アメリカ議会で、多数派の野党・共和党内の分裂で下院の議長が決まらない“異例”の事態が起きています。下院議長選としては100年ぶりとなる再投票が行われましたが、それでも決まらず、投票は6回目に。トランプ氏が事態の収束を促すまで分断が深まっています。

　　　◇

3日、アメリカ議会で下院議長選出の投票が行われました。野党・共和党は一致団結して党の下院トップ・マッカーシー議員を選出する方針でした。選挙に参加している共和党下院議員は、席から立ち上がり、「マッカーシー議員」と次々に支持を表明していきました。

しかし、その一方で、「ジョーダン議員に投票します」「ビッグス議員」と共和党内から、ほかの候補者に投票する造反者が続出したのです。

司会
「誰も過半数を獲得できませんでした」

共和党の分裂により、どの候補も過半数を獲得できず、下院議長選としては100年ぶりとなる再投票が行われることになったのです。

アメリカ議会では去年11月、中間選挙が行われ、野党・共和党が下院で過半数となる222議席を獲得していました。下院議長には多数派の下院トップ、つまり今回は、マッカーシー議員が選出されるのが慣例ですが、トランプ前大統領を支持する共和党議員らが、「マッカーシー議員はバイデン政権への対決姿勢が足りない」として造反。異例の“再投票”となりました。

それでも――

司会
「誰も過半数を獲得できませんでした」

この日行われた3回目の投票でも議長は決まらず、翌日の4日に持ち越しになりました。

　　　　◇

トランプ氏自身はSNSで、「ケビン・マッカーシーはいい仕事をするだろう、むしろ偉大な仕事を成し遂げるかもしれない」と共和党議員に対し、マッカーシー議員への投票を呼びかけました。

しかし、4日の投票では造反議員が公然とトランプ氏に反発しました。

“造反”した共和党下院議員
「トランプ氏はマッカーシー氏に、『必要な票数が得られていない。もう撤退する時だ』と言うべきだ」

　　　　◇

結局4日は、6回目まで投票が行われましたが、共和党内の20人が造反し、マッカーシー議員は、またも過半数の票を獲得できませんでした。

議会の休会後、マッカーシー議員は「今夜、これ以上投票するのは生産的ではない」と述べ、7回目の投票は、再び翌日（5日）へと延期されました。

マッカーシー議員を支持している共和党の議員からは、打開策が見いだせないとして、“別の議長候補”を立てるべきとの声も出始めています。

また、トランプ氏が自身を支持する議員らの説得に失敗したことで、アメリカメディアは「党内で影響力が低下している証拠だ」などと指摘しています。

バイデン大統領は「彼らが対応にこれほど時間がかかっているのは少し恥ずかしいことだ。世界の国々も見ている」と、党内の対立を解消できない野党・共和党を批判しています。

投票は、1人の候補が過半数を得るまで繰り返し行われます。