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【時系列でわかる⑧】“3日間停戦で人質50人解放” カタールの仲介で交渉続く ~ロイター通信(12日~15日まで)

2023年11月13日 13:34
【時系列でわかる⑧】“3日間停戦で人質50人解放” カタールの仲介で交渉続く ~ロイター通信(12日~15日まで)

10月7日、中東パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」が、イスラエルに向けてロケット弾などによる激しい攻撃を開始。イスラエル側も反撃し、武力衝突が激化しています。

ロイター通信は15日、関係者の話として、カタールがイスラエルとハマスの仲介を行い、3日間の停戦などと引き換えに、人質およそ50人の解放を含む交渉に臨んでいると伝えました。

ハマス側は大筋で合意している一方、イスラエル側とは引き続き交渉が続いていて、アメリカも交渉に加わっているとしています。

武力衝突をめぐる動きを、時系列でまとめます。
(記事中の日付は原則、現地時間です)

■11月12日 WHO、ガザ地区最大の医療機関と連絡取れず

WHO(世界保健機関)は12日、パレスチナ自治区ガザ地区で最大の医療機関、シファ病院と連絡が取れなくなったことを明らかにしました。この病院は11日に燃料切れで電源を失い、機能を停止したと、伝えられていました。

WHOは12日、ガザ地区北部にある地区最大の医療機関、シファ病院と連絡が取れなくなったと明らかにしました。イスラエル軍はこの病院にイスラム組織ハマスの司令部があると主張していて、ロイター通信などが11日、病院は燃料切れで電源を失い、機能を停止したと伝えていました。

WHOは「最新の報告によると、病院は戦車に囲まれている」と指摘した上で、「病院から逃げようとした一部の人が銃撃され、負傷したり死亡したりしたとの複数の報告もある」としています。

さらに、「集中治療室が砲撃の被害を受け、避難民がいる病院内のエリアも被害を受けた。電気の喪失によりチューブで気道を確保していた患者が死亡したとの報告があった」とした上で、「医療を求める患者は決して恐怖にさらされるべきではなく、その患者を治療すると誓った医療従事者の命も危険にさらされるべきではない」として、ガザ地区での即時停戦を改めて求めました。

シファ病院は10日に攻撃を受けたと伝えられていますが、イスラエル軍は11日、病院への攻撃も包囲も否定していて、軍の報道官は病院側からの要請を受け、12日に乳児を別の病院へ避難させる支援を行うとしています。

■11月12日 イスラエル軍 ガザ地区一部地域での軍事作戦を4時間停止すると発表

イスラエル軍は日本時間の12日夕方、パレスチナ自治区ガザ地区北部のジャバリア難民キャンプなど一部地域で、人道目的のため4時間、軍事作戦を一時停止すると明らかにしました。ジャバリア難民キャンプでの軍事作戦の一時停止は2日連続です。

イスラエル軍は日本時間の12日夕方、旧ツイッターのXを通じて、パレスチナ自治区ガザ地区の住民に対し、推奨する道路を示して南部への避難を呼びかけるとともに、「南部への避難と物資の供給のため」としてガザ市のすぐ北にあるジャバリア難民キャンプなど一部地域で、現地時間の午前10時から午後2時までの間、軍事作戦を一時停止すると明らかにしました。

ジャバリア難民キャンプで軍事作戦を4時間にわたって一時停止するのは、2日連続です。

アメリカのホワイトハウスは9日、イスラエルがガザ地区北部で一日4時間の戦闘休止を行うことを発表していて、今回の軍事作戦の一時停止がこれにあたる可能性があります。

■11月12日 イスラエル軍、シファ病院からの退避呼びかけ 具体的な避難経路も

イスラエル軍は12日、ハマスの司令部があるとして攻勢を強めているパレスチナ自治区ガザ市にあるシファ病院について、具体的な避難経路を示し、退避を呼びかけました。

パレスチナ自治区ガザ地区で最大の医療機関・シファ病院は、燃料が切れ機能を停止したと伝えられていて、WHO(=世界保健機関)は12日、病院と連絡がとれなくなったと発表しました。さらに、「逃げようとした一部の人が銃撃されたという複数の報告もある」としています。

