日常生活に影響を及ぼす可能性があるなと感じています」
「世界中がご機嫌とりのような状況が続く中で、私たちが損しないためにも、日本政府にはトランプ政権とうまく渡り合ってほしいなと思います」
(11月14日『news zero』より)