オープン後初の“大型連休”新米店長の挑戦は…
このゴールデンウイークを特別な気持ちですごす人がいました。コロナ禍でお店を新しくした人たちが、初めて本格的な「かき入れ時」を迎えたのです。想定外のピンチの連続を取材しました。
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ゴールデンウイーク初日の4月29日。 悪天候が伝えられた千葉県柏市ですが、朝早くから長蛇の列ができていたのは、野菜が人気の「道の駅しょうなん」です。
店長
「いらっしゃいませ。おはようございます」
もちろんお目当ては…
客
「お野菜が新鮮ですし安いですし」
並んでいたのは、収穫したての地元で採れる旬の朝どれ野菜です。
施設内のレストランでは、看板メニューの地元野菜たっぷりのカレーもいただけます
実は去年12月にリニューアルし、売り場面積を3倍以上にしたといいます
リニューアル後、初となる大型連休を迎え、昨年店長に就任したばかりの日原啓介さんが気になるのは野菜の品切れです。
去年店長に就任 日原啓介さん
「野菜の品切れがなるべくないように」
朝7時、客より先に、店に並んだのは、地元の農家たちです。 およそ100種類7000個の野菜を用意しました。
中でも一押しは、柏の名産・カブです。甘く、煮ると、とろけるような食感が魅力です。
そのカブを目当てに、お客さんが殺到。開店の2時間後には120袋あったカブが、残りわずか6袋に…
去年店長に就任 日原啓介さん
「カブがない。カブが…」
農家に追加を頼もうと電話しますが…
店長 日原啓介さん
「出ません」
誰も電話に出ません。初のゴールデンウイークは、初日から大ピンチとなりました。
とうとう売り場には、カブの葉1袋だけが残り…
店長 日原啓介さん
「もうない。ないというか…」
と、諦めかけたその時、農家から折り返しの電話がありました。
店長 日原啓介さん
「もしもし、カブの追加ってありますか」
1時間後、ようやくカブ40袋が到着。売り場に置いたとたん
客
「あ、カブあるじゃん」
客
「カブ待ってました」
追加の40袋も、閉店2時間前には売り切れてしまいました。
閉店後、ほとんど空っぽになった商品棚を前に店長は…
店長 日原啓介さん
「さすがGWかなという感じ」
初日は閉店を前に売り切れ。 ゴールデンウイーク後半は、さらに品数を増やし再チャレンジです。
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ゴールデンウイーク2日目の4月30日。多くの観光客が訪れていたのは、東京の観光スポット、高尾山です。
観光客
「家にいたのでずっと。なので久しぶりの(お出掛け)連休」
観光客
「楽しみです」
3年ぶりの行動制限がないゴールデンウイークに心も弾んでいるようです。
他の店がまだ閉まっている朝8時、一足先に開店しているカフェ「高尾すみれ庵」がありました。実はこのカフェ、4月にオープンしたばかりです。
店を任されているのは、新米店長の和田貴世子さんです。 生まれも育ちも地元・八王子。その思いは…
新米店長 和田貴世子さん
「なんか地元に貢献できることがしたいと思って」
店の売りは、“高尾山の新たな名物に”と願っている「山菜いなり」です。みんなでアイデアを持ち寄り、山にちなんで、山の幸を盛り込んだ一品です。
この日は通常のおよそ3倍、400個をスタンバイしました。店の売り上げ過去最高25万円を目指します。
初めてのゴールデンウイーク、早速、お客さんが来ました。
客
「山に持って行こうかなと」
出だしは好調。しかし…
そもそも、高尾山に来る目的は、グルメより山登り。 「まずは山に登ろう」という人も多いんです。行きは、麓の商店街を素通りし、山頂へ急ぎます。
新米店長 和田貴世子さん
「みんな下りてこーい」
お昼時、人々の多くは山頂にいました。
そこで新米店長が、店のオリジナルキャラクターの動きに合わせて、「オイナリサン、イカガデスカ?」と、モモンガのモモちゃんに扮(ふん)して、声あて大作戦。
しかし、呼びかけに反応はありません。
そこに思わぬ救世主が現れました。
店員
「ソフトクリームです」
山登りを終えた客に、地元・八王子産の牛乳を使ったソフトクリームが売れました。
ところが、トラブルが発生。
新米店長 和田貴世子さん
「すみません原料補給するので、ちょっとだけお待ちください」
予想外の売れ行きで、ソフトクリームを作る機械が空っぽになっていました。追い打ちをかけるように、お客さんが次々、やってきました。
「アイス(ソフト)クリームちょうだい!」
「ソフトクリーム2つ」
材料を補給し、大急ぎでソフトクリームを作ります。
新米店長 和田貴世子さん
「お待たせしました。ありがとうございます」
閉店後、果たして新米店長、売り上げ25万円の目標は?
新米店長 和田貴世子さん
「16万6000円だから、予想よりは少ないかな」
しかし、うれしい誤算もありました。
新米店長 和田貴世子さん
「ソフトクリームが過去イチですね」
売れた数は過去最高の92個でした。
閉店後、昔から営む隣の土産物の店にあいさつに行きました。
「元気な店長だね。こんな細い体して。「あなたが頑張っているから」って(周りの)みんな言ってたよ」
街の人々の声が彼女の後押しになっていました。新米店長の挑戦はまだ始まったばかりです。