これに対し、イスラエル軍は攻撃も包囲も否定していて、12日には、シファ病院から南部に続く道への安全な避難経路を示して、退避を呼びかけました。

イスラエル軍は、シファ病院の地下にハマスの司令部があるとしていて、今後、本格的な攻撃に踏み切るのかが焦点です。

こうした中、燃料切れにより電源を失ったガザ地区の別の病院では、医師らが手動の蘇生装置を使って、乳児の救命措置を行っています。

この乳児は一命を取り留めたということですが、ガザ市の主要病院が相次いで機能を停止し、現地の医療状況は日増しに悪化しています。

イスラエル軍は、前日に続き12日も北部のジャバリア難民キャンプなど一部地域で、人道目的のため4時間、軍事作戦を一時停止すると発表しました。「南部への避難と物資の供給のため」としています。

■11月12日 イスラム組織「ハマス」が人質解放交渉を中断 ~ロイター通信

イスラム組織「ハマス」が、パレスチナ自治区ガザ地区のシファ病院に対するイスラエル軍の攻撃を理由に、人質解放交渉を中断していると12日、ロイター通信が伝えました。

パレスチナ自治区ガザ地区で最大の医療機関・シファ病院は、燃料が切れ、機能を停止したと伝えられています。

イスラエルのネタニヤフ首相は12日、アメリカのNBCに対し、「燃料を提供しようとしたが、ハマスに拒否された」「患者を移動できるよう、野戦病院の建設や病院船の派遣を国際社会に働きかけている」と主張しました。

こうした中、ロイター通信は、イスラエル軍によるシファ病院への攻撃を理由に、ハマス側が人質解放交渉を中断していると伝えました。

イスラエル軍が、ハマスの司令部があるとしてシファ病院への包囲網を狭める中、今後もハマス側が人質を使い揺さぶりをかけてくる可能性もあります。

イスラエル軍はシファ病院への攻撃も包囲も否定していて、12日には、シファ病院から南部に続く道への安全な避難経路を示して退避を呼びかけました。命の危険があるとされる乳児を避難させる支援を行うともしています。

これに対し、ガザ地区保健当局の報道官は12日、シファ病院にいる650人の患者を避難させることは絶対に不可能だと訴えました。

こうした中、燃料切れにより電源を失ったガザ地区の別の病院では、医師らが手動の蘇生装置を使って、乳児の救命措置を行っています。この乳児は一命を取り留めたということですが、ガザ市の主要病院が相次いで機能を停止し、現地の医療状況は日増しに悪化しています。

■11月12日 イスラエル軍“シファ病院に燃料提供もハマス側が受け取り拒否”と主張

イスラエル軍は12日、パレスチナ自治区ガザ地区最大の病院で、機能を停止したとされるシファ病院に燃料を提供するも、ハマス側が受け取りを拒否していると主張しました。

ガザ地区で最大の医療機関・シファ病院は、燃料が切れ、機能を停止したと伝えられていますが、イスラエル軍は12日、シファ病院から南に300メートルの場所に、300リットルの燃料を届けたとする映像を公開しました。

その上で、軍の報道官は「病院が燃料を引き取るのを待っている。ハマスが病院に対し、燃料を取りに行かないよう圧力をかけている」と主張しました。

ネタニヤフ首相も12日、アメリカのNBCに対し、「病院の運営に十分な量の燃料を提供したが、ハマスに拒否された」としています。

一方でロイター通信によりますと、ハマス側は、受け取り拒否の事実を否定した上で、「この量では発電機を30分しか稼働できず、患者の苦痛を軽視している」と反発しています。

またシファ病院の院長も、中東メディアに対し、「回収場所は砲撃を受けやすい危険な場所だ」と訴えました。

その上で、「病院では1日8000リットルから1万2000リットルの燃料が必要である」「イスラエルは300リットルの燃料で、イメージを取り繕おうとしている」などとして、イスラエル側の主張はプロパガンダだとも訴えました。

■日本時間11月13日 WHO事務局長“シファ病院と連絡取れた”

WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は、連絡が取れなくなっていたパレスチナ自治区ガザ地区のシファ病院と連絡が取れたことを明らかにしました。しかし、「もはや病院として機能していない」として、改めて即時停戦を求めました。

