台湾総統選 SNSにフェイク動画…“背後に中国共産党”の指摘も 中国在住者が帰省し投票、影響も?
13日、台湾で次のリーダーを選ぶ総統選挙が行われています。歴史的な接戦が伝えられる中、関与を強めたい中国のSNSなどを活用した戦略を取材しました。
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日本時間の午前9時から始まった投票。前回、4年前の投票率は74.9%でした。投票所は朝から長蛇の列ができていました。
立候補している民進党・頼清徳氏、国民党・侯友宜氏、民衆党・柯文哲氏の大接戦が伝えられる中、選挙のカギを握るのは投票率が高いとされる若者層です。
──必ず投票に行く?
有権者(20)
「はい」
こうした若者をターゲットにしたフェイクニュースが、SNSなどで出回っています。
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去年11月、SNS上で拡散された映像には、与党・頼清徳氏が野党の主張を支持するかのように話す“あり得ない内容”が。
(フェイクとされる動画 台湾のSNSより)
「野党の主張は台湾世論の主流だ」
この動画の真偽を検証した民間団体「台湾ファクトチェックセンター」は、頼氏が実際に取材に応じた時の映像にAIで作った音声を付け足したと分析。
台湾ファクトチェックセンター 邱家宜執行長
「(選挙前に)政治関連の偽情報は明らかに増えている」
専門家は、フェイクニュースの背後に中国共産党の存在があると指摘します。
情報調査会社『IORG』創業者 游知コウ(※サンズイに白・告)氏
「(中国の目的は)台湾社会を分裂させたい、台湾社会が混乱しているように見せたい」
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さらに、ある人たちの動向も台湾総統選挙で重要なポイントに。それは、海外に住む台湾出身者です。
中でも中国は、台湾出身のビジネスマンが20万人も暮らしています。その多くが、中国と距離の近い「国民党」支持者だといわれているのです。
6年前に北京に来たという男性もその一人。
北京に住む台湾出身者(30)
「両岸関係(中台関係)の緊張感は、私の人生や仕事に影響を与えている」
北京で人材派遣の仕事をしていて、中台関係の改善が望ましいといいます。
北京に住む台湾出身者(30)
「私は統一が台湾にとってベストだと強く思う。経済・国民生活の観点から両岸統一の追求が最善だ」
今週、この男性の姿が北京の空港にありました。投票のため、台湾に帰省するというのです。
北京に住む台湾出身者(30)
「私が乗る便は満席だから、多分、多くの人が台湾に帰って投票するでしょう」
台湾には在外投票制度がなく、投票するためには、帰省しなければいけません。
こうした帰省する台湾出身の人たちに、中国の航空会社が航空券の補助を行っているとも報じられました。親中派が多い台湾出身者の帰省を支援することで、国民党への票の上積みを狙っているとみられます。
人口2300万人の台湾の人々が選ぶ未来。そして、中国との関係の行方に世界中が注目しています。