アメリカ“事実上のナンバー3”下院議長 投票6回でも決まらず混乱続く トランプ氏ら“筋書き通りに演じている”…?
有働由美子キャスター
「今、アメリカで“100年ぶり”のことが起こっています。なにかというと、連邦議会の下院議長が、投票を6回繰り返しても決まらない事態となっています。アメリカのトップはバイデン大統領、次いでハリス副大統領で、その次の“事実上のナンバー3”は連邦議会の下院議長なのです。1回の投票で決まらないのは、100年ぶりのことです。どうしてこんなことになったのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「通常であれば、下院で過半数を占めている共和党の下院トップであるマッカーシー院内総務が選ばれるところなんですが、肝心の共和党の中で、それを快く思わない議員たちが反対票を投じて、選出に必要な過半数の票を得られない状態が続いているんです」
有働キャスター
「“反対している議員たち”というのは、どんな人なのですか?」
小栗委員
「トランプ前大統領に近い強硬な保守派の議員なんです。去年の中間選挙で『下院は共和党が大勝する』とみられていたのに、ふたを開けたらわずか9議席差の僅差でした。これは、『トランプ氏の大統領選挙のスローガン「Make America Great Again」というアメリカ第一主義を、下院を率いるマッカーシーさんがきちんと打ち出さなかったからだ』と言っているのです」
有働キャスター
「でも、トランプさんはマッカーシーさんへの投票を呼びかけていて、それでも決定しないのはトランプさんの影響力が低下しているのではないか…という声もありますよね」
小栗委員
「アメリカ政治に詳しい、明海大学の小谷哲男教授は、トランプさんが『マッカーシーさんに投票しろ』と言っているのも含めて“歌舞伎”だとみている』と言います。どういうことかというと、トランプさんと反対議員とが連携して筋書き通りに演じている…ということなのです」
「その狙いは、今、マッカーシーさんは議長になるためには、トランプさんに近い強硬保守派の議員たちに賛成してもらわないと議長になれないですよね。となると議長になるためには『アメリカ第一主義』を受け入れざるをえなくなる。それでようやく議長になったとしても、トランプさんの党内での影響力は大きくなる――つまり、“トランプ陣営が来年の大統領選挙を戦いやすくするための戦略だ”と分析しているんです」
有働キャスター
「廣瀬さんはどう見ますか?」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「まず、トランプさんそこまでするか…という気がしましたね。政治はラグビーよりもっと複雑だとは思いますが、ラグビーでも選手同士や監督・選手の意見の相違はたくさんありますが、本番の試合中に問題が発生したら手遅れなので、事前にいろいろな準備をしていくんですよね。今回は共和党内でどんな準備をしてきたのだろう…と気になりました」
有働キャスター
「とにかく、このポストが決まらないと、ウクライナ支援含めてアメリカ政治が停滞してしまいかねないわけなので、どうなるのか。7回目の投票は、このあと日本時間の6日未明に行われます」
(1月5日『news zero』より)