WHOのテドロス事務局長は日本時間の13日朝、旧ツイッターのXを更新し、12日にWHOが連絡が取れなくなったと発表したガザ地区北部にある地区最大の医療機関、シファ病院と、連絡が取れたことを明らかにしました。ただ、「病院ではこの3日間、電気や水の供給もなく、ネット環境も不十分で、必要な医療の提供に深刻な影響を及ぼしている」「残念なことにシファ病院は、もはや病院として機能していない」と訴え、ガザ地区での即時停戦を改めて求めました。

イスラエル軍はこの病院にイスラム組織ハマスの司令部があると主張していて、10日には病院が攻撃を受けたと伝えられていますが、軍は病院への攻撃を否定しています。ロイター通信などは、病院は燃料切れで電源を失ったと報じていて、イスラエル軍は12日、シファ病院に燃料を提供したものの、「ハマスが病院に対し、燃料を取りに行かないよう圧力をかけている」と主張しています。

■11月12日 ガザ地区の主要な病院が相次いで機能停止 新生児5人が死亡したとの情報も

イスラエル軍の攻撃でガザ地区の主要な病院が相次いで機能を停止し医療が崩壊の危機に陥っています。これまでに新生児5人が死亡したとの情報もあります。

電源を失ったガザ地区の病院では医師らが手動で蘇生装置を使ってけがをした乳児の救命措置を行いました。この乳児は一命を取り留めたということですが、ガザ地区最大のシファ病院では、集中治療室の電源が失われて以降5人の新生児が死亡したとの情報もあります。シファ病院についてWHO(=世界保健機関)は、「もはや病院としては機能していない」としています。

シファ病院の医師
「私たちは孤立を確信している。誰も私たちの叫びを聞いてくれていない。患者を避難させられる保証が欲しい。ここには避難させ治療させる必要がある患者が600人もいるんだ」

また、ガザ地区で2番目に大きいクッズ病院も機能停止が伝えられるなどガザは医療崩壊の危機に陥っています。

これに対し、イスラエル軍は、緊急用の燃料300リットルを提供したとして映像を公開したほかネタニヤフ首相は12日、アメリカメディアに「燃料を提供しようとしたが、ハマスに拒否された」と主張しました。

その後、ハマス側は「拒否はしていない。この量では発電機を30分以上稼働することはできない」と批判しています。

イスラエル軍は、シファ病院への攻撃は行っておらず、病院も包囲してないとしています。シファ病院から南部に続く道への避難経路を示して退避を呼びかけたうえで命の危険があるとされる乳児を避難させる支援も行うと発表しました。人道的配慮を示すことで国際社会の批判を和らげたい思惑があるとみられます。

■11月12日 ネタニヤフ首相、ガザ地区の今後“パレスチナ自治政府が統治すべきでない”

イスラエルのネタニヤフ首相は12日、ガザ地区の今後についてパレスチナ自治政府が統治すべきではないとの考えを強調しました。

パレスチナ自治政府はかつて、ヨルダン川西岸とガザ地区の両方を管理していましたが、2007年にイスラム組織ハマスがガザ地区を武力制圧し、実効支配してからは分裂した状態が続いています。

ロイター通信によりますと、アメリカはブリンケン長官がガザ地区の今後について、パレスチナ自治政府が中心的な役割を果たすべきと述べるなど、イスラエルによる統治に否定的な考えを示しています。

しかし、ネタニヤフ首相は12日、アメリカのNBCのインタビューで、ガザ地区は「『別の管理機関』が統治する必要がある」と述べ、パレスチナ自治政府が統治すべきではないとの考えを強調しました。ネタニヤフ首相は11日、「軍が必要な限り、ガザ地区の安全保障を管理する」と述べていて、戦闘終結後も軍をいつでも投入できるようにする考えを示しています。

■11月13日 ガザ地区で人道支援活動が2日以内に停止へ…国連機関が発表

国連機関は13日、イスラエルとイスラム組織「ハマス」の衝突が続くパレスチナ自治区ガザ地区で、燃料の枯渇により人道支援活動が2日以内に停止する見込みだと発表しました。

UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は13日、ガザ地区で人道支援物資の運搬などを行う国連のトラックの燃料が全てなくなったことを明らかにしました。

