×

トランプ氏の米大統領再選に暗雲? ライバルが支持率で逆転、共和党の24年大統領候補レースは一気に混迷へ

2023年1月1日 19:00
トランプ氏の米大統領再選に暗雲? ライバルが支持率で逆転、共和党の24年大統領候補レースは一気に混迷へ
中間選挙の厳しい結果で共和党内の求心力低下がささやかれるトランプ氏。ただ、岩盤支持層の支持は依然として強い

2024年の次期大統領選へのレースがいよいよ本格化するアメリカ。早々に出馬表明したトランプ前大統領だが、中間選挙の伸び悩みの元凶と評され、勢いに陰りがみえる中、対立候補も台頭。混迷を深めつつある共和党の大統領候補争いを展望する。
(NNNワシントン支局 渡邊翔)

■年末に突如「重大発表」予告も…“失策”続くトランプ氏

暮れも押し迫った2022年12月14日、トランプ前大統領のSNSへの投稿が波紋を広げた。

「アメリカにはスーパーヒーローが必要だ。あす、重大発表を行う」

突然の重大発表の予告は「大統領選をともに戦う副大統領候補を早くも発表か?」などとメディアの臆測も呼んだ。

しかし、翌日に発表されたのは、なんとトランプ氏のデジタル・トレーディングカードの発売。“抽選でトランプ氏と面会できる”特典も盛り込まれたカードは支持者には好評で、日本円で1万3000円以上するカード4万5000枚は1日で完売、5億円以上の収入を得たという。

しかし、肩すかしを食らった身内の野党・共和党内からは、困惑と批判が噴出。トランプ氏に近いスティーブ・バノン氏ですら、カード発売を進言した人物は「解任されるべきだ」と批判した。

2022年11月、中間選挙直後に早々と2024年の大統領選挙への出馬を表明したトランプ氏。しかし、その後は表だった活動はほとんどなく、もっぱら自身のSNSでバイデン政権や自身への捜査を批判するばかりだ。

その理由は、中間選挙での自身が推薦する候補の敗北。“トランプ派”の候補者が上院の激戦州で相次いで敗れたことで、米メディアは軒並み、上院で共和党が過半数奪還を逃したのは「トランプ氏が原因」と論評。党内での求心力低下は顕著だ。

さらに出馬表明直後、トランプ氏は2つの「タブー」を犯してしまう。フロリダ州の自宅マル・ア・ラーゴで白人至上主義者の男性と会食したこと、さらに2020年の大統領選に関連して、自身のSNSに「大規模な不正があった場合、憲法を停止すべきだ」などと投稿したことだ。

ともに共和党内から疑問視する声があがり、上院トップのマコネル氏は「どんな場合であっても、憲法を停止すべきなどと考える人物が大統領になるのは非常に難しい」と厳しく批判した。「トランプ離れ」を加速しかねない「材料」を、自ら進んで提供している形だ。