“水道水を飲んでいない”の…?化学物質PFAS 対策して1年も下がらない血中濃度に住民困惑「どういうことなんや」岐阜・各務原市
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人体に影響があるとされる化学物質「PFAS」。岐阜県各務原市で2度目の血液検査の結果が公表されました。対策をしていても、なかなか下がらないPFASの血中濃度。不安を抱えながらの生活が続いています。
岐阜県各務原市に住む塚田さん夫婦。日々気をつけているという“水”について教えてもらいました。
塚田豊子さん(71):
「これは飲み水やお茶入れたり、コーヒーを入れたり」
ウォーターサーバーだけでなく、水道の蛇口には浄水器をつけ、その水でご飯を炊いたり、料理をしたりしているそうです。なぜ、これほど“水”に気をつけているのでしょうか。
その答えとして、見せてくれたのが血液検査の結果。そこには、豊子さんの血液中に残るPFAS濃度が記載されていました。
「ずーっと血液の中には残ると聞いていたけど、実際にそうなんだっていうのが、ちょっとね。ちょっとショックですね」と心境を明かす豊子さん。
各務原市では、人口の約半数の水道水をまかなう水源地で、国の暫定目標値を超える“PFAS”が検出されたことが、おととし、分かりました。
『岐阜民医連』土井正則事務局長は当時、「5万人近い方の健康への影響が懸念されています」と発表。『京都大学』原田浩二准教授は、「他の地域でこれほど高い濃度はありませんでした。極めて高い濃度でした」と述べました。
発がん性など健康への影響が指摘され、自然界で分解されにくいことから、“永遠の化学物質”とも呼ばれる“PFAS”。
今月17日、地域住民を対象とした2回目の血液検査結果の報告会が開かれました。
『京都大学』原田准教授は、「(1年間で)顕著な低下は見られなかった。減っていないと言って差し支えないと思う」と発表。市は、浄化装置を設置する対策を実施しています。しかし、PFASの血中濃度は、調査した103人の平均は1年前と比べて、“大きな変化はなし”という結果となりました。
日本にはPFASの血中濃度の基準がなく、アメリカの学術機関が示す、健康リスクの基準は上回っている状況。
前回の検査と比べて、豊子さんの血液中に残るPFAS濃度はわずかに減少していましたが、夫・義美さんは1回目の検査と比べて、多くの物質が増えている結果に。
結果について、義美さんは「普通の水道水を飲んでいないので。でも、こんな(数値)なのでどういうことなんやと」と、戸惑いの表情を浮かべます。
原田准教授によると、「血液の状態によって増減がある」とのことですが、1年経っても減ることはなかったPFAS。水源地で高い値で検出された原因の一つは、各務原市内にある航空自衛隊・岐阜基地で使用されていた、泡消化剤だという指摘もあります。
会見で原田准教授は、「地下水の流れに沿って、さらに広がる可能性が出てくる。(下流の)地域でも、PFAS汚染が今後起こる可能性がある」と今後について懸念。続けて、「いまどこに発生源があって、どう広がるかを考えるならば、発生源の追及は必要であろう」と話しました。
健康への影響を正確につかむためには、より長い期間の調査が必要だと考えを示しました。
PFASは、名古屋の中心でも井戸水から検出されています。その場所が、名古屋市中区の栄や錦にある井戸。8か所で国の暫定指針値(50ナノグラム/リットル)を超えており、なかには3.2倍を検出した場所も。
原因は“不明”。名古屋市では近くの井戸の持ち主に、井戸水を飲み水として使わないよう呼びかけているといいます。
指針値を超えた井戸を飲み水として使用しているところについては、すでに「ろ過装置」で処理。名古屋市は、今後、調査範囲を広げていきたいとしています。