老人ホームの施設長はフィリピン出身 介護業界で働く後輩たちに伝えたこと 特集【キャッチ】
■高口サロメさん(46)
「私の時は、誰も外国人を雇っていませんでした。」
外国人向けの講演会で流ちょうな日本語を話すのは、フィリピン出身の高口サロメさん(46)です。
■高口さん
「どうですか。腰が痛い?湿布とか貼っていますか。」
高口さんは福岡県春日市の高齢者施設で働いています。施設はおよそ40人が利用しています。
施設の職員はおよそ20人でその大半は日本人ですが、高口さんは2024年6月、外国出身者としてはこの施設で初めて施設長に抜てきされました。
■高口さん
「きょう一日、事故のないようによろしくお願いします。」
施設長である高口さんの仕事は、職員の労務管理から、入居希望者の調整や利用者の体調管理など多岐にわたります。
特に心がけていることは、利用者とのコミュニケーションです。
■施設の利用者
「きょう忙しい日だった?」
■高口さん
「忙しくないです。大丈夫ですか。何か買ってほしいものはありますか。」
■施設の利用者
「この間、食べたものとか。」
■高口さん
「オッケーです。」
高口さんの細やかな心遣いに、利用者も信頼を寄せています。
■施設の利用者
「よく話を聞いてくれます。親身になって何かあったらすぐね。」
■高口さん
「目の前の仕事を丁寧にこなすこと、施設長として入居者様の相談を受けたら後回しにしないで、すぐに対応できるように心がけています。」
2003年にフィリピンで日本人男性と結婚した高口さんは翌年、福岡にやってきましたが、当時は日本語が話せませんでした。
その後、長女を出産し、日本語学校に通いながら、プログラマーになるため大学進学を目指します。わずか1年の勉強で見事、受験に合格しますが、金銭的な理由から進学をあきらめ専門学校に入りました。
2年間の勉強を経てプログラマーとして就職先が決まりましたが、2人目の娘の妊娠がわかり、内定を辞退することになりました。そこで、次に始めたのがテレビ番組を見て興味が湧いたという介護の勉強です。
■高口さん
「娘が生まれて3か月後に(旧・ホームヘルパー2級の)資格を取った。たまたまここで募集があったので、応募して採用をもらいました。」
目標を決めたらすぐに行動する高口さんは、何事にも前向きに取り組む性格です。ただ、飛び込んだ介護の業界では、多くの苦労があったと振り返ります。
■高口さん
「辞めたい時期もありましたし、つらかった時期もあります。日本語がわからずに入居者さんの反応があまりよくない時があり、落ち込む時もありました。」