“草むらの吸血鬼” マダニ媒介の感染症“過去最悪” 動物が人里に落とす? 刺されないためには…
夏のアウトドアシーズンを迎え、キャンプなどをする機会が増える中、注意が必要なのが「マダニ」です。今、マダニが媒介する感染症の患者が過去最悪のペースで増えているのです。その特徴や刺されないための対策などについて解説します。
有働由美子キャスター
「“草むらに潜む吸血鬼”と恐れられているものが今、私たちの近くに潜んでいます。それが、マダニです。体長は3ミリから8ミリ。今、このマダニが媒介する感染症の患者が、過去最悪のペースで増えています。最悪の場合、亡くなるケースもあります。夏のアウトドアシーズン、キャンプをしたり草むらで遊んだりする際に注意が必要になってきますね」
小野高弘・日本テレビ解説委員国際部デスク
「なぜマダニが怖いか…国立感染症研究所によると、『待ち伏せ』『食い込む』『感染症』といった特徴があるからです」
有働キャスター
「『待ち伏せ』とは?」
小野解説委員
「マダニは、草むらなどで待ち伏せているわけですよね。そこを通った人や動物にとりついて、血を吸います」
有働キャスター
「『食い込む』は…」
小野解説委員
「血を吸う場所を決めて嚙みつきますが、頭部を皮膚に食い込ませるんです。とにかく離れないのだそうです」
「そして、感染症です。マダニの体内にはウイルスなどがあり、血を吸われる中で人も感染することがあります。すると潜伏期間を経て、発熱、腹痛があったり、意識障害が起きたりして、最も危険な感染症だと命に関わります。SFTS・重症熱性血小板減少症候群の場合、『致死率が約30%』との調査もあるくらいです」
「ただ、日本皮膚科学会によると、そもそも感染症を引き起こす可能性は低いので、過剰に心配しなくてもいいということです」
小野解説委員
「マダニに関しては最近、あるツイートが話題になりました」
有働キャスター
「奈良公園の鹿ですか」
小野解説委員
「『かわいいので触っちゃうんだけど、マダニがくっついていますよ』という投稿です。投稿された写真を専門家に見てもらったところ、たしかにマダニがくっついているということです。『奈良公園の鹿は野生なので触りすぎることなく、適切に触れあってほしい』と公園側は話しています」
有働キャスター
「本来、草むらや森の中にいるマダニが、もうこんなところにまで来ているということですよね」
小野解説委員
「人が住む場所にも来ているかもしれませんよ。環境省鳥獣保護管理室にマダニ急増の理由について聞きました。マダニはもともと鹿やイノシシにくっついています。今、各地で鹿などの動物が山から下りて畑へやってきます。人の住む場所に現れるようになっているわけです。野生動物が街の中を走り回って、警察官が追いかけ回すといったことがニュースになることもあります。そこで落ちたマダニが民家近くの草むらなどにも居つくようになっているのです」