卒業する娘へ父が作る 「最後のお弁当」 超繊細なのり弁に込めた思い 作り続けた6年間の集大成 三重・菰野町

娘のために中高6年間、超繊細な「のり弁」を作り続けたお父さんがいます。迎えた卒業の日。「最後のお弁当」には、いつも以上に特別な思いを込めました。
彩り豊かなお弁当ですが、これで完成ではないんです。
内田直人さん:
「ご飯をどーんと一発勝負で。これがベースになりますキャンバスに」
始めたのはピンセットを片手に細かい作業。
実は内田さん。娘に漫画などからせりふをもじった「のり弁」を作るのが日課。
バレンタインデーのお弁当には父の強がりがちらり。
ユニークなお弁当を作り続けて6年。今までに作ったのり弁は1200食以上。
シングルファーザーの内田さんは毎朝5時に起きて合間に掃除・洗濯などの家事をしつつお弁当を作り続けてきました。
そして迎えた娘・五葉(ごよう)さんの卒業式。週末に大学入試を控え、式の後も勉強をする娘のために最後のお弁当を持たせます。
そもそも、のり弁を作るようになったのはー
内田直人さん:
「あんまり料理が得意じゃないので、あまり見栄えしない弁当だったので、それを隠すためですよね」
初めて作ったのり弁がこちら。今よりずっとシンプルなものでした。
内田直人さん:
「おかずは基本的に何も考えずに、前日のスーパーに売っていた半額セールを適当に買ってくるだけ」
おかずは増やせないけど、クスッと笑えるお弁当を持たせてあげたいという思いから始めたのり弁。
娘の五葉さん(18):
「どっちかっていうとちょっと恥ずかしいけど、ツボに入るときはごくたまにあったりする」
のりは娘が入浴している間にこっそり切っています。印刷したイラストをのりに重ね工作用のカッターでカット。
内田直人さん:
「失敗して工夫して、失敗して工夫して」
内田さん、ラストのお弁当は特別なデザインにしようと考えていました。
リビングでは親子で向かい合って父はデザイン思案中、娘は受験勉強中。
前の日に切り終えたのりは朝、ご飯に載せます。
内田直人さん:
「ここがね、いつも一番緊張するところ」
記者:「こうやって作るのもきょうが最後」
内田直人さん:「そうですね、そうなんですよね。朝時間がぽかんと空いちゃうかもしれないですね」
ついに迎えた卒業式。卒業後は親元を離れ1人暮らしがしたいと県外の大学を受験した五葉さん。
父から娘へのメッセージは・・・。
五葉さんの名前の由来となった五葉松(ごようまつ)。
乾燥した崖でも自生する五葉松のように逆境に負けない人間になってほしいという願いが込められていました。
五葉さん:
「感動ですね。たくましく生きろみたいな意味なんかな。ありがたいって言うか感動ですね。毎日当たり前に(お弁当を)もらっていたので、なくなるとむちゃさみしいやろうな」
【中京テレビ 「キャッチ!」 3月6日放送より】