【解説】カビ発生“意外な盲点” 吸い込む量は1日1万個 「過敏性肺炎」の可能性も…
今年は、梅雨入りが早いと言われています。この季節、カビが主な原因で起きる「過敏性肺炎」に注意が必要です。「今年の梅雨は雨量が多い?」、「『過敏性肺炎』の症状は」 、「カビ発生“意外な盲点”」、以上の3つのポイントについて詳しく解説します。
26日は西日本から雨の範囲が広がり、27日は関東でも朝から雨脚が強くなる予想です。東京の週間予報では、次の雨の予想は来週31日です。梅雨入りは、もう少し先になりそうです。
気象庁は24日、今年の梅雨について、「降水量は平年並みか、多い」と予想しました。さらに、「今年は梅雨入りが早い可能性がある」として、早めに大雨に備えるよう呼びかけています。
このジメジメとした季節に気をつけたいことがあります。それは、過敏性肺炎です。過敏性肺炎はアレルギー性肺炎の1つで、主な原因はカビです。梅雨の時期はカビが繁殖しやすいため、過敏性肺炎が増えやすくなります。
感染症・呼吸器専門の加藤哲朗医師によると、過敏性肺炎は空気中に漂うカビなどを吸い込むことで起きるアレルギー反応です。発熱、たんの絡まないせき、息苦しさなどの症状が見られるということです。重症化した場合、呼吸困難になり、酸素が必要な状態になることもあるということです。
過敏性肺炎はカビが原因となることが多いため、カビが増えるこれからの季節に特に注意が必要だということです。
どういう時に注意が必要なのか、加藤医師は次のように指摘しました。
・衣替えをした後
押し入れに閉まっていた服を出した時に、隅にたまっていたカビを吸い込んだケースがあるということです。
・掃除をしている時
押し入れや風呂など、カビが繁殖しやすい場所・環境を掃除する時は要注意ということです。
・久しぶりにエアコンをつけた時
これからジメジメしたり、暑苦しくなったり、除湿や冷房を使いたくなります。久しぶりにエアコンをつけると、中でジワジワと増えたカビを含んだ風、いわゆる“カビ風”が一気に吹き出し、吸い込んでしまう可能性もあるということです。
こうした特定の環境下でのみ症状が出る場合、過敏性肺炎の可能性もあるため、呼吸器内科などを受診してほしいということです。
カビの発生しやすい3つの条件について、カビに詳しい千葉大学・真菌医学研究センターの矢口貴志准教授は、次のように指摘しました。
・温度20℃~30℃
・湿度60%以上
・栄養分 食べカス、人のアカなど
この3つの条件がそろった場合、カビは増えてしまいます。しかも、一般的にカビを1日1万個ぐらい吸い込んでいるということです。カビが多数発生した家に長時間いる人ほど、もっと多く吸い込んでいる可能性があるということです。
カビ対策では、風呂場やキッチンなどの水回りは気をつけていると思いますが、意外な盲点もあります。
・蛇口の裏
特にシャワータイプの蛇口の場合、一層水がたまりやすい上、食器を洗う時に、お皿などから汚れが跳ね返って付着しやすいということです。使い終わった時には、スポンジなどで汚れを拭き取っておくと良いということです。
・冷蔵庫の中
冷蔵庫の中は温度が低いため、カビは発生しないと思いがちです。実は、ゆっくりと育つカビがあるそうです。これが冷蔵庫のパッキンの部分、自動製氷機の給水タンクの隅が黒くなる原因です。特に、野菜室も要注意です。土や野菜くずなどがたまっている場合、カビの栄養分になってしまうため、野菜室はこまめに掃除しましょう。
・エコバッグ
野菜などを直接入れる際に付いた水分や土などが残っている場合、カビの原因になりやすいということです。意外と見えにくい隅の部分などが、黒ずんできてないかチェックして、たまには洗濯することを忘れないようにしたいです。
・換気
一番大切なのは、換気です。ただ、窓を開けても ダメで、空気の流れを作り、湿気を外に追い出すことがポイントということです。
風通しのいい場所にカビは生えません。サーキュレーターや扇風機を使い、空気を動かす24時間換気システム、浴室の乾燥機などをうまく活用するといいということです。
・ホコリを取り除く
もう1つの対策は、カビの栄養源・ホコリを取り除くことです。気をつけたいのは、高い場所のホコリを取る時、ホコリが舞い上がる可能性があるため、水分を含んだハンディモップなどで、しっかり拭き取りましょう。
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「これから、本格的にカビ対策しなきゃ」と思うと、気が重くなってしまいそうですが、お伝えした換気や掃除のちょっとしたコツを押さえて、早めにとりかかることがおすすめです。
(2022年5月26日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)