【追跡】ギョーザ「張り付き」との戦い……味の素“フライパン研究”の結果は? チーバくん“不気味”SNSのワケ『every.特集』
話題になったニュースの“その後”を追跡。フライパンに冷凍ギョーザがくっつく問題で、味の素が中古のフライパンを回収し、検証しました。結果はどうなったのでしょうか? 不気味な写真をSNSで投稿していた千葉県の人気者の“仕事現場”も調べました。
去年10月、簡単に羽根付きで焼くことができる冷凍ギョーザのニュースを放送しました。
このギョーザは油をひかずに焼けることがウリのはずでしたが、SNSに「きれいに焼けると書いているのに焦げ付いちゃった」という投稿が。食品メーカーの味の素がフライパンの回収を告知すると、3520枚が集まりました。
当時の放送は、味の素がフライパンを検証して上手に焼く方法を紹介したい、という話までお伝えしました。その後どんな検証をしているのか追跡しました。
神奈川・川崎市にある味の素の「食品研究所」に向かいました。案内してもらった部屋には、作業をしている研究員の姿が。「傷や表面の剥がれを見ています」。顕微鏡で、フライパンの表面を見ていました。
顕微鏡で白く見える部分が、コーティングの剥がれた跡です。こうした表面の状態を細かくデータ化しています。
別の部屋では、3Dスキャナーを使った作業がなされていました。研究員は「フライパンの大きさ、厚み、ゆがみなども分かります」と言います。断面を見ると、確かにゆがみが確認できました。
研究員
「(フライパンが)ゆがんでいると火の当たり方が変わってきますので、(ギョーザの)焼き目の付き方、張り付きにも影響が出ると考えております」
送られてきたフライパンでギョーザを焼いて、実際に張り付き具合を検証します。同時に4台で焼きますが、商品開発担当者は「このぐらいなら一気に見られるので」と言います。
水なし・油なしでフタをして、中火で5分。商品のパッケージに書いてある通りの焼き方で焼きましたが、担当者も思わず「これはなかなかですね…」「完璧に取れたものは1つもないですね」。ほとんどが、フライパンにくっついてしまいました。
フライパンには、ギョーザの皮がびっちり。焼き上がったギョーザも中身が丸見えでした。こうした結果をもとに、味の素では、“張り付かないギョーザ”を生み出すべく、日々研究中だといいます。
味の素冷凍食品PRグループ長・勝村敬太さん
「機能性が上がったから味が落ちてしまうなどは、絶対あってはいけません。もっともっと美味しく、もっともっと上手にきれいに焼けることを目指していきたいと思っています」
フライパンを集め始めて約9か月。新しいギョーザができ上がりました。
従来の餃子と見た目はほとんど変わっていませんが、皮が張り付いたのと同じフライパンで“新ギョーザ”を焼いてもらうと、少し力が必要でしたが、表面がめくれることもなく上手に焼けました。以前に比べると、張り付きはごくわずかです。
商品開発担当者
「うれしいですよね。上手に剥がせるようになっていてうれしいです」
羽根になる部分に含まれる水や油などの配合を変えて、張り付きを軽減させたといいます。
この“新ギョーザ”は2月から随時、店舗に並んでいるそうです。
続いて、去年11月に放送した千葉県のマスコットキャラクター「チーバくん」のニュースの“その後”についてです。当時から、公式SNSの投稿が話題になっていました。
「今日はチーバくんが鬼になるからかくれんぼしよー!」とチーバくんが投稿。やがて「み~つけた! こんなところにいるなんて千葉県中探し回っちゃったよ」の文章とともに、洞窟の穴から顔をのぞかせた写真がアップされました。不気味な圧を感じるものでした。
この投稿にSNSでは「探しすぎだよ、こわい!」「千葉に逃げ場はないんだ…」と大きな話題になりました。付いたいいねは33万件。
この放送から2週間後にも、暗がりにたたずむチーバくんの写真が投稿されていました。いいねが13万件ありました。
普段は千葉の名所や絶景の写真が上がっているのですが、なぜこんな不気味な写真を投稿しているのか? 今回追跡しました。
チーバくんの撮影が行われるという、千葉・我孫子市に足を運びました。手賀沼(てがぬま)公園のおすすめスポットで写真を撮るということです。
撮影するのは、チーバくんのイベントで司会などを務める「チーバくんキャラバン隊」の三橋若葉さん。「チーバくん、電車(が)できてる!」と言い、公園内を走るミニ鉄道にまず向かいました。チーバくんがこれを体験することになりました。
「はい、チーバ!」と三橋さんはスマートフォンを構えると、突然の猛ダッシュ。「あーOK!OK!」と、シャッターを切りまくります。写真の出来を聞くと、三橋さんは「めっちゃいいんじゃないでしょうか」と笑顔を見せました。意外とあわただしい撮影です。
その後、公園内の水辺に移動して「はい、チーバ!」とレンズを向けました。公園のPRになりそうな写真をいっぱい撮影できたようです。この時点で、かつて話題になった不気味さはゼロ。あのダークな感じの写真撮影は、果たして行われるのでしょうか?
1時間後。暗くなるのを待っていたかのように、おもむろに動き出したチーバくん。「はい、チーバ」「怖いね〜」と言いながら、三橋さんはシャッターボタンを押します。ついに、不気味写真の撮影現場を捉えました。
「お化け屋敷じゃん、もう」
「座っちゃう? そこのベンチ」
三橋さんはより不気味な感じを出すため、ぽつんと座らせたり、カメラの明るさ(の設定)を変えたりして、暗く見せる工夫を凝らしていました。「だいぶダークな写真が撮れたんじゃないでしょうか」と手応えを感じているようです。
「きれいな景色とダーク風景、どっちが好き?」と質問すると、三橋さんはチーバくんに「どっちが好き?選べない?」と確かめた後、「選べないそうです」と代弁しました。どうやら、チーバくんもノリノリで撮影していたようです。
この撮影から約3週間後の3月21日。SNSを探っていると、手賀沼公園で撮影していた不気味な写真が見つかりました。ポツンとベンチで佇むチーバくんの写真がアップされていました。
こうした写真の狙いについて、県の担当者に聞いてみました。
千葉県報道広報課の青野康弘副課長
「意図はしてなかったんですけれども、思いがけずたくさん多くの方に見てもらえたので、それはそれで、チーバくんの魅力が伝わったのかな。千葉県にも興味を持ってもらえたのかなと」
不気味な写真には、もう1つの意図がありました。暗いながらも背景を入れることで、それをヒントに、どこで撮影したかを皆に探してほしいのだとか。
チーバくんは取材の最後に、「また遊ぼうね」というメッセージを寄せてくれました。
(2024年3月29日『news every.』より)