14日以降は、エジプトとの境界にあるラファ検問所から運ばれてくる支援物資を受けとることができず、人道支援活動は2日以内に停止する見込みだとしています。

国連高官
「14日以降(ガザに)到着するトラックはフォークリフトの燃料がないため、荷降ろしすることができない。そして物資を運ぶトラックの燃料もない」

また、パレスチナの通信会社は、燃料不足が続いた場合、今月16日までにガザ地区で通信が遮断されるとしています。

■11月13日 ガザ地区最大の病院「機能停止」 新生児6人含む15人死亡

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの交戦が続くパレスチナ自治区ガザ地区では、地区最大の病院が燃料切れで機能を停止するなど、人道危機への懸念が一段と強まっています。

パレスチナ保健当局は13日、ガザ地区最大のシファ病院で燃料不足による停電などが原因で、新生児6人を含む15人が死亡したと伝えています。この病院は避難民も受け入れていますが、11日から機能停止に陥っています。

イスラエル軍は13日、SNSでガザ地区の住民に南部への避難経路を示し、午前10時から午後2時まで南部のラファ市内で4時間、戦闘を休止すると通告していますが、実際には攻撃が行われていて、犠牲は増え続けています。

WHOやユニセフなど国連の3つの機関は12日、イスラエル軍に医療機関への攻撃をやめさせるための緊急行動を呼びかける共同声明を発表しました。

こうしたなか、ハマスは13日、人質解放交渉を仲介しているカタールに対し、5日間の停戦と引き換えにガザで拘束されている女性や子どもたち最大70人を解放する用意があると述べました。その上でハマスの報道官は、イスラエルが取引を先延ばしにしている、と非難しています。

■11月13日 ハマス“5日間停戦なら人質70人解放も”

戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ地区をめぐりイスラム組織ハマスは13日、5日間の停戦などと引き換えに人質を最大70人解放する用意があると明らかにしました。

イスラム組織ハマスは13日、人質の解放交渉を仲介しているカタールに対し、5日間の停戦などと引き換えにガザで拘束されている女性や子どもたち最大70人を解放する用意があると伝えました。

その上で、ハマスの報道官は、イスラエルが取引を先延ばしにしていると非難しています。

また、人質となっていたイスラエル軍兵士がイスラエル軍の砲撃により死亡したと主張し、映像を公開しました。

一方のイスラエル軍は13日、ガザ地区のクッズ病院の入り口でハマスの戦闘員がイスラエル軍をロケットランチャーで攻撃し、病院に隠れたとする映像を公開しました。「ハマスが病院などの民間施設を悪用しているひとつの例だ」としています。

こうした状況にアメリカのバイデン大統領は、ガザ地区の病院にいる民間人への被害を抑えるべきとの考えを示しました。バイデン大統領は「病院は守られなければならない」「病院を侵害するような行動が減ることを望んでいる」と述べました。

パレスチナ保健当局は13日、ガザ地区最大のシファ病院で燃料不足による停電などが原因で新生児6人を含む15人が死亡したと発表していて、現地の医療は日を追うごとに深刻さが増しています。

■11月14日 ガザ地区への攻撃続く…機能停止の病院“新生児の命の危機”と訴え

イスラエル軍によるガザ地区での軍事作戦が続く中、機能停止したとする病院側は、新生児の命が危機にひんしていると訴えています。

ハマス壊滅を目指すイスラエル軍は、ガザ地区の病院の地下に拠点があるとして、病院周辺でも軍事作戦を続けています。ハマス側は地区内にある35の病院のうち、25の病院が使用不能になったとしています。

ガザ地区最大のシファ病院では、新生児が保育器から出され、一般患者用のベッドに寝かされています。体重が800グラムに満たない未熟児もいて、感染症に対応できない非常に危険な状況が続いているということです。

イスラエル側は、新生児を避難させるための保育器を搬入するとしていて、車に運び入れる写真をSNSで公開しました。病院が守られないことへの国際的な批判が高まる中、人道的配慮をアピールする狙いがあるとみられます。

また、病院には100体以上の遺体があるとされる中、遺体の腐敗が進み、衛生状況の悪化も懸念されています。ただ、戦闘により移動ができないため、病院の敷地内に遺体を埋葬しているとしています。

