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13日に台湾総統選 圧力強める中国との関係が争点に…若い世代には閉塞感も 日本への影響は?【#みんなのギモン】

2024年1月12日 23:20
13日に台湾総統選 圧力強める中国との関係が争点に…若い世代には閉塞感も 日本への影響は?【#みんなのギモン】

13日、台湾では新たなリーダーを選ぶ「総統選挙」が行われます。

台湾は日本の隣です。与那国島からの距離は約110キロメートル。直線距離では東京から伊豆半島ほどなので、条件がよければ与那国島から台湾が見える近さです。物理的な近さだけではなく、貿易上も日本との関係が非常に深く、多くの観光客もお互い行き来しています。

親日家も多く、これまで8年間トップを務めてきた蔡英文総統は、日本で大きなことが起きるたびにSNSに、日本語でメッセージを投稿してきました。

能登半島地震が発生すると、即座にお見舞いメッセージを投稿。5日にも「日本有事はつまり台湾有事です」と、6000万円の寄付を決めたと投稿。その後、市民からは11億円以上の義援金が集まったといいます。

今回の選挙は任期満了を迎える蔡英文総統の後任を選びます。関わりの深い日本にも影響する、非常に大事な選挙です。

そこで、以下のポイントを中心に詳しく解説します。

●争点は中国 その戦略は
●日本への影響は

■3候補者それぞれの立ち位置は?

総統選挙は4年ごとに行われますが、その都度「台湾統一」を掲げ圧力を強めている“中国との関係”が、大きな争点になってきます。

今回も、候補者それぞれが“中国との向き合い方”が異なります。

与党・民進党の頼清徳氏は中国と距離を置き、アメリカとの関係を重視する姿勢をとっています。現在の副総統を務めている人物で、蔡英文政権の継承を訴えています。

一方、中国に「近い」とされているのが最大野党・国民党の侯友宜氏です。対話を通じて中国との緊張緩和を訴えていて、親中派からの支持が厚い。

もう一人の野党第二党・民衆党の柯文哲氏は、この2大政党を批判し「アメリカと中国の対立のかけ橋」を訴えています。

民進党がアメリカ寄り、国民党が中国寄り、民衆党がその中間、という立ち位置といえます。また、3人とも日本との関係は引き続き重視する姿勢です。

■若い世代に広がる閉塞感 「中国との距離感」模索する選挙に

情勢はどうなっているでしょうか。メディア各社の世論調査では、与党・民進党の頼清徳氏がリードしています。メディアによってばらつきはありますが、最大野党・国民党の侯友宜氏との差が小さくなっている調査もあり、三つどもえの争いとなっています。

台湾として将来独立するか、それとも中国と統一なのか、台湾の民意の多くは「現状維持」「今のままでいたい」というものですが、「中国との適切な距離感」を模索する選挙となりそうです。

蔡英文氏が勝利した過去2回の選挙では「天然独」(“生まれながらの独立派”を意味し、若い世代を指す)の影響が、非常に大きかったのです。しかし今は、台湾の中でも経済格差が広がり、若い世代で閉塞感が広がっています。台湾の街頭で話を聞きました。

27歳
「家が買えない。これが最も深刻な問題だ」

22歳
「給料が低すぎる上に物価が高すぎる」

36歳
「貧富の差が激しすぎる。何もかも値上がりして、給料だけ上がらない」

今回、上記のような若い世代が、中国との関係、暮らしや経済について、どういう選択をするかによって、選挙の結果が動くとみられています。

■「台湾統一」掲げる中国・習近平政権

中国はどんなスタンスなのでしょうか。

今の習近平政権は「台湾統一」を掲げ、台湾の動きを強くけん制しています。2022年に3期目に突入したときの党大会の演説では「祖国の完全統一は必ず実現しなければならず、必ず実現できる」と強調。さらに「武力行使も放棄しない」とまで言っています。

大みそかに発表した新年の祝辞でも「祖国の統一は歴史的必然である」と述べて、台湾総統選挙直前にあらためて強調しました。

■習主席が「台湾統一」にこだわるワケとは?

ここまで習主席が「台湾統一」に長年こだわるのはなぜなのか。そこには、習主席の“トップとしての意地”があります。

習主席は建国の父・毛沢東氏に並ぶ“歴史に残る指導者”になるため、手に入れたいのが「『台湾統一』という実績」、つまり「レガシー」です。そのため、中国に近い国民党が政権を握れば「統一の実現に一歩近づくのではないか」と思っていて、だからこそ今回の台湾総統選への関与を強めています。

中国は、リードする民進党を「台湾独立勢力」と位置づけ、いわば敵視しています。民進党が再び勝利した場合には、さらに台湾への圧力を強める可能性もあります。

■国民党をひいき 民進党を敵視する中国

たとえば民進党が勝利した場合、台湾からの輸入品のうち、関税優遇措置を停止する品目を拡大する方針をほのめかしています。つまり、中国市場では売りにくくなります。一方で、高級魚の中国に対する禁輸措置を解除していて、これは「国民党の求めで解除した」と、あからさまにひいきしています。

■世論調査をねつ造? フェイクニュース? 中国が介入か…

ただ、総統選挙のたびに露骨に介入すると台湾の民意が離れることも、中国は理解しています。そのため、今回は「やり方を変えている」と台湾側はみています。

たとえば、ネットメディアの記者が世論調査をねつ造し発表した疑いがもたれていますが、これは中国の関与も疑われていて検察が捜査しています。ほかにも、SNSでフェイクニュースをすでに流し始めているともいわれています。やり方が巧妙になっているという専門家の指摘もあります。

■選挙結果 日本にどう影響する?

台湾と日本は地理的に近いゆえに、選挙の結果次第では安全保障上の問題が懸念されています。

次の政権になり、中国との関係が急速に悪化して、中国が本当に武力を行使する場合、アメリカの介入も考えられます。そのときにアメリカ軍の重要な拠点になるのは日本にある米軍基地です。

もし中国の矛先がそれらの基地に向いたら、日本の安全も脅かされるのでは、と専門家はみていて、全くの他人ごとではありません。しかも台湾には今、日本人が約2万人いますが、その安全確保も不可欠です。そして台湾や中国と日本の経済関係、人の往来なども今まで通りとはいかなくなるかもしれません。

13日の夜には、総統選挙の大勢が判明するとみられます。

(2024年1月12日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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