週3日だけの料理店…“珍しいおいしい魚“で人気! こだわり店主の思いとは…
「ウツボの天ぷら」に「エイの肝の刺身」。食べたことがなく、めずらしい魚を出して人気の料理店がある。神奈川県の海にほど近い場所にある「カイズキッチン」だ。週に3日だけ、夜は1日5組限定の営業である。
看板メニューのウツボを食べたお客さんは、「ふわふわしていておいしい。お肉みたい」と舌鼓を打つ。実は食べるとおいしいのだという。「ウツボなんて釣れても捨てちゃうのに…」とつぶやくお客さんもいた。
そればかりではない。見た目から“金魚”とも言われる「ネンブツダイ」は、丸ごとカラッと揚げにしていた。身が小さいので、一般的にはあまり食べられない魚だが、ここではおいしく食べさせてくれるのだ。「こんなの食べられるんだって初めて思いました」と常連客はこのお店の魅力を語ってくれた。
メニューには他にも「赤ヤガラ」や「カゴカキダイ」などなじみのない名前が並ぶ。夜は5500円のお任せコースのみ。その週の漁港での水揚げしだいで使う魚が決まるからだ。
このお店で主に使ってるのは、一般の魚料理のお店で扱われることが少ない、いわゆる“未利用魚”と呼ばれる魚たちである。漁獲量もわずか、見た目も良くないなどの理由でセリに出されず、捨てられることもしばしば。ほとんど市場には流通しない魚。このお店では、そんな“未利用魚”をおいしく食べてもらおうと考えている。
店主は、甲斐昂成さん(34)、とにかく、魚にこだわる料理人である。「とったんだったら、おいしく食べてほしい。魚にとってはそれが幸せ」と思っている。甲斐さんは、熊本県出身で、子供の頃から釣りが好き。よく、釣った魚を家で料理して食べていた。
ところが大学生の時に直売所に買い物に行った時のこと。自分で釣っておいしく食べていた魚を意外な形で目にする。安く雑な扱いを受けていたのだ。氷すらあててもらえずに、無造作に置いてあったという。
「せっかくとれた魚は有効活用しないと…」
そんな思いから、甲斐さんは、飲食店での経験を積んだあと、4年ほど前に、このお店を始めたのだ。現在はお店を手伝う 妻・有加さんと長女の美羽ちゃんとの3人暮らし。
店の営業は週に3日のみなのだが、他の日ものんびりというわけには行かない。午前4時過ぎのまだ夜も明けない小田原漁港。漁を終え戻ってきた漁船に甲斐さんの姿があった。深夜から漁師たちと海に出ていたのだ。料理店の店主が一体何をしているのだろう?そこには甲斐さんならではの、ある思いがあった。
※詳しくは動画をご覧ください。(2023年4月14日放送「news every.」より)