■11月14日 「ハマス」のガザ地区病院“軍事利用”確認 ~米ホワイトハウス

アメリカのホワイトハウスは14日、イスラム組織「ハマス」が、ガザ地区にある病院を軍事利用したことを確認したと明らかにしました。

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は14日、イスラム組織「ハマス」が、パレスチナ自治区ガザ地区にあるシファ病院を含むいくつかの病院や地下トンネルを、軍事作戦や人質の拘束のために利用していることを確認したと発表しました。

その上で、病院が指揮統制の拠点や武器庫として使われていると指摘した上で、これは「戦争犯罪」だとハマスを非難しました。

■11月14日 ガザ地区北部、機能している病院が1か所のみに 国連機関が明らかに

国連機関は14日、イスラエルとイスラム組織「ハマス」の衝突が続くパレスチナ自治区ガザ地区北部で、機能している病院が1か所のみになったと明らかにしました。

国連人道問題調整事務所によりますと、ガザ地区北部では、電力や医療品のほか食料や水も不足していて、13日の時点で機能している病院が1か所のみになったということです。

ガザ市にあるアハリ病院が患者を受け入れることができる唯一の医療機関で、現在500人以上が入院しているとしています。

こうした中、国連のグテーレス事務総長は14日、「ガザの複数の病院で起きている惨状と、大規模な人命の損失に深く心を痛めている」とした上で、あらためて「人道的な即時停戦を求める」と強く訴えました。

■11月15日 シファ病院内で「ハマスに対する作戦実施」 イスラエル軍が声明

イスラエル軍は15日、「シファ病院の特定エリアで、ハマスに対する精密かつ標的を絞った作戦を実施している」との声明を発表しました。

この中で、軍事作戦は患者や病院に避難している民間人に危害が及ばないよう、特別な訓練を受けた医療チームやアラビア語を話す兵士が参加していると強調しています。

具体的な作戦の内容はわかっていませんが、イギリスのBBCは病院内にいる人の情報として、戦車や兵士100人以上が病院の敷地内に入っていると報じています。

シファ病院は、ガザ地区最大の医療施設で、患者のほか多くの民間人が避難しているとされていますが、イスラエル軍は病院内にイスラム組織ハマスの拠点があると主張して病院を包囲していたため、その対応が焦点となっていました。

一方、ハマスは民間人の犠牲について、イスラエルの「全責任を追及する」との声明を出したほか、アメリカがイスラエル軍にゴーサインを出したとして非難しています。

アメリカの政府高官は14日、「ハマスがガザ地区にあるシファ病院を含む、いくつかの病院や地下トンネルを、軍事作戦や人質の拘束のために利用していることを確認した」と発表していました。

イスラエル軍が本格的な病院の攻略に着手したことで、新たな局面を迎えた形です。

■11月15日 イスラエル軍 ガザ地区のシファ病院内で対ハマス軍事作戦を開始

イスラエル軍は15日、イスラム組織「ハマス」の拠点があると主張するパレスチナ自治区ガザ地区のシファ病院内で、ハマスに対する軍事作戦を開始しました。

イスラエル軍は15日、「シファ病院の特定エリアでハマスに対する精密かつ標的を絞った作戦を実施している」と発表し、イスラム組織「ハマス」に投降するよう求めました。

患者や病院に避難している民間人に危害が及ばないよう、軍事作戦には医療チームやアラビア語を話す兵士が参加していると強調しています。

イギリス・BBCは病院内にいる人の情報として、戦車や兵士100人以上が病院の敷地内に入っていると報じました。

また、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、病院の責任者の話として、イスラエル軍がシファ病院の地下を捜索し、外科や救急の病棟にも立ち入ったとしています。

イスラエル軍は病院内にハマスの拠点があると主張し病院を包囲していたため、その対応が焦点となっていました。

一方、ハマスは民間人の犠牲が出た場合、イスラエルに「全責任を追及する」との声明を出したほか、アメリカの政府高官が「ハマスがシファ病院を軍事目的に使用している」と発言したことが、イスラエル軍へのゴーサインとなったと強く非難しています。

■日本時間11月15日夕方 イスラエル軍、ガザ地区のシファ病院を支配下に置いたか 英BBC報道

イギリスのBBCは、イスラエル軍がイスラム組織ハマスの拠点があると主張するパレスチナ自治区ガザ地区のシファ病院を支配下に置いていると報じました。

イギリスのBBCは日本時間の15日夕方、病院内にいるジャーナリストが「イスラエル軍は完全に病院を支配下に置いていて、銃撃戦は行われていない」などと証言していると報じました。

