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タイの観光名物「ゾウ乗り」中止も… 問題視された“ゾウの調教”

2022年6月2日 21:04
タイの観光名物「ゾウ乗り」中止も… 問題視された“ゾウの調教”

タイの伝統的な文化として根付いているというのが「ゾウ乗り」、ゾウに乗って観光地を散策する体験です。しかし、動物愛護の観点から、ゾウに芸などを覚えさせるための調教を見直し、ゾウ乗りやショーを中止する動きが出てきています。

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歴史を感じる数々の遺跡が立ち並ぶ世界遺産の街・アユタヤは、タイでも人気の観光地です。ここで楽しめるのが、タイの観光名物“ゾウ乗り体験”です。

記者
「街の中をゾウが歩いています。その上で、観光客が散策を楽しんでいますね」

ゾウの背中に揺られながら、ゆったりと世界遺産の街を楽しめます。

タイの伝統的な文化として根付いているというゾウ乗り。しかし、近年、このゾウ乗りやゾウたちを使ったショーに、“批判の声”が高まっているのです。

さらに、動物保護団体が2020年に公開した映像が話題になりました。タイにおけるゾウの調教を隠し撮りしたものです。

こうした調教を伴うゾウ乗りやショーについて、動物愛護の観点から、近年、廃止する施設が増えています。その1つが、タイ北部・チェンマイにあるゾウの観光施設「メーサー・エレファント・キャンプ」です。40年以上、ゾウ乗りやショーを続けてきましたが、2020年に廃止しました。

では今、観光施設として、どのようにゾウたちと関わっているのでしょうか?

施設を訪れたイギリスから来た3人家族が行ったのは、気持ち良さそうにしているゾウの体をゴシゴシと洗うことでした。自然の中での、ゾウたちとの触れあいを楽しみます。

施設スタッフ
「ようこそ、料理教室へ」

ゾウのエサ作りも体験できます。モチ米や、タイのフルーツに、ハーブをまぶし、丸めていきます。ゾウたちの栄養バランスを気遣ったエサだといいます。

イギリス人家族
「エサをあげるのは楽しいですね。この子が好きです」

今では、ゾウにとって、より良い環境作りを心がけた体験プログラムのみを提供しています。

イギリス人家族
「イギリスでは、ゾウなどの(野生)動物をサーカスで使うことは、もう許されていません。この施設のやり方のほうがずっといい」

施設の担当者
「今は、動物虐待に対する意識が高まっています。もう、ゾウ乗りはやらないし、ゾウたちにお絵かきやサッカーもやらせません。もう、昔のやり方に戻ることはできないんです」

タイの伝統文化に、大きな変化が起こり始めています。さらに、コロナ禍をきっかけにゾウとの関わり方を考え直した人たちもいます。

“ゾウのふるさと”の村人
「私たちは、ゾウを仕事に戻したくない」

ゾウを観光施設に貸し出してきた“ゾウのふるさと”の村が、ゾウの幸せを守るために決断を下しました。

タイ・北西部の山岳地域にある“ゾウのふるさと”オムコイ地区は、これまで、ゾウ乗りやショーなどを行う観光施設にゾウを貸し出してきた村です。

しかし、コロナ禍で、状況は一変しました。施設が閉鎖されるなどして“失業”したゾウが村に戻ってきたのです。

今、大自然が広がるこの場所では、50頭以上のゾウたちが、のびのび暮らしています。

記者
「気持ち良さそうに、水遊びを楽しんでますね」

幸せそうに暮らす象たちの姿を見て、村人たちの心境に変化が起きたといいます。

“ゾウのふるさと” ゾウの世話をする村人
「私たちは、ゾウを仕事に戻したくない。村にいた方がいいと、自然と一緒に過ごすのが一番です」

村人たちは、「ゾウを二度と観光施設に貸し出さない」と決断したのです。実際に「ゾウを戻してほしい」と依頼が来ても、今は断っているといいます。村で生まれ育ち、観光施設で飼われてきたゾウたちを野生に返しても、自力でエサを探せず、生き残ることができないということです。

そこで、村はゾウを保護し、共存するための新たな道を模索し始めます。

ゾウの世話をする村人 
「自然の中で遊ぶゾウを見せたいです」

観光客のために覚えさせられた芸などではなく、自然に囲まれたこの村で暮らすありのままの姿を見てもらおうというのです。また、ゾウの世話をするこの村の暮らしを“ホームステイ”の形で、体験してもらうことも検討しています。

ゾウとの共存。村人たちの試行錯誤が、始まっています。

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