このジャーナリストによりますと、「イスラエル軍は病院内でスタッフや患者に尋問を行っていて、敷地内に避難している民間人も中庭に集められている」ということです。

病院内にハマスの拠点があると主張するイスラエル軍は、15日、「シファ病院の特定エリアでハマスに対する精密かつ標的を絞った作戦を実施している」と発表し、イスラム組織「ハマス」に投降するよう求めていました。

民間人の被害の有無や実際にハマスとの戦闘が行われたのかなどは明らかにされていません。

■11月15日 “3日間停戦で人質50人解放” カタールの仲介で交渉続く

イスラム組織ハマスがイスラエル人などおよそ240人の人質を取っている問題で、ロイター通信は、カタールが3日間の停戦と引き換えに、およそ50人の人質を解放する案などについて交渉していると報じました。

ロイター通信は15日、関係者の話として、カタールがイスラエルとハマスの仲介を行い、3日間の停戦などと引き換えに、人質およそ50人の解放を含む交渉に臨んでいると伝えました。

ハマス側は大筋で合意している一方、イスラエル側とは引き続き交渉が続いていて、アメリカも交渉に加わっているとしています。

また、イスラエル軍は15日、ハマスの拠点があると主張するパレスチナ自治区ガザ地区にある最大の医療機関、シファ病院に突入しました。

軍が公開した映像には、物資を運ぶ兵士の姿が映っていて、人道的支援を行っていることをアピールする目的があるとみられます。

WHO(=世界保健機関)のテドロス事務局長は「病院への軍事侵攻は全く容認できない。病院は戦場ではない」とイスラエル軍を強く非難しました。

■11月15日 国連安保理 戦闘の「人道的な一時停止」を求める決議を採択

国連の安全保障理事会は15日、イスラエルとイスラム組織「ハマス」の衝突が続くパレスチナ自治区ガザ地区で戦闘の「人道的な一時停止」を求める決議を採択しました。しかしイスラエル側は決議に従わない意向を明らかにしています。

決議はガザ地区における人道状況に深い懸念を表明した上で、ガザ地区全域で戦闘の「人道的な一時停止」を求めるものです。また、ハマスなどに拘束されている人質の即時かつ無条件の解放を求めるとともに子どもたちを保護する重要性を繰り返し強調しています。

採決では、日本を含む12か国が賛成、アメリカは「ハマスへの非難が含まれていない」として棄権、イギリス、ロシアも棄権しました。反対はありませんでした。

安保理では先月の衝突開始以降、4本の決議案がアメリカや中国、ロシアの拒否権行使などによりいずれも否決されていて、今回初めて採択に至った形です。しかしイスラエルの国連大使は「決議は無意味だ。行動を続ける」などとして決議に従わない意向を明らかにしています。

■11月15日 イスラエル軍が映像公開 “病院内から多数の武器弾薬”

イスラム組織「ハマス」の拠点があるとしてパレスチナ自治区ガザ地区最大の病院に突入し、軍事作戦を行ったイスラエル軍は15日、病院内から多数の武器弾薬を発見したとして、証拠だとする映像を公開しました。

イスラエル軍が公開した映像では、シファ病院の内部を捜索した結果、MRIの検査機器の陰に武器弾薬が隠されていたと軍の将校が説明しています。

イスラエル軍の将校
「ここを明るく照らすと軍の装備品が見えるだろう。ライフル・カートリッジ・弾薬もある。手投げ弾も見つかった。すべてはMRIの機材の陰に隠されていたのだ」

さらに、別の部屋でも。

イスラエル軍の将校
「この袋の中にはハマスのテロリストが使っていた軍用品が多数入っていた。手投げ弾や弾薬、戦闘用のベストもある」

一方、ハマスの幹部は、「自らの犯罪を正当化するための安っぽいプロパガンダだ」と述べ、イスラエルを非難しました。

今回、イスラエル軍が公開した映像には、病院の地下にあるとしていたハマスの拠点は含まれておらず、今後の病院内の捜索で見つかるかどうかが焦点です。